DNS関連技術情報のトップへ戻る

---------------------------------------------------------------------
■(緊急)BIND 9.xの脆弱性(DNSサービスの停止)について(2015年12月16日公開)
  - バージョンアップを強く推奨 -

                                株式会社日本レジストリサービス(JPRS)
                                            初版作成 2015/12/16(Wed)
---------------------------------------------------------------------

▼概要

  BIND 9.xにおける実装上の不具合により、namedに対する外部からのサービ
  ス不能(DoS)攻撃が可能となる脆弱性が、開発元のISCから発表されました。
  本脆弱性により、提供者が意図しないサービスの停止が発生する可能性があ
  ります。

  本脆弱性は、フルリゾルバー(キャッシュDNSサーバー)の機能が有効に設
  定されているすべてのバージョンのBIND 9が影響を受けることから、対象が
  広範囲にわたっています。該当するBIND 9.xを利用しているユーザーは関連
  情報の収集やパッチの適用など、適切な対応を速やかに取ることを強く推奨
  します。

▼詳細

▽本脆弱性の概要

  BIND 9.xには不正なDNS応答を拒否する処理に不具合があり、不正なクラス
  を持つ応答がキャッシュされることで、namedが異常終了を起こす障害が発
  生します(*1)。

  (*1)本脆弱性によりnamedが異常終了した場合、"REQUIRE" assertion
        failureを引き起こした旨のメッセージがログに出力されます。

  本脆弱性により、DNSサービスの停止が発生する可能性があります。また、
  本脆弱性を利用した攻撃はリモートから可能です。

▽対象となるバージョン

  本脆弱性は、BIND 9.0.x以降のすべてのバージョンのBIND 9が該当します。

  ・9.10系列:9.10.0~9.10.3
  ・上記以外の系列:9.0.x~9.9.8

  ISCでは、本脆弱性のリスクはフルリゾルバーにおいて高く、権威DNSサーバー
  ではDNS NOTIFYにおいて当該ゾーンのNSレコードに記述された権威DNSサー
  バーのIPアドレスを検索している場合など、限定的であると発表しています
  (*2)。

  (*2)BIND 9では設定ファイル(named.conf)でnotify no;またはnotify
        explicit;を指定していない場合、DNS NOTIFYを利用したゾーン転送
        の際にNSレコードに記述された権威DNSサーバー名に対する名前解決
        が、必要に応じて実行されます。

  なお、ISCでは9.8以前の系列のBIND 9のサポートを終了しており、これらの
  バージョンに対するセキュリティパッチはリリースしないと発表しています。

▽影響範囲

  ISCは、本脆弱性の深刻度(Severity)を「重大(Critical)」と評価して
  います。

  本脆弱性については、以下の脆弱性情報(*3)も併せてご参照ください。

  (*3)CVE - CVE-2015-8000
        <https://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2015-8000>

▼一時的な回避策

  本脆弱性の一時的な回避策は存在しません。

▼解決策

  本脆弱性を修正したパッチバージョン(BIND 9.10.3-P2/9.9.8-P2)への更
  新、あるいは各ディストリビューションベンダーからリリースされる更新の
  適用を、速やかに実施してください。

▼JP DNSサーバーにおける対応状況

  JP DNSサーバーは本脆弱性の対象となりません。

▼参考リンク

  以下に、ISCから発表されている情報へのリンクを記載します。また、各ディ
  ストリビューションベンダーからの情報や前述のCVEの情報なども確認の上、
  適切な対応を取ることを強く推奨します。

  - ISC

   セキュリティアドバイザリ

    CVE-2015-8000: Responses with a malformed class attribute can
                   trigger an assertion failure in db.c
    <https://kb.isc.org/article/AA-01317>

   パッチバージョンの入手先

    BIND 9.10.3-P2
    <https://ftp.isc.org/isc/bind9/9.10.3-P2/bind-9.10.3-P2.tar.gz>
    BIND 9.9.8-P2
    <https://ftp.isc.org/isc/bind9/9.9.8-P2/bind-9.9.8-P2.tar.gz>

▼連絡先

  本文書に関するお問い合わせは <dnstech-info@jprs.jp> までご連絡ください。

---------------------------------------------------------------------
▼更新履歴
  2015/12/16 11:00 初版作成


株式会社日本レジストリサービス Copyright©2001-2024 Japan Registry Services Co., Ltd.