委員会資料
第8回JPドメイン名諮問委員会議事録
株式会社日本レジストリサービス 第8回JPドメイン名諮問委員会議事録
1. 日 時: 2004年2月10日(火) 13:00 ~ 15:00
2. 場 所: ホテルグランドパレス 4階『橘の間』
〒102-0072 東京都千代田区飯田橋1-1-1
Tel 03-3264-1111 Fax 03-3230-4985
3. 出 席 者: 後藤滋樹委員長
飯塚久夫委員
加藤真代委員
加藤雄一委員
4. 陪 席 者: 佐野晋(JPRS 代表取締役副社長)
渡邊哲男(JPRS 取締役)
堀田博文(JPRS 取締役)
宇井隆晴(JPドメイン名諮問委員会事務局)
5. 次 第:
1. 開会
2. 議題
(1) 指定事業者制度の下での特定の状況におけるJPドメイン名とその登録者
の保護について
(2) 一般企業代表諮問委員の推薦について
(3) その他
3. 閉会
6. 資 料
資料1 JPドメイン名諮問委員一覧
資料2 答申書(案)
資料3 JPドメイン名諮問委員会推薦者(案)
参考資料1 諮問書「指定事業者制度の下での特定の状況におけるJPドメイン名と
その登録者の保護について」
参考資料2 JPドメイン名諮問委員会規則
参考資料3 第7回JPドメイン名諮問委員会議事録
7. 議 事(◎は委員長、○は委員、●は JPRS 取締役および事務局の発言)
《開催の挨拶》
●今回、松本恒雄副委員長、潮田壽彌委員からは止むを得ないご都合にてご欠
席のご連絡をいただいている。本日4名の委員にご出席いただき、諮問委員会
規則での議決定足数を満たしている。また、本日は、JPRSの役員として、副社
長の佐野、役員の堀田、渡邊、および事務局より宇井が陪席させていただくこ
とをご了承お願い申し上げたい。
《指定事業者制度の下での特定の状況におけるJPドメイン名とその登録者の保護について》
◎一つ目の議題は、「指定事業者制度の下における特定の状況におけるJPドメ
イン名とその登録者の保護について」である。
これに関しては2003年9月18日に開催された第6回JPドメイン名諮問委員会にお
いて、今年度の諮問事項として諮問書が提出され、これに対して、諮問委員会
では前々回、前回と議論を重ねてきた。また、委員の方にそれぞれご意見を伺
うことも行ってきた。今回は、これまでの議論の内容をまとめ、答申書として
提出したい。
なお、本日は松本委員が欠席であるが、事前にご意見をいただいているので、
この後の事務局からの説明の中で、その点も説明していただきたい。我々とし
ては、松本委員の意見も含めて、この場で議論をまとめていきたい。
まず、事務局から資料2「答申書(案)」と、松本委員の意見について説明をお
願いしたい。
資料2「答申書(案)」につき、事務局より説明が行われた。
●指定事業者との契約が解約となった場合に、JPRSから登録者に対して意思確
認を行うための「適切な期間」については、前回の委員会での議論では2ヶ月
から6ヶ月の期間を置くべき、という結論に至った。この点について、松本委員
からは、登録者が得た1年間の登録期間を、レジストリが途中で打ち切るべきで
はなく、登録期間を基準とした意思確認を行うべきであろうというご意見をい
ただいた。
松本委員の意見を答申書(案)に反映させると、理由の部分の「適切な期間」と
いう表現を「登録有効期限を基準とした適切な期間」と修正することになると
考えている。
○松本委員の意見では、2~6ヶ月ではなく、1~11ヶ月ということになるか。
●その通り。ただし、登録有効期限が目前に迫っている状況については、数ヶ
月間の登録有効期限を越えた調整が必要であろう、という意見であった。
◎その調整などが必要であるために「適切な期間」という表現で含みを持たせ
るということになろう。
松本委員の意見を反映するとなると、答申書(案)の理由の部分に「登録有効期
限を基準とした」という言葉を挿入することになる。
○「登録有効期限を基準とした」という表現は、ドメイン名ごとに個別に異な
る登録有効期限を限度とした、という意味になるのか。
●その通り。手続きの実装により意思確認期間は登録有効期限を前後すること
も考えられるため、「基準とした」という表現としている。
○答申書は主文と理由の組み合わせから成るが、主文だけが読まれることも多
い。主文に「登録有効期限を基準とした」という表現が現れないことで、「適
切な期間」が、JPRSの恣意的な期間として捉えられかねない。主文にも同様の
記述を行うべきではないか。他の委員の意見を伺いたい。
○登録者に対する指定事業者のサービスが契約期間中に終了した場合は、一般
的には残る期間の料金は返金されていると思うが、レジストリと登録者の関係
ではどうなるのか。JPドメイン名を登録有効期限まで1年間登録するというレ
ジストリの責任は、指定事業者のサービス終了に関わらず負わなければならな
いのか。
●JPドメイン名の登録は登録者との1年契約であり、指定事業者から1年ごとに
登録更新料をいただく。1年間の維持ではなく、登録の更新にあたっての料金
であるため、ドメイン名が途中で廃止となった場合も指定事業者への返金は行
わない。
また、登録者と指定事業者の間のサービス契約にはJPRSは関与しないため、指
定事業者がサービスを終了した場合でも、登録者への返金は行わない。
○その前提のときに、登録者に対してJPドメイン名の登録を1年間維持するの
はレジストリが通常果たすべき役割ということか。
●その通り。また、松本委員の意見は、そのような契約関係だけでなく、登録
者の心理として1年間のドメイン名登録を得たと思っており、指定事業者のサー
ビスが終了したとしても、ドメイン名の登録は維持されるはずである、という
気持ちを保護することも大切である、というものであった。
○電話番号においても同様の問題は昔から発生していたが、JPドメイン名では、
登録が抹消されたドメイン名は、別のユーザからの登録申請があった際にはす
ぐに登録が可能であるのか。
●JPドメイン名では、廃止後に一時凍結期間というものが存在する。この期間
はドメイン名の種類により1ヶ月から6ヶ月であり、この間は当該ドメイン名へ
の登録申請を行うことはできない。
◎つまり今回の答申の事例では、指定事業者のサービス終了後、ドメイン名の
登録有効期限の残存期間に応じて意思表示期間があり、その後に一時凍結期間
となるということか。
●その通り。
◎答申書については、松本委員の意見を取り入れるということでよいだろう。
登録有効期限を尊重し、意思確認期間は一律ではなく、ドメイン名ごとに異な
る期間をもって扱う。実際には登録有効期限が手続を行っている間に過ぎてし
まうような事例も考えられるため、「適切な」という表現を行う。
また、主文にも同様の記述をするべき、という意見があったが、どうか。
松本委員の意見を取り入れて答申書(案)を修正すること、主文にも同様の記
述を行うことが合意された。
◎この方針に従った文書作成については事務局に依頼し、その後に各委員にご
確認をお願いする。その後、正式な答申書として提出することとなる。
《一般企業代表諮問委員の推薦について》
◎それでは、続いての議題「一般企業代表諮問委員の推薦について」に移りた
い。前回の会合で報告があったように、現在潮田委員に一般企業代表としての
諮問委員お願いしているが、社内での役割のご変更等に伴い、委員の交代の申
し出をいただいており、委員各位からいただいたご意見をもとに、日本経団連
との相談を事務局に進めていただいていた。
資料3にあるとおり、本件に関して日本ユニシスの代表取締役社長の島田精一
氏にご相談させていただいている。島田精一氏は日本経団連において国際通信
部会長を勤めてご活躍されており、潮田委員の後任として、この場で島田精一
氏の推薦を諮りたい。
◎それでは、ご本人への就任依頼等の具体的な手続きは事務局からすすめても
らう。
一般企業代表諮問委員として、日本ユニシス株式会社の島田精一氏が推薦
された。
《その他》
◎本日の議題としては以上だが、前回委員会で議論を行った「JPドメイン名登
録管理業務における公平性・中立性について」の現状についてJPRSからコメン
トをいただければと思う。
●これまで2回、JPドメイン名登録管理業務における公平性・中立性について
はご審議いただいているが、この問題は今一度整理が必要であり、皆様からい
ただいたご意見をもとにまとめの作業をしている状況。後日、何らかの形でご
報告したい。
◎このテーマはこの委員会自身の位置づけにも関係があることでもあるので、
引き続きご意見を承ることになろうかと思うが、目下のところJPRSで問題の整
理を進めているということなので、また議論の材料をご提供いただき、委員会
での討議をすすめたい。その他、委員の皆様からご確認されたいことはあるか。
○最近ウイルス等による被害の事例が多いが、これに関連して、ドメイン名と
いう切り口で被害を受ける事例はあるのか。また、これに対する対策等があれ
ばお話を伺いたい。
●一般にウイルスというよりは「攻撃」という面で見ると、インターネット上
の名前であるドメイン名を管理するDNSをターゲットとして攻撃を行うと、たと
えばメールを送れなくなる、ウェブが見えなくなるといったことは起こりうる
ので、ドメイン名は攻撃の対象になることがある。
DNSの機能停止はインターネット全体の停止を意味するので、その意味でJPRSが
運営しているDNSはインターネットの中で非常に重要な位置を占めている。
DNSについては、攻撃に対する十分な対応ができるように、技術研究を進めその
ための設備を用意している。これについては、JPドメインだけではなく、世界
的にドメイン名の運営組織全体のなかで対策を行っている
●攻撃される側の観点だけでなく、攻撃元の情報もこうした対策にとっては重
要であり、その際に手がかりとなるのがIPアドレスやドメイン名。JPドメイン
名についてはJPRSで、IPアドレスについてはJPNICで登録情報を公開し、そのド
メインを登録しているのが誰であるかを確認できるサービスを行っている。
登録情報をインターネットに公開することによって、そういった攻撃元(そこ
もまた被害者である可能性がある)とコンタクトをすることで、しばしばこう
したこの問題の解決が図られている。
特に最近whoisのサービスがインターネット上で非常に重視されてきており、レ
ジストリとして適切な情報を提供することへの期待は高いと認識している。
○Mydoomなど一部のウイルスには、ある特定の企業のドメイン名をターゲット
にして攻撃するものもある。ウイルスに関しては、ユーザの意識が高くなって
いるので思ったほどの被害は発生していない部分もあるが、もっと根本的な課
題は、強固なDNSの構築のための新たな技術開発の必要性である。
もうひとつの問題はwhoisで、これはある意味でインターネットの公開性を象徴
しているが、かつて電話利用者や電話番号をすべて開示するという方針をやめ
た電話帳の例にみられるように、全面開示しない方針のものもある。whoisなど
が今のままのあり方でよいのかどうかは、日本だけの問題ではなく、公平性・
中立性の問題と同様に、今後様々な検討をしていかなければならない。
◎DNSに対する攻撃としては、昨年の1月に韓国の事例がある。国によってもか
なり構成が異なるので、単純に日本でも同じことが起こるとは言えないが、対
策として単純に防御するとある種の使い方をしている場合は防御が働かない場
合がある、といった様々な問題がある。
whoisに関しては、昔は単純に情報を公開していたが、近年はこれをかなり抑
制する方向になりつつあり、一方で充分な情報を公開しないと必要な場合の対
策が取れないというなかで、中間的に「連絡がつけばよい」という部分で考え
ると、信用に足る機関が一旦その情報を預かり、必要なときに開示するという
解決法を想定した場合には、公平性・中立性を持った信頼できる機関としての
役割が以前に比べると重要になっていると言えるのではないか。
その意味ではJPRSも、IPAやJPCERT等の組織で研究を行うなどの活動をしてお
り、日本における体制は万全に近いと思うが、問題そのものを根絶するのは困
難であるため、一層留意してやっていかなければならないだろう。
他に、本日ご指摘の事項はあるか。
○委員会規則に委員会設立時の付則が残っているが、これについての見直しも
必要ではないか。
◎現在の委員会規則の付則は確かに不要。規則自体は必要に応じて見直したい
ので、ご意見があれば随時ご相談したい。
◎これにて本日の議案を全て終了し、第8回JPドメイン名諮問委員会を閉会する。
《閉会》
以上