委員会資料
第45回JPドメイン名諮問委員会議事録
株式会社日本レジストリサービス 第45回JPドメイン名諮問委員会 議事録
1. 日 時: 2013年5月30日(木) 15:00 ~ 16:33
2. 場 所: 株式会社日本レジストリサービス内 会議室
東京都千代田区西神田3-8-1 千代田ファーストビル東館13F
3. 出席者: 後藤滋樹 委員長
松本恒雄 副委員長
林一司 委員
原隆一 委員
唯根妙子 委員
4. 同席者: 堀田博文 (JPRS 取締役)
常山敬秀 (JPRS 事務局)
宇井隆晴 (JPRS 事務局)
松丸真紀子(JPRS 事務局)
5. 次 第:
1. 開会
2. 議題
(1) 第7期JPドメイン名諮問委員会 委員長及び副委員長の選任
(2) 答申書「第7期JPドメイン名諮問委員会委員の選任方法について」
(JPRS-ADVRPT-2012002)への対応について
・JPRSからの報告
(3) 答申書「レジストリが収集する登録情報及びWHOISでの登録者名表示
のあり方について」(JPRS-ADVRPT-2012001)への対応について
・JPRSからの報告
(4) JPドメイン名の概況とドメイン名を取り巻く状況について
・意見交換
(5) その他
3. 閉会
6. 資 料:
資料1 JPドメイン名諮問委員会 委員一覧
資料2 JPドメイン名諮問委員会の答申JPRS-ADVRPT-2012002への対応及び
第7期JPドメイン名諮問委員会委員の任命
資料3 JPドメイン名諮問委員会の答申JPRS-ADVRPT-2012001への対応
資料4 JPドメイン名の概況とドメイン名を取り巻く状況について
参考資料1 諮問書「第7期JPドメイン名諮問委員会委員の選任方法について」
(JPRS-ADV-2012002)
参考資料2 答申書「第7期JPドメイン名諮問委員会委員の選任方法について」
(JPRS-ADVRPT-2012002)
参考資料3 第7期JPドメイン名諮問委員会の委員推薦について
参考資料4 諮問書「レジストリが収集する登録情報及びWHOISでの登録者名
表示のあり方について」(JPRS-ADV-2012001)
参考資料5 答申書「レジストリが収集する登録情報及びWHOISでの登録者名
表示のあり方について」(JPRS-ADVRPT-2012001)
参考資料6 JPドメイン名諮問委員会規則
7.議 事:(◎は委員長、○は委員、●はJPRS取締役及び事務局、△は傍聴者
の発言)
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<開 会>
《出席状況の報告》
●出席状況の報告の前に第7期委員の選任の経過について事務局から報告する。
●2012年12月13日に「第7期JPドメイン名諮問委員会委員の選任方法について」
の諮問書を提出し、2013年1月8日に、6つの団体、分野から各1名の委員を選任す
るとの答申をいただいた。そして、2013年3月1日の第44回の委員会において、
「第7期委員推薦書」を提出いただいた。
これを受け、JPRSにおいては、2013年3月13日に取締役会を開催し、本答申及び
第7期委員推薦書に基づき、第7期委員6名の任命を決議した。その後、6名の委員
の皆様からも、就任へのご承諾をいただいたので、本日、第7期委員会の第1回目
として、「第45回JPドメイン名諮問委員会」を開催する次第である。
●本日の委員会には、後藤滋樹委員、林一司委員、原隆一委員、松本恒雄委員、
唯根妙子委員、以上5名の出席をいただいている。従って、JPドメイン名諮問委
員会規則第13条に規定されている、開催に必要な定足数の「全委員の過半数」を
満たしていることを報告する。
なお、武山芳夫委員については、本日、ご都合によりご欠席の旨、予めご連絡を
いただいている。
本日、JPRSからは、堀田博文、常山敬秀、宇井隆晴、松丸真紀子が同席する。
<議題(1) 第7期JPドメイン名諮問委員会 委員長及び副委員長の選任>
●諮問委員会規則第7条に従い、委員長、副委員長については、委員各位の互選
となっており、委員の皆様の意見をいただきたい。
○委員長を後藤委員に、副委員長を松本委員にお願いしたい。
●他のご意見はないようである。委員長を後藤委員にてお引き受けいただけるか。
○了承した。
●副委員長を松本委員にてお引き受けいただけるか。
○了承した。
●それでは、委員長に後藤委員、副委員長に松本委員が選任されたので、ここか
らは議事の進行を後藤委員長にお願いしたい。
<議題(2) 答申書「第7期JPドメイン名諮問委員会委員の選任方法について」
(JPRS-ADVRPT-2012002)への対応について>
◎「第7期JPドメイン名諮問委員会委員について」への対応については、委員会
の冒頭で、先ほど事務局より経過と対応を報告いただいたので、ここでの報告は
それを持って代えさせていただく。
<議題(3) 答申書「レジストリが収集する登録情報及びWHOISでの登録者名表示
のあり方について」(JPRS-ADVRPT-2012001)への対応について>
◎2012年の委員会の中で、レジストリが収集する登録情報及びWHOISでの登録者
名表示のあり方について議論し、2013年3月21日に答申書として確定した。その
後の検討・対応などについて、本答申へのJPRSの対応を報告していただく。
[事務局より資料について説明]
- 資料3 JPドメイン名諮問委員会の答申JPRS-ADVRPT-2012001への対応
◎進展があれば、また報告して欲しい。
<議題(4) JPドメイン名の概況とドメイン名を取り巻く状況について>
◎「JPドメイン名の概況とドメイン名を取り巻く状況」について、JPRSより説明
いただきたい。この議題は、2013年度の諮問委員会を開催していく上での基礎と
なる部分である。
●2013年度の諮問事項を決めさせていただく前に、JPドメイン名も含めたレジス
トリの状況やドメイン名に関連する最新の動向などについて紹介する。それに対
して忌憚のない意見をお聞かせいただければと考える。また、委員の皆様から追
加の検討課題などあれば提起いただきたい。次回の諮問委員会は、例年であれば
8月下旬頃の開催となるが、本日の議論の状況に基づいて諮問させていただく。
[事務局より資料について説明]
- 資料4 JPドメイン名の概況とドメイン名を取り巻く状況について
○新gTLDについて、日本からも企業名TLDが多く申請されているようだが、これ
は新たなビジネスを展開することを目的としているのか、それとも、第三者によ
る申請を防ぐ防衛目的の申請なのか。
●各企業がどのような目的で申請しているか詳細は不明だが、新gTLDの申請企業
をサポートしている会社に聞いたところによると、全体がどちらかの傾向にある
というわけでなく、積極的な活用を予定しているところもあれば、防衛目的のと
ころもあり、利用目的は未定だがとりあえず申請したなど、申請の目的は様々な
ようだ。ただし、申請にかかる費用が高額なため、防衛や活用を希望しても、申
請できない企業もあるようだ。
○研究目的にゾーン情報を活用する場合もあるようだが、そのような研究はよく
行われているのか。
◎様々な目的に活用できると思う。単に統計を取るということも考えられ、また、
あるネットワーク内のトラフィックから作成したURLリストをn-gramという方法
で解析し、怪しい傾向にあるドメイン名を判定する基準として使用した例もある。
また、大きなネットワークにおいて、必ずしも正確ではないものの、IPアドレス
と位置情報はデータベースが存在するため、大まかな場所の見当をつけることが
できる。一方、ドメイン名にはWhoisのアクセス制限があるため、沢山情報を調
べるには不向きであり、一覧表があるというのは意味があるだろう。
◎スパムメールの送信者にとっては、メールアドレスの実在有無に関わらずやみ
くもにスパムメールを送信するより、実在するドメイン名がわかれば、より正確
にターゲットを絞り込むことができ、能率が上がる。
○やみくもにスパムメールを送信する場合、ゾーン情報がわからなければ、実在
しないメールアドレスにも沢山送信され、大量にエラーが返答される。実在する
ドメイン名と一般的に使われるアカウント名あてに送信すると、とりあえずは相
手に届く。そのため、受取人のメール受信量は増えるが、ネットワーク全体で考
えると、相手に届かない無駄なメールが減るということになるのではないか。
◎スパムメールの場合、ゾーン情報を使わずとも、実在するメールアドレスを収
集する方法はかなり存在するようで、メールアドレスのリストは比較的安価で取
引されているようだ。
◎ネットワーク構造という意味では、世界中で今ネットワークにつながっている
PCの台数をカウントするドメインサーベイと呼ばれるものがある。昔は、世界中
のゾーン情報を集め、Aレコードの対応数をカウントしていたが、ゾーン情報の
公開先が制限されるようになったため、逆引きを利用してカウントするように
なった。従来からの方法によるドメインサーベイには根拠があり、かつ、各領域
のユーザーを合計した場合のように、ユーザーの重複が発生しないため、昔から
の関係者には、あいかわらず使われている。このような使い方も研究目的と言え
るだろう。
◎不確実な情報ではあるが、スパムメールは、1万通送信しても5人程度しか反応
せず、1人当たりの報酬は20セント程度と言われている。そのため、商売をする
には1億通以上の送信が必要で、特殊な性能のサーバーから送信されている。ISP
などは、普通でないOSからの送信を見破る技術などを導入しており、対応はいた
ちごっこのようだ。
◎ゾーン情報をすべて公開するというのは、関係者にとってやはり怖いのではな
いか。ただ、現状のルールには当てはまらない事項が出てきており、例えば大学
の立場からすると、研究開発において、ネットワークの運営側に貢献できる可能
性はあると思う。
○良い使い方と悪い使い方があるというのは、多くの事柄にあてはまるだろう。
ゾーン情報を提供しないというのは、トータルとしてマイナスの部分があるので
あれば、良い使い方を促進するための情報提供ができるかという話だろう。JPRS
とゾーン情報利用者の間できちんとした契約ベースの制約を設けた上でゾーン情
報を提供するのが一つの方法だと思う。
◎その通りだろう。信頼関係という意味では、世の中には少しきわどいものもあ
る。マルウェアは、マルウェア自体がないと研究ができないが、保有しているだ
けで違法となる。実際に日本では学会など、公共的な目的で研究する場合、デー
タの提供先や利用目的などについて契約を締結している。また、適切に数年間運
用した研究者は、手続きが軽くなるなどの工夫が行われている。ゾーン情報を提
供する場合も、いくつかのレベルを設定するのが良い可能性がある。
○gTLDではゾーン情報が提供されているとのことだが、実際に悪用されて起きた
被害事例はあるのか。
●おそらく様々な使われ方をしているとは思うが、ゾーン情報の悪用事例である
ことを判定するのは難しいだろう。契約ベースで情報のやり取りがされたとして
も、やり取りされる対象はデジタルデータであり、提供後の動きまでは把握でき
ないだろう。
◎悪用を考える人がどの程度使っているのかという情報は、ある程度グレーな部
分にいかないと見えない部分だろう。悪用のされ方を把握するために、アメリカ
などでは、悪用する側にいた人を政府が雇うといったような策をとっている。
●スパムメールを送信するのに有効なメールアドレス一覧やセキュリティ欠陥の
あるWebサイト一覧などは、値段がつけられ、取引されているようだ。ゾーン情
報がこのようなリストの元データとなっている可能性がないとは言えないだろう。
◎少し前に流行したDNSを使った攻撃の時は、早稲田大学にも何度か攻撃があり、
かなり多くのパケットを受けた。それまで、フリーにアクセスできるキャッシュ
サーバーのリストを関係者が保有していたが、一般には公開していなかった。警
告するために一般に公開しようとした場合、実に様々なところに存在することが
判明した。大学でも、研究室単位までは、対策を徹底させるのに時間がかかった。
ある程度の能力の人が行うと簡単に悪用できるが、広く警告しなければならない
情報について、伏せておく方が良いのか、それとも公開した方が良いのかについ
ては、難しい問題だろう。
○gTLDではゾーン情報の提供が原則とのことだが「.jp」以外のccTLDにおいては
提供されているのか?
●多くのccTLDも「.jp」と同様にゾーン情報を提供していないようである。特に
老舗のccTLDでは、「.jp」と同じように、過去提供していたが、スパムメールの
増大などにより、提供しなくなったということを経験している。ゾーン情報を良
い目的に使用すると、ドメイン名空間の価値向上につながるため「.jp」と同じ
ように検討を開始するTLDも出てくるだろう。
◎色々と話題が多いがTMCHの話をすると、どの国からも申請されるような文字列
は、TMCHの審査が容易でないと思う。
●これまで、世界で一つの商標データベースは存在しなかった。年150USドル程
度で登録できるが、その費用だけで、各国がどの程度厳密に商標の審査を行って
いるのかチェックすることは難しいと思う。TMCHで権利を確定させるという意図
より、自身が権利を主張する文字列と同一のドメイン名の場合、通知が届き、争
いたければ、争うことができるという、解決するための情報を得るツールではな
いかと思う。
◎自身で全TLDを見張ることを考えると、年150USドル程度の安価なコストでは行
うことができないため、TMCHが有用であるという考え方もある。
○正しくない使い方として、権利者の邪魔をするというのがある。コストが安い
のであれば、目ぼしい文字列をTMCHに予め登録しておき、本来ドメイン名を登録
したい人が、誰かがTMCHに登録しているため、ドメイン名を登録できない可能性
があると、登録をあきらめさせる効果がある。
●TMCHに登録したからといって、サンライズ期間に必ずドメイン名を登録できる
わけでなく、サンライズ期間中に申請できるだけである。その時に、本来の商標
権者が異議を申し立てる道は残されていると思う。本件について、JPNICの方が
詳しいと思うので、差し支えなければ、説明をお願いできればと思う。
◎傍聴者のJPNICの方がお詳しいようなので説明をお願いできるか。
△どこかの国の商標として登録されていればTMCHに登録可能なため、同一文字列
が複数登録される可能性がある。商標クレーム通知で通知されるのは、商標とし
て登録された文字列の完全一致のみであり、少し付け加わった文字列などは通知
されない。TMCHは、新gTLD全体に対して適用できる最低限の仕組みと考えるのが
良いだろう。
◎なるほど。TMCHでは、同一文字列の商標が複数登録される場合があり、権利の
保障ではないということか。商標の類似までは見てくれないが、全部調査すると
いうのは大変なことだと思う。以前、ISOCが「Internet」を商標として登録しよ
うと試みたが、既にアメリカでは別会社に登録されていた。また、世界主要国で
「Internet」を商標登録しようとして、出願前の事前調査を試みようとしたが、
調査だけで予算がなくなってしまうため、調査できなかった。そのため、TMCHの
ような、ドメイン名と商標のトラブルを減らす試みは意味あることだと思う。
○新gTLDにおいて、TLDの文字列自体も、DRP(ドメイン名紛争処理方針)の対象
となるのか。
●TLDの文字列自体へ異議申し立てすることも可能であったが、そのフェーズは
終了している。
◎新gTLDは、常に時間がかかってきたように思う。
●当初のスケジュールからは、かなり延期されているが、審査が始まり、審査結
果を出すということに関しては、着々と進めていると見て良いだろう。
◎審査を通過しないTLDも出てくるのか。
●そう思われる。
○現在使われているgTLDの数はどの程度か。
●21TLD程度である。
○21程度のTLDを今回無制限に増やすのか、それともまずは1,000程度なのか。
◎ルール上は無制限である。申請されたものの審査の結果、新設されるTLDは
1,500件程度になるのではないだろうか。
◎本日の議論に基づいて、次回の委員会にてJPRSより諮問書の提出をお願いした
い。
<議題(5) その他>
《今後の予定について》
◎次回の諮問委員会の開催については、2013年8月頃に第46回の委員会を開催し、
2013年度の検討課題をJPRSから説明いただき、その後、諮問書を提出いただくこ
とになるかと思う。委員会の具体的な日程については、事務局から案内させてい
ただく。
<閉会>
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