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■(緊急)BIND 9.xのキャッシュDNSサーバー機能の実装上の問題による
namedのサービス停止について - バージョンアップを強く推奨 -
株式会社日本レジストリサービス(JPRS)
初版作成 2011/11/17(Thu)
更新 2011/11/21(Mon)
(影響範囲を「すべてのバージョンのBIND 9」に更新)
更新 2011/12/07(Wed)
(ISCのセキュリティアドバイザリの更新を反映)
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▼概要
BIND 9.xのキャッシュDNSサーバー機能の実装上の問題により、namedのリモー
トからのクラッシュ(サービス停止)が可能であることが、開発元のISCよ
り発表されました。本脆弱性により提供者が意図しない、名前解決サービス
の停止が発生する可能性があります。
かつ、既に本脆弱性によるサービスダウンが複数の組織から報告されている
ことから、該当するBIND 9を利用しているユーザは、関連情報の収集や緊急
パッチの適用など、適切な対応を速やかに取ることを強く推奨します。
▼詳細
BIND 9.xでは実装上の不具合により、ある種のネットワークイベント(具体
的内容は本稿作成時点において特定されておりません)によってnamed内部
でエラーが発生し、namedがクラッシュする問題が発生します。
本脆弱性によりnamedがクラッシュした場合、以下のメッセージがログに出
力されます(「1781」の部分はBIND 9のバージョンにより異なる場合があり
ます)。
query.c:1781: INSIST(!
dns_rdataset_isassociated(sigrdataset)) failed, back trace
開発元であるISCは、本脆弱性の深刻度(Severity)を「深刻(Serious)」
と評価しています。また、
・既に本脆弱性によるサービスダウンが複数の組織から報告されていること
・これまでにリリースされたすべてのバージョンのBIND 9が本脆弱性の影響
を受けること
・インターネット上に公開していないキャッシュDNSサーバーにおいても、
本脆弱性の影響を受ける可能性があると考えられること
などから、広い範囲での適切な緊急対策が必要となります。
なお、本脆弱性に関するCVE情報は、以下で公開されています。
* Common Vulnerabilities and Exposures
CVE - CVE-2011-4313
<https://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2011-4313>
(2011年12月7日追加)
2011年12月5日(米国時間)にISCのセキュリティアドバイザリが更新され、
今回の障害の原因特定、パッチ適用の推奨に関する情報が追加されました。
追加された記述の概要は以下の通りです。
・障害発生者から提供されたデータを分析し、今回の障害の原因を特定した
・今回の障害は「偶発的な運用エラー(accidental operational error)」
によりBINDの未知のバグが顕在化することで発生したこと、そして、その
障害は今回のパッチにより防げることを確認した
・今回のエラーを引き起こした原因となったものは既に存在しないが、同様
の事象が偶発的ではなく意図的に(悪意を持って)設定される可能性が非
常に高い
・そのため、ISCはパッチ適用済バージョンへの更新の継続を強く推奨する
▼一時的な回避策
(2011年12月7日更新)
ISCでは、パッチ適用済バージョンへの更新を即座に実施できない場合の一
時的な回避策として、設定ファイルnamed.confに minimal-responses yes;
の記述を追加してnamedを再設定する方法を公開しました。ただし、この方
法で本脆弱性を回避できるのは該当するnamedがキャッシュDNSサーバーのみ
で運用されている場合に限られており、同一のnamedでキャッシュDNSサーバー
と権威DNSサーバーを兼用している場合、本脆弱性を完全には回避できない
としています。
また、namedにおいて再帰検索要求の受けつけを無効にしている場合、本脆
弱性の影響を受けません。
▼解決策
BIND 9.8.1-P1/9.7.4-P1/9.6-ESV-R5-P1/9.4-ESV-R5-P1へのアップグレード、
または各ディストリビューションベンダからリリースされたパッチの適用を
速やかに実施してください。
▼参考リンク
以下に、開発元であるISCから発表されている情報(英語/日本語訳)、及
びJPCERT/CCから発表されている注意喚起へのリンクを記載します。また、
各ディストリビューションベンダーからの情報やCVE情報などもご確認の上、
適切な対応をお願いいたします。
* ISC
BIND 9 Resolver crashes after logging an error in query.c
<https://www.isc.org/software/bind/advisories/cve-2011-4313>
BIND 9キャッシュサーバがquery.cでエラーログを出してクラッシュする
<https://www.isc.org/advisorycve20114313JP>
BIND 9.8.1-P1
<https://www.isc.org/software/bind/981-p1>
BIND 9.7.4-P1
<https://www.isc.org/software/bind/974-p1>
BIND 9.6-ESV-R5-P1
<https://www.isc.org/software/bind/96-esv-r5-p1>
BIND 9.4-ESV-R5-P1
<https://www.isc.org/software/bind/94-esv-r5-p1>
* JPCERT/CC
ISC BIND 9 サービス運用妨害の脆弱性に関する注意喚起
<https://www.jpcert.or.jp/at/2011/at110031.txt>
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▼更新履歴
2011-11-17 11:00 初版作成
2011-11-21 16:00 影響範囲を「すべてのバージョンのBIND 9」に更新
2011-12-07 12:00 ISCのセキュリティアドバイザリの更新を反映
「詳細」「一時的な回避策」に解説を追加
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