---------------------------------------------------------------------
■(緊急)BIND 9.xの脆弱性(DNSサービスの停止)について(CVE-2022-3736)
  - バージョンアップを強く推奨 -
                                株式会社日本レジストリサービス(JPRS)
                                            初版作成 2023/01/26(Thu)
---------------------------------------------------------------------
▼概要
  BIND 9.xにおける実装上の不具合により、namedに対する外部からのサービ
  ス不能(DoS)攻撃が可能となる脆弱性が、開発元のISCから発表されました。
  本脆弱性により、提供者が意図しないDNSサービスの停止が発生する可能性
  があります。
  該当するBIND 9のパッケージを利用しているユーザーは、各ディストリビュー
  ションベンダーからリリースされる情報の収集やバージョンアップなど、適
  切な対応を速やかに取ることを強く推奨します。
  本脆弱性はserve-stale(後述)が有効になっているnamedにおいて(デフォ
  ルトでは無効)、設定ファイル(通常はnamed.conf)の
  stale-answer-client-timeoutオプションに、0より大きい値を指定している
  場合のみ対象となります。
▼詳細
▽本脆弱性の概要
  serve-staleはRFC 8767で定義される、DDoS攻撃や事故などで権威DNSサーバー
  から応答が得られなかった場合に期限切れのキャッシュデータを活用して、
  名前解決を継続するための機能です。namedのserve-staleはデフォルトで無
  効になっており、設定ファイルのほか、rndcコマンドで有効に変更できます。
  BIND 9.xにはserve-staleの実装に不具合があり、以下の条件をすべて満た
  した場合、namedが異常終了する可能性があります。
    1)serve-staleが有効になっている
    2)設定ファイルにおいて、stale-answer-client-timeoutオプションに
       0より大きい値を設定している(デフォルトではoff)
    3)クライアントから、RRSIGレコードのクエリを受け取る
  そのため、外部の攻撃者がこの状況を発生させることができた場合、当該サー
  バーのDNSサービスを停止させることが可能になります。
▽対象となるバージョン
  本脆弱性は、以下のバージョンのBIND 9が該当します。
  ・9.18系列:9.18.0-9.18.10
  ・9.16系列:9.16.12-9.16.36
  なお、ISCではサポートを終了した系列のセキュリティパッチはリリースし
  ないと発表しています。
▽影響範囲
  ISCは、本脆弱性の深刻度(Severity)を「高(High)」と評価しています。
  本脆弱性はnamedの設定ファイルにおいて、stale-answer-client-timeoutオ
  プションに0より大きい値を設定している場合のみ対象となります。
  本脆弱性については、以下の脆弱性情報[*1]も併せてご参照ください。
  [*1] CVE Record | CVE
       <https://www.cve.org/CVERecord?id=CVE-2022-3736>
▼一時的な回避策
  namedの設定ファイル(通常はnamed.conf)において、
  stale-answer-client-timeoutオプションに0またはoff/disabled(デフォル
  ト)を設定することで、本脆弱性を回避できます。
▼解決策
  本脆弱性を修正したパッチバージョン(BIND 9.18.11/9.16.37)への更新、
  あるいは、各ディストリビューションベンダーからリリースされる更新の適
  用を、速やかに実施してください。
▼参考リンク
  以下に、ISCから発表されている情報へのリンクを記載します。また、各ディ
  ストリビューションベンダーからの情報や前述のCVEの情報なども確認の上、
  適切な対応を取ることを強く推奨します。
  - ISC
   セキュリティアドバイザリ
    CVE-2022-3736: named configured to answer from stale cache may
                   terminate unexpectedly while processing RRSIG
                   queries
       <https://kb.isc.org/docs/cve-2022-3736>
   パッチバージョンの入手先
    BIND 9.18.11
       <https://ftp.isc.org/isc/bind9/9.18.11/bind-9.18.11.tar.xz>
    BIND 9.16.37
       <https://ftp.isc.org/isc/bind9/9.16.37/bind-9.16.37.tar.xz>
▼連絡先
  本文書に関するお問い合わせは <dnstech-info@jprs.co.jp> までご連絡くだ
  さい。
---------------------------------------------------------------------
▼更新履歴
  2023/01/26 10:00 初版作成
株式会社日本レジストリサービス Copyright©2001-2025 Japan Registry Services Co., Ltd.