---------------------------------------------------------------------
■(緊急)BIND 9.xの脆弱性(過剰なCPU負荷の誘発)について(CVE-2023-50387)
- バージョンアップを強く推奨 -
株式会社日本レジストリサービス(JPRS)
初版作成 2024/02/14(Wed)
---------------------------------------------------------------------
▼概要
BIND 9.xにおける実装上の不具合により、namedに対する外部からの攻撃が
可能となる脆弱性が、開発元のISCから発表されました。本脆弱性により
namedにおいて過剰なCPU負荷が誘発され、結果としてサービスの停止や品質
低下などが発生する可能性があります。
該当するBIND 9のパッケージを利用しているユーザーは、各ディストリビュー
ションベンダーからリリースされる情報の収集やバージョンアップなど、適
切な対応を速やかに取ることを強く推奨します。
▼詳細
▽本脆弱性の概要
DNSSECはDNS応答に電子署名を追加し、受け取り側で検証することでDNSの攻
撃耐性を向上させる、セキュリティ拡張機能です。
BIND 9.xのDNSSEC検証の実装には脆弱性があり、特別に作成されたDNSSEC署
名済みゾーンを名前解決させることで、DNSSEC検証を実施するnamedのCPU負
荷を過剰に高められる可能性があります。
これを利用し、外部の攻撃者がnamedプロセスに本件を誘発するDNS問い合わ
せを送ることでCPU負荷を増大させ、過負荷に陥らせることにより、namedを
含むシステム全体のパフォーマンスの低下や停止が誘発される可能性があり
ます。
▽対象となるバージョン
本脆弱性は、BIND 9.0.0以降のすべてのバージョンのBIND 9が該当します。
・9.18系列:9.18.0-9.18.22
・それ以外の系列:9.0.0-9.16.46
なお、ISCではBIND 9.11.37より前のバージョンにおいて、本脆弱性の評価を
実施していません。
▽影響範囲
ISCは、本脆弱性の深刻度(Severity)を「高(High)」と評価しています。
本脆弱性については、以下の脆弱性情報[*1]も併せてご参照ください。
[*1] CVE Record | CVE
<https://www.cve.org/CVERecord?id=CVE-2023-50387>
▼一時的な回避策
DNSSEC検証を無効にすることで、本脆弱性を回避できます。しかし、DNSSEC
による保護も無効になるため、本回避策は推奨されません。
▼解決策
本脆弱性を修正したパッチバージョン(BIND 9.18.24/9.16.48)への更新、
あるいは、各ディストリビューションベンダーからリリースされる更新の適
用を、速やかに実施してください。
▼参考リンク
以下に、ISCから発表されている情報へのリンクを記載します。また、各ディ
ストリビューションベンダーからの情報や前述のCVEの情報なども確認の上、
適切な対応を取ることを強く推奨します。
- ISC
セキュリティアドバイザリ
CVE-2023-50387: KeyTrap - Extreme CPU consumption in DNSSEC
validator
<https://kb.isc.org/docs/cve-2023-50387>
パッチバージョンの入手先
BIND 9.18.24
<https://ftp.isc.org/isc/bind9/9.18.24/bind-9.18.24.tar.xz>
BIND 9.16.48
<https://ftp.isc.org/isc/bind9/9.16.48/bind-9.16.48.tar.xz>
▼連絡先
本文書に関するお問い合わせは <dnstech-info@jprs.co.jp> までご連絡くだ
さい。
---------------------------------------------------------------------
▼更新履歴
2024/02/14 11:00 初版作成
株式会社日本レジストリサービス Copyright©2001-2024 Japan Registry Services Co., Ltd.