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■BIND 9.xの脆弱性(DNSサービスの停止)について(CVE-2020-8618)
  - バージョンアップを推奨 -

                                株式会社日本レジストリサービス(JPRS)
                                            初版作成 2020/06/18(Thu)
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▼概要

  BIND 9.xにおける実装上の不具合により、namedに対する外部からのサービ
  ス不能(DoS)攻撃が可能となる脆弱性が、開発元のISCから発表されました。
  本脆弱性により、提供者が意図しないDNSサービスの停止が発生する可能性
  があります。

  本脆弱性は、BIND 9.16系列が影響を受けます。該当するBIND 9のパッケー
  ジを利用しているユーザーは、各ディストリビューションベンダーからリリー
  スされる情報の収集やバージョンアップなど、適切な対応を取ることを推奨
  します。

▼詳細

▽本脆弱性の概要

  ゾーン転送は、権威DNSサーバー間でゾーン情報を同期する手法の一つです。
  コピー先のセカンダリサーバーがコピー元のプライマリサーバーにゾーンデー
  タをリクエストし、プライマリサーバーからセカンダリサーバーに必要な情
  報が送られます。

  BIND 9.xには受信データのバッファ終端チェックに不具合があり、ゾーン転
  送においてセカンダリサーバーが大きな応答を受け取った場合、namedが異
  常終了する可能性があります[*1]。

  [*1] 本脆弱性によりnamedが異常終了した場合、rdataset.cでassertion
       failureを引き起こした旨のメッセージがログに出力されます。

  外部の攻撃者がこの状況を発生させることが可能である場合、当該サーバー
  のDNSサービスを停止させることが可能になります。

▽対象となるバージョン

  本脆弱性は、BIND 9.16系列が該当します。

  ・9.16系列:9.16.0~9.16.3

▽影響範囲

  ISCは、本脆弱性の深刻度(Severity)を「中(Medium)」と評価しています。

  本脆弱性については、以下の脆弱性情報[*2]も併せてご参照ください。

  [*2] CVE - CVE-2020-8618
       <https://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2020-8618>

▼一時的な回避策

  本脆弱性の一時的な回避策は存在しません。

▼解決策

  本脆弱性を修正したパッチバージョン(BIND 9.16.4)への更新、あるいは、
  各ディストリビューションベンダーからリリースされる更新の適用を実施し
  てください。

▼参考リンク

  以下に、ISCから発表されている情報へのリンクを記載します。また、各ディ
  ストリビューションベンダーからの情報や前述のCVEの情報なども確認の上、
  適切な対応を取ることを推奨します。

  - ISC

   セキュリティアドバイザリ

    CVE-2020-8618: A buffer boundary check assertion in rdataset.c can 
                   fail incorrectly during zone transfer
    <https://kb.isc.org/docs/cve-2020-8618>

   パッチバージョンの入手先

    BIND 9.16.4
    <https://ftp.isc.org/isc/bind9/9.16.4/bind-9.16.4.tar.xz>

▼連絡先

  本文書に関するお問い合わせは <dnstech-info@jprs.co.jp> までご連絡くだ
  さい。

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▼更新履歴
  2020/06/18 10:00 初版作成


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