委員会資料
第58回JPドメイン名諮問委員会議事録
株式会社日本レジストリサービス 第58回JPドメイン名諮問委員会 議事録
1. 日 時: 2017年2月22日(水) 14:30 ~ 15:30
2. 場 所: 株式会社日本レジストリサービス 東京本社 大会議室
東京都千代田区西神田3-8-1 千代田ファーストビル東館13F
3. 出 席 者: 後藤滋樹 委員長
大井貴 副委員長
武山芳夫 委員
丸橋透 委員
三田一博 委員
4. 同 席 者: 堀田博文 (JPRS 取締役)
宇井隆晴 (JPRS 事務局)
常山敬秀 (JPRS 事務局)
高松百合 (JPRS 事務局)
5. 次 第:
1. 開会
2. 議題
(1) 諮問「第9期JPドメイン名諮問委員会委員の選任方法について」
(JPRS-ADV-2016001)への答申および第9期JPドメイン名諮問委員の
推薦(案)について
(2) 米国政府からのIANA監督権限の移管について
(3) その他
3. 閉会
6. 資 料:
資料1 第8期JPドメイン名諮問委員会委員一覧
資料2 答申書「第9期JPドメイン名諮問委員会委員の選任方法につい
て」(JPRS-ADVRPT-2016001)
資料3 第9期JPドメイン名諮問委員会の委員推薦について(案)
資料4 米国政府からのIANA監督権限の移管について
参考資料1 JPドメイン名諮問委員会規則
参考資料2 諮問書「第9期JPドメイン名諮問委員会委員の選任方法につい
て」(JPRS-ADV-2016001)
参考資料3 Delegation Record for .JP
参考資料4 Root Zone Database
7.議 事:(◎は委員長、○は委員、●はJPRS取締役及び事務局、△は傍聴
者のJPNIC前村昌紀氏の発言)
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<開 会>
《出席状況の報告》
●本日の委員会には、後藤滋樹委員長、大井貴副委員長、武山芳夫委員、
丸橋透委員、三田一博委員、以上5名の出席をいただいている。
従って、JPドメイン名諮問委員会規則第13条に規定されている、開催に必要な
定足数の「全委員の過半数」を満たしていることを報告する。
また、本日、唯根妙子委員については、ご都合によりご欠席の旨、予めご連絡を
いただいている。金子宏直委員については、本日、体調不良により、ご欠席の旨、
ご連絡をいただいている。
本日、JPRSからは、堀田博文、宇井隆晴、常山敬秀、高松百合が同席する。
<議題(1) 諮問「第9期JPドメイン名諮問委員会委員の選任方法について」
(JPRS-ADV-2016001)への答申および第9期JPドメイン名諮問委員の
推薦(案)について>
◎まずは事務局より前回委員会からの経緯を報告いただきたい。
●前回2016年10月20日の委員会の中でJPRSより諮問書が提出され、委員の皆様に
議論いただいた。その後、メールにて委員の皆様に内容を確認いただき、昨年
2016年12月9日に資料2の内容で答申書として確定し、JPRSに提出したことを報告
する。併せて、本答申書に基づいて、後藤委員長の指示の下、次期委員候補者に
ついて調整を進めてきた結果、これまでに7名の候補者全員の名前がそろった状
態となり、推薦書(案)ということで資料3にまとめている。
[事務局より資料について説明]
- 資料2 答申書「第9期JPドメイン名諮問委員会委員の選任方法について」
(JPRS-ADVRPT-2016001)
- 資料3 第9期JPドメイン名諮問委員会の委員推薦について(案)
●唯根委員には推薦書(案)について、内容を確認いただき、賛成の旨の連絡を
いただいていることを報告する。
◎説明のあった資料3の内容でJPRSに提示することに関し、確認をお願いしたい。
○異議なし
◎それでは、唯根委員と本日出席されている委員の皆様としては資料3で良いと
いうことだが、金子委員については事務局から確認いただき、それをもって確定
とし、資料3の内容でJPRSに推薦することとしたい。もし、金子委員から何かコ
メントがあった場合はすぐに連絡をいただきたい。
◎本件については、JPRSが本答申書及び推薦書を受けて、取締役会において正式
に任命することとなる。その後、JPRSと各委員候補で必要書類のやり取りを行う
手続きとなる。
<議題(2) 米国政府からのIANA監督権限の移管について>
◎前回の委員会にてJPRSより「IANA機能の監督権限移管」についての話があった。
前回は、口頭での簡単な情報共有だったので、より詳細な情報提供をしていただ
く。JPRSより説明いただきたい。
[JPRSより資料について説明]
- 資料4 米国政府からのIANA監督権限の移管について
- 参考資料3 Delegation Record for .JP
- 参考資料4 Root Zone Database
○コミュニティというところがキーになるが、そのコミュニティは形をもったも
のなのか、どういうものなのか。
●実際にはインターネットを動かすためのベースとなっている資源として、IPア
ドレス、プロトコル番号、ドメイン名の3つに分類されており、それぞれに対し
てどうあるべきか考える組織がある。IPアドレスは日本ではJPNIC、アジアパシ
フィックではAPNICなどIPアドレス系の組織、プロトコル番号はIETF、ドメイン
名に関してはICANN、というようにコミュニティに対応した組織がある。ただし、
その組織は企業のようなものではなく、それぞれのなかにまたコミュニティが存
在している。たとえば、ドメイン名でいえば、ccTLDコミュニティ、gTLDコミュ
ニティ、利用者コミュニティがあり、そのような人たちが話し合い、ドメイン名
はどうあるべきか考えることになっている。組織は存在するが、その下にコミュ
ニティがつくられている。
○18スライド目にある「コミュニティが、自律的にグローバルな機能運営ができ
るということを実証していくことが必要」というのは、IANA監督権限の移管にあ
たっての条件になっているのか。
●移管にあたっての条件になっている。コミュニティが良し悪しを判断する仕組
みは今まで存在しなかったが、その仕組みをつくって運用し、確かに皆の意見を
反映した運営・判断ができている、ということ実証していかないといけない。今
まで世界に存在したことがなかった判断するための仕組みが今回の提案書に書か
れているが、本当にまわるかどうかというのはやってみないとわからない部分も
多い。
○米国政府が手放したときの条件になっているわけではないのか。
●提案書の中に書かれている。
○うまくいかなかった場合、また戻ってしまうこともあり得るのか。
●戻ることはないが、うまくいかなかった場合、今のインターネットはダメだか
ら別のインターネットをつくった方が良いのではないか、ということを国連等が
言う可能性はあると思う。
◎国連で大きい声をあげるのは、アメリカではなく、どちらかというと米国中心
のガバナンスに対して反対する国である。
●米国一国支配は反対ということと、民間に任せることは反対という両方の考え
方がある。特に、アフリカ、BRICs等、政府がきちんとやらなければいけないと
いう考え方を持っているところが国の数としては多い。
◎国連のほか、ITU-T(International Telecommunication Union
Telecommunication Standardization Sector:国際電気通信連合 電気通信標準
化部門)もそうである。アメリカ・イギリス・日本連合と、中国・ロシアなどの
連合を比べると、後者の方が票数は多い。
●国連やITUのなかでそれぞれで同じような議論がされている。
◎スノーデン事件により、やはり米国というのは危ないと思う人が出てしまった
ということが背景としてはある。もともとIANAというのは、ジョン・ポステル、
ジョイス・レイノルズなど3名くらいで米国政府のサポートを受けたプロジェク
トとして行っていた。それに対して、米国大統領補佐官に、ICANNができる前に、
gTLD-MoU(gTLD-Memorandum of Understanding)というものがあり、署名を集め
て連判状のようなものをつくり、米国ではなくて皆でやろうという話をした。し
かし、実際にどこで行うのかという話になり、ジュネーブが挙がったがお金が高
いところであったためオフィスを構えるのが難しかった。また、その当時は、半
分以上のユーザーは米国にいるという論を張られた。そして、民間団体が行うと
一種のカルテル行為になり、民間全員の署名が集まらなければ反トラスト法に違
反する可能性について言及することを言われた。なお、米国政府は民間でないの
で反トラスト法の適用除外であるということであった。結局、我々からすると説
得は失敗に終わり、構造的に必ずしもネットワーク運用者が思っていた理想形に
はならなかった。
●IETFもそうだと思うが、コンセンサスベースと言うが、そのコンセンサスとは
何なのかという論点がある。2/3を超えれば良いという言う人もいれば、1人の反
対は良いが2人が反対したらコンセンサスとは呼べないと言う人など、色々な定
義をしたがる。何がコンセンサスの基準なのかなかなか言えない。とりあえず、
今回のコミュニティの仕組みは一つの案として、それが本当にまわるのか、まわ
してみて、それがコンセンサスと考えて良いのか、ある意味、実験的に行ってい
る感じだと思う。
○コミュニティなのだから各ステークホルダーが集まるような場ができていくの
か。
●例えば今回のIANAがきちんと運営されているのかということを見張るためのチー
ムがつくられている。そのチームに、たとえば、ccTLDの代表を3人、gTLDから3
人など集まり、議論をしていく。
○GAC(Governmental Advisory Committee)というのはそのチームに入るのか。
●組織体の図を見ると入っている。
○GACは政府諮問委員会と呼ばれており、170か国・地域の政府と35の国際機関等
で構成しており、コミュニティである。ICANNの会合に合わせてGACの会合が行わ
れており、各国の政府機関が集まり、そこで議論して決めていくことになるが、
新しい体制になったなかで、どういう形で決議・意思決定していくのか、そのよ
うな点はまだ決まっていないのが現状である。
○IANAは実働としての実態はないのか。
●実働している。たとえば、JPドメイン名の移管がJPNICからJPRSに行われたが、
それが本当に話し合った結果なのかといったことをIANAの人が確認している。か
つ、人が行うだけではなく、データベースを書き換えて公開するといったことを
行っている。システムもあれば人もいる。今回はそこを切り出してPTIという会
社がIANA機能を行うということである。
○実質的には変わっておらず、名前が変わったということか。
●IANA機能は変わらず、名前が変わった。
〇PTIはICANNの100%子会社か。
●そうである。
〇IANAというのは何人くらいの組織か。
◎本日傍聴にICANN理事であるJPNIC前村さんがいらしている。前村さん、ご存知
であれば情報提供いただけないか。
△30人程度だと思う。
〇その30人は米国にいるのか。
△IANAの職員はほとんどロサンゼルスのヘッドクオーターにいる。
〇インターネットガバナンスのコアの部分の話しだったと思う。今後の向かって
いくべき方向は、資料の「移管後の状況」にある、ガバナンスの体制がうまくま
わっていくことが実証てきて、運営上それが確保されれば、望む方向に向かって
いくという理解で良いか。望むべきゴールというのは、皆の認識が合った上でそ
こに向かっているのか、そこ自体にも考え方の違いがあるのか。
◎現在、実際にまわっている状況ではなく、また、年がら年中そこがまわってい
るというよりは、大元締めという感じなので、何かあったときにそこに間違いが
あるようだと大本が狂ってしまうというところの怖さがあり、そういうところは
皆で手伝わないとダメであるということである。
●JPNICからJPRSにJPドメイン名の管理権限を移したというときの話をすると、
IANAの職員がきちんと皆で話し合って合意ができているか確認し、データベー
スをJPNICからJPRSに書き換えるが、書き換えて良いかを今までは米国政府に聞
いていた。最後の管理権限を米国政府が持っているというのはそういう意味であ
る。日本の場合は米国と仲が良いので良いが、たとえば、米国と敵対的な国の場
合、米国政府と仲が良い政府から仲が悪い政府のところに管理権限を書き換えよ
うとしたときに本当に米国政府が承認するか、恐らく承認すると思うが、当該国
側からすると最終権限を米国に渡すのは良くないと論理的に思うところはあり、
米国が持っているのは良くないということがよく議論される。その案として、民
間に移すか、国連に移すか、という候補があり、民間に移す方向で進んでいる。
〇今の体制では、米国政府にお伺いを立てる必要はないのか。
●その必要はない。
〇資料の18スライド目にある、米国としての関与方法は検討したい、という言葉
が気になる。
◎冷戦時代に米国はインターネットを外に出さなかった。TCP/IPプロトコルは軍
用規格として決まっていた。そういうところからスタートしており、国粋派の議
員がどう考えるかというところがある。ICANN自身も米国ではない方が良いと言っ
ても実質米国であり、それは今までのIANAを引き継ぐイメージではあるが、実際
にもう少し他の国からも手伝いに行った方が良いとなった場合に、グリーンカー
ドを持っている人、ということになり、実施の具体的な活動という意味では、予
断を許さないところがある。
〇今まで総務省がされている米国とのインターネットエコノミーの対話のなかに
経団連も入っており、そのなかで、データフローの自由、通信の自由、こいうも
のを確保していこうとお互いの民間同士の共同文書のなかに取り入れてきたとい
う経緯がある。政権が変わり、カウンターパートも変わったが、また進めていこ
うと思うが、そういうなかでの位置づけが本日わかったので、経団連としては引
き続きスタンスは変えずに民間レベルでは両政府に提言していくことではないか
と思う。
◎引き続き、お気づきの点などあればお知らせいただき、JPRSには色々な機会に
紹介いただきたい。
<議題(3) その他>
◎本日、事務局で準備した議題は以上だが、JPRSより1点、情報提供があるとの
ことである。JPRSより説明いただきたい。
●前回の委員会にて初等中等教育機関などの名称のドメイン名の登録の予定につ
いて情報提供させていただき、学校教育関係者の皆様にきちんと周知し、ご意見
をいただいた上で進めていくことが肝要であるとのコメントをいただいた。これ
についてはJPRSとして関係する皆様にきちんと情報が伝わっていくよう対応を進
めている。総務省をはじめ官公庁のご協力や学校教育現場の皆様の草の根のネッ
トワークも活用させていただきながら、現在、情報が伝わりつつ、また、その反
応としてJPRSにお問い合わせやご意見が続々と入ってきているというところであ
る。ご意見をいただけるのは大変良いことと思っており、それを踏まえて、今後
必要な検討をしていきたい。前回いただいたご意見、皆様にご協力をいただいて
おり、感謝を申し上げたい。また動きがあれば報告させていただきたい。
○今、話にあったように総務省でもJPRSに協力し、各県の教育委員会、教育部局
に総務省名義で文書を出している。JPRSにも問い合わせがいっていると思うが、
総務省にも問い合わせが入っており、適宜、答えている。
◎JPRSでは学校教育関係の後援や共催など協力されているので、活発に活動され
ている方はJPRSの活動をよく知っているようで、そういった日ごろの活動が功を
奏しているのではないかと思う。すべての要望には応えられないことが多いと思
うが、十分皆様で検討して進めることが重要だと思う。
《今後の予定について》
◎第58回JPドメイン名諮問委員会の議事は終了とする。次回の委員会については、
6月頃を目処に開催することになるかと思う。委員会の具体的な日程については、
また後日、事務局より調整させていただく。
<閉会>