---------------------------------------------------------------------
■(緊急)BIND 9.xの脆弱性(パフォーマンスの低下)について(CVE-2024-1737)
- バージョンアップを強く推奨 -
株式会社日本レジストリサービス(JPRS)
初版作成 2024/07/24(Wed)
---------------------------------------------------------------------
▼概要
BIND 9.xにおける実装上の不具合により、namedに対する外部からの攻撃が
可能となる脆弱性が、開発元のISCから発表されました。本脆弱性により、
namedのパフォーマンスが低下し、サービスが妨害される可能性があります。
該当するBIND 9のパッケージを利用しているユーザーは、各ディストリビュー
ションベンダーからリリースされる情報の収集やバージョンアップなど、適
切な対応を速やかに取ることを強く推奨します。
▼詳細
▽本脆弱性の概要
DNSではドメイン名に関連付けられた情報を、リソースレコード(RR)として
管理します。RRにはさまざまな種類があり、それぞれに対し、役割と記述の
ルールが定められています。
BIND 9.xにはRRの処理の実装に不具合があり、以下の場合において、namedの
パフォーマンスが低下する可能性があります[*1]。
[*1] 開発元のISCからは、本件によりクエリの処理が1/100に低下する可能
性がある旨が報告されています。
・同じドメイン名に大量のRRが設定されたデータを保持している権威DNSサー
バーにおいて、ゾーンデータを追加・変更する
・同じドメイン名に大量のRRが設定されたデータをキャッシュしているフル
リゾルバー(キャッシュDNSサーバー)において、クライアントからのクエ
リを処理する
そのため、外部の攻撃者がこの状況を発生させることができた場合、named
のパフォーマンスが低下し、サービスが妨害される可能性があります。
▽対象となるバージョン
本脆弱性は、以下のバージョンのBIND 9が該当します。
・9.11系列:9.11.0-9.11.37
・9.16系列:9.16.0-9.16.50
・9.18系列:9.18.0-9.18.27
なお、ISCではBIND 9.11.0より前のバージョンにおいて、本脆弱性の評価を
実施していません。
▽影響範囲
ISCは、本脆弱性の深刻度(Severity)を「高(High)」と評価しています。
本脆弱性については、以下の脆弱性情報[*2]も併せてご参照ください。
[*2] CVE Record | CVE
<https://www.cve.org/CVERecord?id=CVE-2024-1737>
▼一時的な回避策
本脆弱性の一時的な回避策は存在しません。
▼解決策
本脆弱性を修正したパッチバージョン(BIND 9.18.28/9.20.0)への更新、
あるいは、各ディストリビューションベンダーからリリースされる更新の適
用を、速やかに実施してください。
▼参考リンク
以下に、ISCから発表されている情報へのリンクを記載します。また、各ディ
ストリビューションベンダーからの情報や前述のCVEの情報なども確認の上、
適切な対応を取ることを強く推奨します。
- ISC
セキュリティアドバイザリ
CVE-2024-1737: BIND’s database will be slow if a very large
number of RRs exist at the same name
<https://kb.isc.org/docs/cve-2024-1737>
パッチバージョンの入手先
BIND 9.18.28
<https://ftp.isc.org/isc/bind9/9.18.28/bind-9.18.28.tar.xz>
BIND 9.20.0
<https://ftp.isc.org/isc/bind9/9.20.0/bind-9.20.0.tar.xz>
▼連絡先
本文書に関するお問い合わせは <dnstech-info@jprs.co.jp> までご連絡くだ
さい。
---------------------------------------------------------------------
▼更新履歴
2024/07/24 11:00 初版作成
株式会社日本レジストリサービス Copyright©2001-2024 Japan Registry Services Co., Ltd.