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■(緊急)BIND 9.xの脆弱性(DNSサービスの停止)について(2013年7月27日公開)
  - キャッシュ/権威DNSサーバーの双方が対象、バージョンアップを強く推奨 -
                                株式会社日本レジストリサービス(JPRS)
                                            初版作成 2013/07/27(Sat)
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▼概要
  BIND 9.xにおける実装上の不具合により、namedに対する外部からのサービ
  ス不能(DoS)攻撃が可能となる脆弱性が、開発元のISCから発表されました。
  本脆弱性により、提供者が意図しないサービスの停止が発生する可能性があ
  ります。
  注意:既に、本脆弱性による複数の攻撃事例が報告されています。
  本脆弱性は影響が大きく、かつキャッシュDNSサーバー及び権威DNSサーバー
  の双方が対象となることから、該当するBIND 9.xを利用しているユーザーは
  関連情報の収集やパッチの適用など、適切な対応を速やかに取ることを強く
  推奨します。
▼詳細
  BIND 9.xではリソースレコード(RR)の取り扱いに不具合があり、不正な形
  式のRDATAを含む特別に作成されたDNS問い合わせを受信拒否する処理におい
  て、namedが異常終了を起こす障害が発生します。
  本脆弱性を利用した攻撃はリモートから可能であり、かつ、キャッシュDNS
  サーバー/権威DNSサーバーの双方が対象となります。
  また、本脆弱性はBIND 9に付属のDNSライブラリ内に存在するため、そのラ
  イブラリを使用しているnamed以外のプログラムやアプリケーションなどに
  おいても、影響を及ぼす可能性があります。
▽対象となるバージョン
  本脆弱性は、BIND 9.7.0以降のすべてのバージョンのBIND 9が対象となりま
  す。そのため、以下のすべてのバージョンが対象に含まれます。
  オープンソース版:
  ・9.7系列: 9.7.0~9.7.7
  ・9.8系列: 9.8.0~9.8.5-P1、9.8.6b1
  ・9.9系列: 9.9.0~9.9.3-P1、9.9.4b1
  サブスクリプション版:
  ・9.9.3-S1、9.9.4-S1b1
  BIND 9.6-ESV及びBIND 10は、本脆弱性の対象となりません。なお、ISCでは
  9.6-ESVを除く9.7以前の系列のBIND 9のサポートを終了しており、これらの
  バージョンに対するセキュリティパッチはリリースしないと発表しています。
▽影響範囲
  ISCは、本脆弱性の深刻度(Severity)を「重大(Critical)」と評価してい
  ます。本脆弱性は、
  ・既に本脆弱性を悪用した複数の攻撃事例が報告されていること
  ・キャッシュDNSサーバー及び権威DNSサーバーの双方が対象となること
  ・多くのバージョンのBIND 9が対象となること
  ・namedの設定ファイル(named.conf)によるアクセスコントロール(ACL)
    の設定では、影響を回避・軽減できないこと
  ・インターネットに直接接続していないキャッシュ/権威DNSサーバーも、
    攻撃の対象となりうること
  などから、広い範囲での適切な緊急対策が必要となります。
  本脆弱性については、以下の脆弱性情報(*1)も併せてご参照ください。
  (*1)CVE - CVE-2013-4854
        <https://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2013-4854>
▼一時的な回避策
  現時点において、本脆弱性の一時的な回避策は知られておりません。
▼解決策
  本脆弱性を修正したパッチバージョン(BIND 9.8.5-P2/9.9.3-P2)への更新、
  あるいは各ディストリビューションベンダーからリリースされるパッチの適
  用を、速やかに実施してください。
  なお、サブスクリプション版のパッチバージョンにつきましては、DNScoに
  お問い合わせください。
▼参考リンク
  以下に、ISCから発表されている情報へのリンクを記載します。また、各ディ
  ストリビューションベンダーからの情報や前述のCVEの情報などもご確認の
  上、適切な対応をとることを強く推奨します。
  - ISC
   セキュリティアドバイザリ
    CVE-2013-4854: A specially crafted query can cause BIND to
                   terminate abnormally
    <https://kb.isc.org/article/AA-01015>
    CVE-2013-4854 [JP]: 特別に細工されたクエリによってBINDが異常終了する
    <https://kb.isc.org/article/AA-01023>
   本脆弱性に関するFAQ及び追加情報
    CVE-2013-4854: FAQ and Supplemental Information
    <https://kb.isc.org/article/AA-01016>
   パッチバージョンの入手先
    BIND 9.8.5-P2
    <http://ftp.isc.org/isc/bind9/9.8.5-P2/bind-9.8.5-P2.tar.gz>
    BIND 9.9.3-P2
    <http://ftp.isc.org/isc/bind9/9.9.3-P2/bind-9.9.3-P2.tar.gz>
  - DNSco
    Subscriptions and Solutions
    <http://www.dns-co.com/solutions/>
▼連絡先
  本文書に関するお問い合わせは <dnstech-info@jprs.jp> までご連絡ください。
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▼更新履歴
  2013-07-27 12:00 初版作成
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