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■JP DNSの設定変更について
2006年2月20日
JPRS
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JPRSは、JP DNSの更新間隔の短縮にともない、JP DNSのゾーン設定(SOAの
minimum値)の変更を行います。本ドキュメントでは、その背景と理由について
説明します。
▼SOAのminimum値の役割
SOAのminimum値は、当初はDNSキャッシュサーバが一度検索したレコードをキャ
ッシュに保持(通常のキャッシュ)しておく期間(単位は秒)として使用されてい
ましたが、RFC 2308で役割が変更され、現在はドメイン名が存在しなかったと
いう情報を保持(ネガティブキャッシュ)する期間(同じく単位は秒)として使用
されています。
最新のDNSキャッシュサーバの実装では、SOAのminimum値がどんなに大きな値
でも一定の上限(3600~10800)を超えない範囲の時間を、ネガティブキャッシュ
の期間として処理しています。
▼DNSにおけるキャッシュの機能
DNSキャッシュサーバにおけるキャッシュ機能は、DNSサーバ(DNS権威サーバ)
への負荷を軽減させるために非常に有用であり、ほとんどのDNSサーバの実装
において採用されています。
DNSにおけるキャッシュ機能には大きく分けて、以下の2種類があります。
1) 通常のキャッシュ
その名前が「存在すること」をキャッシュします。
キャッシュ保持期間はDNS各レコードのTTL(Time To Live)値とし
て指定します。
2) ネガティブキャッシュ
その名前が「存在しないこと」をキャッシュします。
ネガティブキャッシュ保持期間はSOAのminimum値として指定しま
す。
▼キャッシュ機能による影響
キャッシュ機能は、DNSサーバの負荷を軽減させるのに非常に有効ですが、一
方でDNS権威サーバでの登録情報変更がDNSキャッシュサーバに反映(キャッシュ
が更新)されるまでの時間に、最大でキャッシュ保持期間分の遅延が生じると
いう影響があります。
1) 通常のキャッシュによる影響
DNSに登録済のホスト名、IPアドレス、DNSサーバ情報等の変更・
削除を行う場合、DNSキャッシュサーバへの反映に遅延が発生する
ことがあります。
DNS権威サーバでWebサーバのIPアドレスを変更した場合でも、一
定期間は変更前のIPアドレスにアクセスが続いたという事象は、
この例にあたります。
2) ネガティブキャッシュによる影響
新規にホスト名、IPアドレス、DNSサーバ情報等をDNSに登録する
場合、DNSキャッシュサーバへの反映に遅延が発生することがあり
ます。
新たなWebサーバを登録した場合に、実際のDNS登録より前にその
Web サーバにアクセスを試みていると(その際は当然アクセスはで
きません)、登録した後にもかかわらず、しばらくアクセスできな
かったという事象は、この例にあたります。
▼JPドメインにおけるTTL値について
JPドメインでは、通常のキャッシュ保持期間(TTL値)として86400(1日)を使用
しています。今回、この値は変更しません。そのため、前述影響の1)により、
JPドメインに登録済ドメイン名のDNSサーバ情報の変更・削除は、DNSキャッシュ
サーバに反映されるまで最大1日の遅延が発生することがあります。
▼JPドメインにおけるSOAのminimum値について
JPドメインでは、従来SOAのminimum値として86400(1日)を使用してきましたが、
JP DNSの更新間隔の短縮にともない相対的に前述影響の2)の影響が大きくなる
ため、2006年2月24日に900(15分)へ変更します。
minimum値を小さくすることでDNS権威サーバへの負荷増大が懸念されますが、
JPRSが2005年12月および2006年1月に行った実験の結果、900への変更で問題が
生じないことを確認しています。
▼関連文書
JP ドメインにおける SOA の minimum 値の短縮実験のお知らせ
http://www.dns.jp/ncache-ja.html
.JP Update (JANOG17)
http://www.janog.gr.jp/meeting/janog17/documents/11-1_Minda.pdf
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