DNS関連技術情報のトップへ戻る

---------------------------------------------------------------------
■BIND 9.xの脆弱性(DNSサービスの停止)について(CVE-2018-5740)
  - deny-answer-aliases機能を有効にしている場合のみ対象、
    バージョンアップを推奨 -

                                株式会社日本レジストリサービス(JPRS)
                                            初版作成 2018/08/09(Thu)
---------------------------------------------------------------------

▼概要

  BIND 9.xにおける実装上の不具合により、namedに対する外部からのサービ
  ス不能(DoS)攻撃が可能となる脆弱性が、開発元のISCから発表されました。
  本脆弱性により、提供者が意図しないサービスの停止が発生する可能性があ
  ります。

  なお、本脆弱性は設定ファイル(通常はnamed.conf)において、
  deny-answer-aliases機能を有効にしている場合にのみ該当します(デフォルト
  では無効)。

  該当するBIND 9のパッケージを利用しているユーザーは、各ディストリビュー
  ションベンダーからリリースされる情報の収集やバージョンアップなど、適
  切な対応を取ることを推奨します。

▼詳細

▽本脆弱性の概要

  deny-answer-aliasesは、応答のCNAME/DNAMEレコードの正式名が指定したド
  メイン名、またはそのサブドメインであった場合、そのCNAME/DNAMEレコー
  ドを破棄することで、コンテンツフィルタリングを実現するための機能です。

  BIND 9.xのdeny-answer-aliases機能の実装には不具合があり、本機能を使
  用した場合にINSIST assertion failureを引き起こし、namedが異常終了す
  る障害が発生します(*1)。

  (*1)本脆弱性によりnamedが異常終了した場合、name.cでassertion
        failureを引き起こした旨のメッセージがログに出力されます。

  本脆弱性により、DNSサービスの停止が発生する可能性があります。また、
  本脆弱性を利用した攻撃はリモートから可能です。

▽対象となるバージョン

  本脆弱性は、以下のバージョンのBIND 9が該当します。

  ・9.12系列:9.12.0~9.12.2
  ・9.11系列:9.11.0~9.11.4
  ・9.10系列:9.10.0~9.10.8
  ・9.9系列:9.9.0~9.9.13
  ・上記以外の系列:9.7.0~9.8.8、9.13.0~9.13.2

  なお、ISCでは9.8以前の系列のBIND 9のサポートを終了しており、これらの
  バージョンに対するセキュリティパッチはリリースしないと発表しています。

▽影響範囲

  ISCは、本脆弱性の深刻度(Severity)を「高(High)」と評価しています。

  ただし、本脆弱性は、named.confにおいてdeny-answer-aliases機能を有効
  にしているリゾルバーのみが対象となります。

  本脆弱性については、以下の脆弱性情報(*1)も併せてご参照ください。

  (*1)CVE - CVE-2017-5740
        <https://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2017-5740>

▼一時的な回避策

  deny-answer-aliases機能を有効にしている場合、無効にすることで本脆弱
  性の影響を回避できます。なお、deny-answer-aliases機能はデフォルトで
  無効に設定されています。

▼解決策

  本脆弱性を修正したパッチバージョン(BIND 9.12.2-P1/9.11.4-P1/
  9.10.8-P1/9.9.13-P1)への更新、あるいは各ディストリビューションベン
  ダーからリリースされる更新を適用してください。

▼参考リンク

  以下に、ISCから発表されている情報へのリンクを記載します。また、各ディ
  ストリビューションベンダーからの情報や前述のCVEの情報なども確認の上、
  適切な対応を取ることを強く推奨します。

  - ISC

   セキュリティアドバイザリ

    CVE-2018-5740: A flaw in the "deny-answer-aliases" feature can
                   cause an INSIST assertion failure in named
    <https://kb.isc.org/article/AA-01639>

   パッチバージョンの入手先
    BIND 9.12.2-P1
    <https://ftp.isc.org/isc/bind9/9.12.2-P1/bind-9.12.2-P1.tar.gz>
    BIND 9.11.4-P1
    <https://ftp.isc.org/isc/bind9/9.11.4-P1/bind-9.11.4-P1.tar.gz>
    BIND 9.10.8-P1
    <https://ftp.isc.org/isc/bind9/9.10.8-P1/bind-9.10.8-P1.tar.gz>
    BIND 9.9.13-P1
    <https://ftp.isc.org/isc/bind9/9.9.13-P1/bind-9.9.13-P1.tar.gz>

▼連絡先

  本文書に関するお問い合わせは <dnstech-info@jprs.co.jp> までご連絡くだ
  さい。

---------------------------------------------------------------------
▼更新履歴
  2018/08/09 11:00 初版作成


株式会社日本レジストリサービス Copyright©2001-2024 Japan Registry Services Co., Ltd.