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■(緊急)BIND 9.20.xの脆弱性(DNSサービスの停止)について(CVE-2025-40775)
- フルリゾルバー(キャッシュDNSサーバー)/権威DNSサーバーの双方が対象、
バージョンアップを強く推奨 -
株式会社日本レジストリサービス(JPRS)
初版作成 2025/05/22(Thu)
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▼概要
BIND 9.20.xにおける実装上の不具合により、namedに対する外部からのサー
ビス不能(DoS)攻撃が可能となる脆弱性が、開発元のISCから発表されまし
た。本脆弱性により、提供者が意図しないDNSサービスの停止が発生する可
能性があります。
本脆弱性はフルリゾルバー(キャッシュDNSサーバー)及び権威DNSサーバー
の双方が対象となります。該当するBIND 9.20.xを利用しているユーザーは、
各ディストリビューションベンダーからリリースされる情報の収集やバージョ
ンアップなど、適切な対応を速やかに取ることを強く推奨します。
本脆弱性は、BIND 9.20系列のみ対象となります。
▼詳細
▽本脆弱性の概要
TSIGはRFC 8945で定義される、DNSの通信(トランザクション)に電子署名
を付加し、通信の安全性を高めるための仕組みです。TSIGを利用することで、
ゾーン転送、DNS NOTIFY、Dynamic Updateなどにおいて通信相手を認証し、
通信路におけるデータの改ざんを検知できます。
BIND 9.20.xにはTSIGを含むメッセージのチェックに不具合があり、アルゴ
リズム名のフィールドに不正な値が含まれるメッセージを受け取った際に、
namedが異常終了する可能性があります[*1]。
[*1] 本脆弱性によりnamedが異常終了した場合、assertion failureを引き
起こした旨のメッセージがログに出力されます。
外部の攻撃者がこの状況を発生させることが可能である場合、当該サーバー
のDNSサービスを停止させることが可能になります。
▽対象となるバージョン
本脆弱性は、以下のバージョンのBIND 9が該当します。
・9.20系列:9.20.0-9.20.8
▽影響範囲
ISCは、本脆弱性の深刻度(Severity)を「高(High)」と評価しています。
本脆弱性は、
・外部から該当する問い合わせパケットを一つ送りつけるだけで、namedを
異常終了させられること
・フルリゾルバー及び権威DNSサーバーの双方が対象となること
・TSIGを設定・利用していない場合も対象となること
・namedの設定ファイル(named.conf)によるアクセスコントロール(ACL)
や設定オプションの変更では、影響を回避・軽減できないこと
などから、広い範囲での適切な緊急対策が必要となります。
本脆弱性については、以下の脆弱性情報[*2]も併せてご参照ください。
[*2] CVE Record | CVE
<https://www.cve.org/CVERecord?id=CVE-2025-40775>
▼一時的な回避策
本脆弱性の一時的な回避策は存在しません。
▼解決策
本脆弱性を修正したパッチバージョン(BIND 9.20.9)への更新、あるいは、
各ディストリビューションベンダーからリリースされる更新の適用を、速や
かに実施してください。
▼参考リンク
以下に、ISCから発表されている情報へのリンクを記載します。また、各ディ
ストリビューションベンダーからの情報や前述のCVEの情報なども確認の上、
適切な対応を取ることを強く推奨します。
- ISC
セキュリティアドバイザリ
CVE-2025-40775: DNS message with invalid TSIG causes an assertion
failure
<https://kb.isc.org/docs/cve-2025-40775>
パッチバージョンの入手先
BIND 9.20.9
<https://ftp.isc.org/isc/bind9/9.20.9/bind-9.20.9.tar.xz>
▼連絡先
本文書に関するお問い合わせは <dnstech-info@jprs.co.jp> までご連絡くだ
さい。
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▼更新履歴
2025/05/22 11:00 初版作成
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