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■(緊急)BIND 9.xの脆弱性(サービス停止)について(2012年10月10日公開)
  - キャッシュ/権威DNSサーバーの双方が対象、パッチの適用を強く推奨 -
                                株式会社日本レジストリサービス(JPRS)
                                            初版作成 2012/10/10(Wed)
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▼概要
  BIND 9.xにおける実装上の不具合により、namedに対する外部からのサービ
  ス不能(DoS)攻撃が可能となる脆弱性が、開発元のISCから発表されました。
  本脆弱性により、提供者が意図しないサービスの停止が発生する可能性があ
  ります。
  本脆弱性は影響が大きく、かつキャッシュDNSサーバー及び権威DNSサーバー
  の双方が対象となることから、該当するBIND 9.xを利用しているユーザーは、
  関連情報の収集、緊急パッチの適用など、適切な対応を速やかに取ることを
  強く推奨します。
▼詳細
  BIND 9.xではリソースレコード(RR)の取り扱いに不具合があり、特定の
  RDATAの組み合わせが読み込まれた場合、以降の関連するRRの問い合わせに
  より、namedがロックアップする(無応答になる)障害が発生します。
  本脆弱性によりロックアップしたnamedは、強制終了/再起動以外の方法で
  は元の状態に回復しません。また、本脆弱性を利用した攻撃はリモートから
  可能であり、かつ、キャッシュDNSサーバー/権威DNSサーバーの双方が対象
  となります。
▽対象となるバージョン
  本脆弱性は、BIND 9.2以降のすべてのバージョンのBIND 9が対象となります。
  そのため、以下のすべてのバージョンが対象に含まれます。
  ・9.6系列: 9.6-ESV~9.6-ESV-R7-P3
  ・9.7系列: 9.7.0~9.7.6-P3
  ・9.8系列: 9.8.0~9.8.3-P3
  ・9.9系列: 9.9.0~9.9.1-P3
  なお、ISCでは9.5以前の系列のBIND 9のサポートを終了しており、これらの
  バージョンに対するセキュリティパッチはリリースしないと発表しています。
▽影響範囲
  ISCは、本脆弱性の深刻度(Severity)を「重大(Critical)」と評価してい
  ます。本脆弱性は、
  ・キャッシュDNSサーバー及び権威DNSサーバーの双方が対象となること
  ・多くのバージョンのBIND 9が対象となること
  ・インターネットに直接接続していないキャッシュ/権威DNSサーバーも、
    攻撃の対象となりうること
  などから、広い範囲での適切な緊急対策が必要となります。
  本脆弱性については、以下の脆弱性情報(*1)も併せてご参照ください。
  (*1)CVE - CVE-2012-5166
        <https://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2012-5166>
▽攻撃シナリオ例
  ISCが発表した、本脆弱性における攻撃シナリオ例を示します。なお、これ
  らは代表的なものであり、これら以外の攻撃シナリオも考えられます。
  ・キャッシュDNSサーバー
    当該RDATAの組み合わせを含むRRを攻撃者が管理するゾーンの権威DNSサー
    バー上に作成し、標的となるキャッシュDNSサーバーに名前検索させる。
  ・権威DNSサーバー
    当該RDATAの組み合わせを含むRRをゾーンファイル、ゾーン転送あるいは
    ダイナミックアップデートにより、標的となる権威DNSサーバーに読み込
    ませる。
▼一時的な回避策
  BIND 9の設定ファイル(named.conf)において、"minimal-responses"オプ
  ションを"yes"に設定することにより、本脆弱性を回避できます。
▼解決策
  本脆弱性を修正したパッチバージョン(BIND 9.9.1-P4/9.8.3-P4/9.7.6-P4/
  9.6-ESV-R7-P4)、または新リリース(BIND 9.9.2/9.8.4/9.7.7/9.6-ESV-R8)
  への更新、あるいは各ディストリビューションベンダーからリリースされる
  パッチの適用を、速やかに実施してください。
▼参考リンク
  以下に、ISCから発表されている情報へのリンクを記載します。また、各ディ
  ストリビューションベンダーからの情報やCVEの情報(*1)などもご確認の
  上、適切な対応をお願いいたします。
  * ISC
    CVE-2012-5166: Specially crafted DNS data can cause a lockup in named
    <https://kb.isc.org/article/AA-00801>
    CVE-2012-5166 [JP]: 特別に細工されたDNSのデータによるnamedのハングアップ
    <https://kb.isc.org/article/AA-00808>
    BIND 9.9.1-P4
    <http://ftp.isc.org/isc/bind9/9.9.1-P4/bind-9.9.1-P4.tar.gz>
    BIND 9.8.3-P4
    <http://ftp.isc.org/isc/bind9/9.8.3-P4/bind-9.8.3-P4.tar.gz>
    BIND 9.7.6-P4
    <http://ftp.isc.org/isc/bind9/9.7.6-P4/bind-9.7.6-P4.tar.gz>
    BIND 9.6-ESV-R7-P4
    <http://ftp.isc.org/isc/bind9/9.6-ESV-R7-P4/bind-9.6-ESV-R7-P4.tar.gz>
    BIND 9.9.2
    <http://ftp.isc.org/isc/bind9/9.9.2/bind-9.9.2.tar.gz>
    BIND 9.8.4
    <http://ftp.isc.org/isc/bind9/9.8.4/bind-9.8.4.tar.gz>
    BIND 9.7.7
    <http://ftp.isc.org/isc/bind9/9.7.7/bind-9.7.7.tar.gz>
    BIND 9.6-ESV-R8
    <http://ftp.isc.org/isc/bind9/9.6-ESV-R8/bind-9.6-ESV-R8.tar.gz>
▼連絡先
  本文書に関するお問い合わせは <dnstech-info@jprs.jp> までご連絡ください。
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▼更新履歴
  2012-10-10 10:00 初版作成
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