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■(緊急)BIND 9.xの脆弱性(サービス停止)について
  - キャッシュ/権威DNSサーバーの双方が対象、バージョンアップを強く推奨 -
                                株式会社日本レジストリサービス(JPRS)
                                            初版作成 2012/09/13(Thu)
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▼概要
  BIND 9.xにおける実装上の不具合により、namedに対する外部からのサービ
  ス不能(DoS)攻撃が可能となる脆弱性が、開発元のISCから発表されました。
  本脆弱性により、提供者が意図しないサービスの停止が発生する可能性があ
  ります。
  本脆弱性は危険性が高く、かつキャッシュDNSサーバー及び権威DNSサーバー
  の双方が対象となることから、該当するBIND 9.xを利用しているユーザーは、
  関連情報の収集、緊急パッチの適用など、適切な対応を速やかに取ることを
  強く推奨します。
▼詳細
  BIND 9.xではリソースレコード(RR)の取り扱いに不具合があり、RDATA
  フィールドの長さが65,535バイトを超えるRR(*1)が読み込まれた場合、
  以降の当該RRに対する問い合わせにより、namedが異常終了を起こす障害が
  発生します。本脆弱性では、キャッシュDNSサーバー/権威DNSサーバーのい
  ずれにおいても、サービスの停止が発生する危険性があります。
  (*1)当該のRRはDNSの仕様に違反しています。
▽対象となるバージョン
  本脆弱性は、これまでにリリースされたすべてのバージョンのBIND 9が対象
  となります。そのため、以下のすべてのバージョンが対象に含まれます。
  ・9.6系列: 9.6-ESV~9.6-ESV-R7-P2
  ・9.7系列: 9.7.0~9.7.6-P2
  ・9.8系列: 9.8.0~9.8.3-P2
  ・9.9系列: 9.9.0~9.9.1-P2
  上記に加え、9.4系及び9.5系についても本脆弱性の対象となります。ただし、
  ISCではこれらのバージョンのサポートを終了しており、これらのバージョ
  ンに対するセキュリティパッチはリリースしないと発表しています。
  なお、2012年9月6日(日本時間)に次の正式リリースに向けた開発版である
  BIND 9.6-ESV-R8rc1/9.7.7rc1/9.8.4rc1/9.9.2rc1の各バージョンがリリー
  スされていますが、これらの開発版も本脆弱性の対象となるため、注意が必
  要です。
▽影響範囲
  開発元であるISCは、本脆弱性の深刻度(Severity)を「重大(Critical)」
  と評価しています。本脆弱性は、
  ・キャッシュDNSサーバー及び権威DNSサーバーの双方が対象となること
  ・現在までにリリースされたすべてのバージョンのBIND 9が対象となること
  ・インターネットに直接接続していないキャッシュ/権威DNSサーバーも、
    攻撃の対象となりうること
  ・攻撃手法が比較的容易であること
  などから、広い範囲での適切な緊急対策が必要となります。
  本脆弱性については、以下の脆弱性情報(*2)も併せてご参照ください。
  (*2)CVE - CVE-2012-4244
        <https://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2012-4244>
▽攻撃シナリオ例
  ISCが発表した、本脆弱性における攻撃シナリオ例を示します。なお、これ
  らは代表的なものであり、これら以外の攻撃シナリオも考えられます。
  ・キャッシュDNSサーバー
    当該のRRを含むデータを攻撃者が管理するゾーンの権威DNSサーバー上に
    作成し、標的となるキャッシュDNSサーバーに名前検索させる。
  ・権威DNSサーバー
    当該のRRを含むデータをゾーンファイル、あるいはゾーン転送の形で、標
    的となる権威DNSサーバーに読み込ませる。
▼一時的な回避策
  ISCでは現在、本脆弱性の一時的な回避策を調査中です。しかし、現時点に
  おいて本脆弱性の一時的な回避策は知られておりません。
▼解決策
  BIND 9.9.1-P3/9.8.3-P3/9.7.6-P3/9.6-ESV-R7-P3へのアップグレード、ま
  たは各ディストリビューションベンダーからリリースされるパッチの適用を、
  速やかに実施してください。
▼参考リンク
  以下に、開発元であるISCから発表されている情報へのリンクを記載します。
  また、各ディストリビューションベンダーからの情報やCVEの情報(*2)な
  どもご確認の上、適切な対応をお願いいたします。
  * ISC
    CVE-2012-4244: A specially crafted Resource Record could cause named to terminate
    <https://kb.isc.org/article/AA-00778>
    BIND 9.9.1-P3
    <http://ftp.isc.org/isc/bind9/9.9.1-P3/bind-9.9.1-P3.tar.gz>
    BIND 9.8.3-P3
    <http://ftp.isc.org/isc/bind9/9.8.3-P3/bind-9.8.3-P3.tar.gz>
    BIND 9.7.6-P3
    <http://ftp.isc.org/isc/bind9/9.7.6-P3/bind-9.7.6-P3.tar.gz>
    BIND 9.6-ESV-R7-P3
    <http://ftp.isc.org/isc/bind9/9.6-ESV-R7-P3/bind-9.6-ESV-R7-P3.tar.gz>
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▼更新履歴
  2012-09-13 10:00 初版作成
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