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■BIND 9.10.xの脆弱性(DNSサービスの停止)について(CVE-2015-8705)
  - debug loggingを有効にしている場合のみ対象、バージョンアップを強く推奨 -

                                株式会社日本レジストリサービス(JPRS)
                                            初版作成 2016/01/20(Wed)
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▼概要

  BIND 9.10.xにおける実装上の不具合により、namedに対する外部からのサー
  ビス不能(DoS)攻撃が可能となる脆弱性が、開発元のISCから発表されまし
  た。本脆弱性により、提供者が意図しないサービスの停止が発生する可能性
  があります。

  該当するシステムを運用しているユーザーは、関連情報の収集やバージョン
  アップなど、適切な対応を速やかに取ることを強く推奨します。

▼詳細

▽本脆弱性の概要

  BIND 9.10.xにはOPT疑似リソースレコードとECSオプションをテキストフォー
  マットに変更する際の処理に不具合があり、debug loggingを有効にしてい
  る場合、namedが異常終了を起こす障害が発生する可能性があります(*1)。

  (*1)本脆弱性によりnamedが異常終了した場合、バージョン9.10.3~
        9.10.3-P2ではbuffer.cにおいて"REQUIRE" assertion failureを引き
        起こした旨のメッセージがログに出力され、それ以前のバージョン
        9.10系列ではバッファオーバーランにより、segmentation faultなど
        のエラーが発生します。

  本脆弱性は、debug loggingを有効にしている権威DNSサーバー、フルリゾル
  バー(キャッシュDNSサーバー)の双方が該当します。

▽対象となるバージョン

  本脆弱性は、以下のバージョンのBIND 9が該当します。

  ・9.10系列:9.10.0~9.10.3-P2

▽影響範囲

  ISCは、本脆弱性の深刻度(Severity)を「中(Medium)」と評価していま
  す。

  本脆弱性については、以下の脆弱性情報(*2)も併せてご参照ください。

  (*2)CVE - CVE-2015-8705
        <https://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2015-8705>

▼一時的な回避策

  debug loggingを無効にすることで、本脆弱性を回避できます。

▼解決策

  本脆弱性を修正したパッチバージョン(BIND 9.10.3-P3)への更新、あるい
  は各ディストリビューションベンダーからリリースされる更新の適用を、速
  やかに実施してください。

▼参考リンク

  以下に、ISCから発表されている情報へのリンクを記載します。また、各ディ
  ストリビューションベンダーからの情報や前述のCVEの情報なども確認の上、
  適切な対応を取ることを強く推奨します。

  - ISC

   セキュリティアドバイザリ

    CVE-2015-8705: Problems converting OPT resource records and ECS
                   options to text format can cause BIND to terminate
    <https://kb.isc.org/article/AA-01336>

   パッチバージョンの入手先

    BIND 9.10.3-P3
    <https://ftp.isc.org/isc/bind9/9.10.3-P3/bind-9.10.3-P3.tar.gz>

▼連絡先

  本文書に関するお問い合わせは <dnstech-info@jprs.jp> までご連絡ください。

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▼更新履歴
  2016/01/20 11:00 初版作成


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