---------------------------------------------------------------------
■(緊急)BIND 9.18.xの脆弱性(メモリリークの発生)について(CVE-2022-2906)
- BIND 9.18系列のみが対象、バージョンアップを強く推奨 -
株式会社日本レジストリサービス(JPRS)
初版作成 2022/09/22(Thu)
---------------------------------------------------------------------
▼概要
BIND 9.18.xにおける実装上の不具合により、namedに対する外部からの攻撃
が可能となる脆弱性が、開発元のISCから発表されました。本脆弱性により
namedを含む当該サーバーで動作しているプログラム/システムがメモリ不
足に陥り、異常動作や停止が発生する可能性があります。
該当するBIND 9のパッケージを利用しているユーザーは、各ディストリビュー
ションベンダーからリリースされる情報の収集やバージョンアップなど、適
切な対応を速やかに取ることを強く推奨します。
本脆弱性は、BIND 9.18系列のみが対象となります。
▼詳細
▽本脆弱性の概要
BIND 9.xは暗号化ライブラリとして、OpenSSLを使っています。BIND 9.18.x
では従来からのOpenSSL 1.xに加え、OpenSSL 3.0にも対応しています。
BIND 9.18.xがOpenSSL 3.0に対応したことで、OpenSSL 1.xとOpenSSL 3.0の
間の変更により、OpenSSL 3.0.0以降がリンクされているnamedでTKEY[*1]に
よるDiffie-Hellman[*2]モードの共通鍵の処理を処理する際、メモリリーク
が発生する不具合が顕在化しました。
[*1] DNSのトランザクションをやりとりする2台のホスト間で用いる秘密鍵
(共有鍵)を生成・共有するための機能で、RFC 2930で定義されてい
ます。
[*2] 共有鍵の受け渡しを安全に行うための方式の一つです。
本脆弱性を利用して、外部の攻撃者がnamedプロセスのメモリ消費量を増大
させ、namedを含む当該サーバーで動作しているプログラム/システムをメ
モリ不足に陥らせることで、異常動作や停止を誘発させることが可能になり
ます[*3]。
[*3] TKEYの機能を使用していない場合も、本脆弱性の対象となります。
また、namedプロセスのメモリ使用量がオペレーティングシステムによって
制限されていない場合、システムで使用可能なすべてのメモリが枯渇し、シ
ステム全体に悪影響が及ぶ可能性があります。
▽対象となるバージョン
本脆弱性は、以下のバージョンのBIND 9が該当します。
・9.18系列:9.18.0-9.18.6
▽影響範囲
ISCは、本脆弱性の深刻度(Severity)を「高(High)」と評価しています。
本脆弱性はBIND 9.18系列において、namedにOpenSSL 3.0.0以降がリンクさ
れている場合のみ対象となります。
本脆弱性については、以下の脆弱性情報[*4]も併せてご参照ください。
[*4] CVE - CVE-2022-2906
<https://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2022-2906>
▼一時的な回避策
本脆弱性の一時的な回避策は存在しません。
▼解決策
本脆弱性を修正したパッチバージョン(BIND 9.18.7)への更新、あるいは、
各ディストリビューションベンダーからリリースされる更新の適用を、速や
かに実施してください。
▼参考リンク
以下に、ISCから発表されている情報へのリンクを記載します。また、各ディ
ストリビューションベンダーからの情報や前述のCVEの情報なども確認の上、
適切な対応を取ることを強く推奨します。
- ISC
セキュリティアドバイザリ
CVE-2022-2906: Memory leaks in code handling Diffie-Hellman key
exchange via TKEY RRs (OpenSSL 3.0.0+ only)
<https://kb.isc.org/docs/cve-2022-2906>
パッチバージョンの入手先
BIND 9.18.7
<https://ftp.isc.org/isc/bind9/9.18.7/bind-9.18.7.tar.xz>
▼連絡先
本文書に関するお問い合わせは <dnstech-info@jprs.co.jp> までご連絡くだ
さい。
---------------------------------------------------------------------
▼更新履歴
2022/09/22 10:00 初版作成
株式会社日本レジストリサービス Copyright©2001-2024 Japan Registry Services Co., Ltd.