委員会資料
第77回JPドメイン名諮問委員会議事録
株式会社日本レジストリサービス 第77回JPドメイン名諮問委員会 議事録
1. 日 時: 2025年2月18日(火) 13:00~14:00
2. 場 所: 株式会社日本レジストリサービス 東京本社 会議室
東京都千代田区西神田3-8-1 千代田ファーストビル東館12F
3. 出 席 者: 浦川伸一 委員長
金子宏直 副委員長
大津康治 委員
恩賀一 委員
曽根秀昭 委員
長田三紀 委員
藤嶋久 委員
4. 同 席 者: 宇井隆晴 (JPRS 取締役)
遠藤淳 (JPRS 事務局)
小口信 (JPRS 事務局)
5. 次 第:
1. 開会
2. 議題
(1) 諮問「第13期JPドメイン名諮問委員会委員の選任方法について」
(JPRS-ADV-2024001)への答申について
(2) 答申「第13期JPドメイン名諮問委員会委員の選任方法について」
(JPRS-ADVRPT-2024001)への対応について
(3) 第13期JPドメイン名諮問委員の推薦書(案)について
(4) JPRSからの情報提供
(5) その他
3. 閉会
6. 資 料:
資料1 第12期JPドメイン名諮問委員会委員一覧
資料2 答申書「第13期JPドメイン名諮問委員会委員の選任方法につい
て」(JPRS-ADVRPT-2024001)
資料3 JPドメイン名諮問委員会の答申JPRS-ADVRPT-2024001への対応
資料4 JPドメイン名諮問委員会 第13期委員推薦書(案)
資料5 ICANNによるgTLD追加の背景とJPドメイン名への影響
参考資料1 JPドメイン名諮問委員会規則
参考資料2 諮問書「第13期JPドメイン名諮問委員会委員の選任方法につい
て」(JPRS-ADV-2024001)
参考資料3 終わったWebサイトのDNS設定、そのままになっていませんか?
参考資料4 サービス終了後に残っているDNS設定を利用したサブドメインの
乗っ取りについて
7.議 事:(◎は委員長、○は委員、●はJPRS取締役及び事務局)
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<開 会>
《出席状況の報告》
●本日の委員会には、浦川伸一委員長、金子宏直副委員長、大津康治委員、
恩賀一委員、曽根秀昭委員、長田三紀委員、藤嶋久委員、以上7名全員の出席を
いただいている。従って、JPドメイン名諮問委員会規則第13条に規定されている、
開催に必要な定足数の「委員の過半数」を満たしていることを報告する。
本日、JPRSからは、宇井隆晴、遠藤淳、小口信が同席する。
<議題(1) 諮問「第13期JPドメイン名諮問委員会委員の選任方法について」
(JPRS-ADV-2024001)への答申について>
◎事務局より前回委員会からの経緯を報告いただきたい。
●2024年12月4日の第76回委員会でJPRSより諮問書が提出され、同委員会で議論
の結果、答申の方針が決定した。その後、答申書(案)を委員長と事務局で作成
し、各委員へのメールでの確認を経て、2024年12月13日に資料2の内容で答申書
として確定し、JPRSに提出したことを報告する。
<議題(2) 答申「第13期JPドメイン名諮問委員会委員の選任方法について」
(JPRS-ADVRPT-2024001)への対応について>
◎JPRSから答申対応が提示されている。内容について、JPRSより説明いただきた
い。
●2024年12月13日に諮問委員会より提出された答申書を受け、JPRSでは2025年
2月10日に開催された取締役会にて、答申への対応を決議した。
[取締役宇井隆晴より資料について説明]
- 資料3 JPドメイン名諮問委員会の答申JPRS-ADVRPT-2024001への対応
◎報告された内容について質問などあるか。
〇質疑なし
<議題(3) 第13期JPドメイン名諮問委員の推薦書(案)について>
◎事務局より説明いただきたい。
●答申書に基づき、委員長のご指示のもと、次期委員候補者について調整を進め
た。
[事務局より資料について説明]
- 資料4 JPドメイン名諮問委員会 第13期委員推薦書(案)
◎資料4の内容でJPRSに示すことについて、いかがか。
〇異議なし
◎異議がないため、資料4を本日付で推薦書として確定し、JPRSに提出する。今
後の予定としては、JPRSが推薦書を受けて正式に任命することとなる。就任に当
たっては、JPRSと各委員で必要書類のやり取りを行うという手続きがあり、改め
て事務局よりご案内するため、よろしくお願いする。
<議題(4) JPRSからの情報提供>
◎近年ドメイン名業界ではトップレベルドメイン(TLD)の追加の動きがあると
のことで、状況について事務局より情報提供をいただきたい。
[事務局より資料について説明]
- 資料5 ICANNによるgTLD追加の背景とJPドメイン名への影響
◎gTLDの募集が十数年ぶりに実施されるとのことだったが、2024年あたりに何か
その予兆はあったのか?
●2012年の募集の後、早速次の募集に向けた動きが始まったが、課題が多々あり、
解決するのに十余年かかったという状況で、やっと申請者ガイドブックを取りま
とめる段階に来たというのが経緯である。
◎企業からのgTLDの次回募集に関する要望や問い合わせは多かったのか?
●企業のブランディングにおいて、TLDの文字列を自社名にすることに魅力を感
じる企業も多い。前回2012年の募集で様々な事情により申請しなかった企業や、
前回の募集以降で創業し、世界中の人が知るようになった企業からは、「次回の
募集はまだか」という声も上がっていた。国内でも、次の募集に向けた活動をし
ている企業が少なからずある。
●次回は2回目の大規模なgTLDの募集となるが、資料にもある通り、遡ると
2000年や2003年にもgTLDは追加されている。その中には、登録数が多く、皆さま
が目にしたことがあるであろうTLDもあれば、全く知らないTLDもあると思う。
2000年や2003年に追加されたのは、広く利用される見込みがあると判断されて選
ばれたTLDである。2012年は、利用見込みではなく、そのTLDをきちんと運用でき
ることを示すことができた組織からの申請であれば認めるという形だった。日本
国内からの申請は71件だったが、世界では1,200程度TLDが増えた。現在世の中に
TLDは千数百ある。次回の2026年募集でどの程度申請があるかわからないが、ま
た数百件、数千件増える可能性もある。その中には、広く登録を受け付けるジェ
ネリックなTLDもあるかもしれないし、特定の属性の人だけが登録できるTLDもあ
るかもしれないし、ブランドTLDのようにプライベートな利用に限定するものも
あるかもしれない。また、今の区分けは2012年募集の事例を踏まえてのものだが、
2026年の募集では全く新しい発想のTLDも出てくるかもしれない。様々な期待と
ビジネス的な思惑が渦巻きながら、向こう1年ほどは動きがあるかと思う。前回
募集の際も、「ICANNに一般企業が申請するにはどうしたらよいのか」というよ
うな相談がJPRSに寄せられたりもしたが、次回もまたそういったことがあるかと
思う。関連する情報発信はJPRSからもしつつ、必要な国内のサポートもできれば
と思う。
〇2点質問がある。2012年募集における申請数で日本は世界5位とのことだったが、
これをどう評価したらよいのか?
また、2026年4月から大々的に募集が始まるとのことだが、JPRSが情報発信を行
ってもリーチされない企業もいると思う。今後の周知予定や、他の経済団体・関
連団体と連携した、より様々な方々への幅広い情報発信の実施について、何か考
えはあるか?
●1点目の質問について、まず日本は本当に5位なのかというところから始まると
思う。御覧の通り、2位から4位は税務上の理由などからビジネス拠点が多く置か
れるところであり、国で見れば日本は実は2位なのではないか、という見方もあ
るだろう。申請数において、アメリカとはかなり開きがあるが、6位以降とは有
意な差ではないと思う。2012年募集はTLDを大幅に増やす初めてのタイミングで
あったため、実際に申請した企業としても、具体的な活用イメージまで持ってい
たところはそれほど多くなかったと思われる。資料に活用事例を載せているが、
こうした実例になるまで各社かなり時間がかかっていた。世界には自社に似た名
前の企業があるかもしれないため、他社に先んじて、まずは自社の文字列のドメ
イン名を守る意識で申請された方も多かったかもしれない。検討の結果、最終的
に取り下げや廃止をしたところもあったかと思う。このときの数字が、当時の各
国の経済状況やインターネットの普及状況を反映しているかというと、必ずしも
そうではなかったと思う。対して、今回は前例があり、各社の準備期間もあった
ことから、申請を検討されている企業も多いだろう。
周知に関しては、JPRSはICANNによるTLD追加募集の中心登場人物ではないため、
周辺情報提供になるが、たとえば知的財産権管理をビジネスとしている企業では、
コンサルティングなどの様々な形で支援を行う動きがあることは聞いている。
◎「.osaka」は地方自治体が申請したものかと思っていた。資料を見ると企業か
らの申請のようだが、企業からの申請でも通るのか。
●地理的名称というカテゴリのTLDには、企業が申請してもよいが、地方自治体
からエンドースメントレターを得ることが必須条件となっていた。
●日本の地理的名称については、たとえば「.tokyo」の場合、申請組織がICANN
に提出する申請書類一式に、東京都からの「問題ない」旨の公式なレターをつけ
ていた。「.tokyo」に関しては、複数の組織が手を挙げる中で、東京都により
GMO Registry, Incが選定されたという経緯がある。他の「.nagoya」、
「.okinawa」、「.yokohama」などもほぼ同様の形で、自治体が1組織にのみレタ
ーを出すという形だった。「.osaka」に関しては、申請を希望する組織が一定の
要件を満たせば、自治体としてはレターを出すというポリシーだったため、日本
から2組織が申請し、Interlink Co., Ltd.の申請が通った。
1点補足をすると、日本では自治体が直接申請することは結果的になかったが、
世界的にはニューヨークやパリなど、ドメイン名の登録管理を行っている企業の
バックアップを受けて市当局が申請したところもある。
〇日本国内の地理的名称に関するTLDについては、平成21年に総務省の情報通信
審議会でご議論をいただいた。ご参考までに共有する。
●当時様々な議論や混乱があった。有名なところでは、「.amazon」や
「.patagonia」などの文字列は、企業名なのか地域名なのか、という問題である。
そういった点も含めて次回はどのように審議するのか、という検討が十余年にわ
たり繰り広げられた。
〇商標では、公序良俗に反するものは申請が通らないと思われるが、たとえば果
物や日本語のローマ字表記などのようなものはどうか? 地域ではないが、日本
をイメージさせるような文字列のTLDが外国の企業に申請されると、何らかの誤
認を発生させる恐れはないのか?
●本日は、申請のプロセスを詳細には紹介していないが、申請をした後も様々な
プロセスがあり、すぐにTLDとして委任されるわけではない。申請された文字列
は公開された上で異議申し立て期間が設けられ、政府当局や同一名称の企業など
がICANNに異議申し立てを行うことができ、ICANNはその結果も踏まえて審査を行
うこととなる。2012年募集でも様々な異議申し立てがあった。例えば、「.date」
という申請に対して、日本国政府は日本には「伊達市」「伊達町」といった地理
的名称があるためTLDの利用方法において留意してほしいといった申し立てを行
った。異議申し立てにどう対応するか、申し立てがあった申請を取り消させるこ
とはできるのか、といったところの議論にも時間がかかった。商標のように要件
を満たせば登録できるものではなく、TLDの追加にはハードルがある形である。
○たとえば「おもてなし」といった言葉や日本の様々なキャンペーン等で政府が
利用してきた用語は、日本国政府側として、外国企業に申請されないよう、あら
かじめ備えておくのが大事だろうという印象を持った。
<議題(5) その他>
◎本日、議題としては以上だが、事務局から1点情報共有があると伺っている。
●2025年1月に、政府機関が過去に運営していたWebサイトのDNSの設定が放置さ
れていたなどの理由で、第三者による不正なWebサイトにアクセスしてしまうと
いう事例についての報道が続いた。この問題についてはJPRSとしては従前から注
意喚起に努めているところだが、改めてJPRSが発信した情報の内容について共有
する。
[事務局より資料について説明]
- 参考資料3 終わったWebサイトのDNS設定、そのままになっていませんか?
- 参考資料4 サービス終了後に残っているDNS設定を利用したサブドメイン
の乗っ取りについて
○報道では「政府のサーバーが乗っ取られた」というような説明をされていたが、
JPRSの資料は技術的に正確な内容を伝えている内容だと思った。私のような技術
に詳しくない人間は、報道だけを見ると、サーバーを乗っ取られて設定を書き換
えられたような印象を受けると思う。本件は、政府がキャンペーン等を実施する
際に業務委託をして、その業務委託先の管理が不十分だった結果、第三者が、す
でに終了した政府のキャンペーンがあたかも続いているように見せかけ、怪しげ
なビジネスの案内にすり替えていた、ということと理解している。
資料について1点、参考資料3では「事業者」が一つしか記載されておらず、業務
委託先が悪いのか、それとも業務を委託した側が悪いのかがわかりにくいと思っ
た。「業務委託先が行ったことも管理した方がよい」といった注意喚起も必要で
はないか?
●ご指摘の通り、事業者と言っても様々な事業者がいるため、その辺りが上手に
伝わるよう、我々としても努めなければならないと思った。今後の改善を検討さ
せていただきたい。今回の報道の際、JPRSにも取材があったが、DNSの設定の話
を理解いただくことはなかなか難しい。もしかしたら報道機関としても、正しく
理解してはいたが、一般の皆さまに伝えるに当たり表現に限界があったのかもし
れない。JPRSからは、一般の方にもわかりやすい説明資料や材料を今後も提供で
きればよいと思う。
《今後の予定について》
◎第77回JPドメイン名諮問委員会の議事は終了とする。
第12期委員会は今回が最後となる予定である。大津委員は今期限りで諮問委員を
退任されるため、一言ご挨拶をいただければと思う。
○このインターネット業界に1995年から身を置く者として、「the internet」の
コア業務であるドメイン名の管理を担っているJPRSの委員会に参加させていただ
き、光栄に思っている。インターネットの民主化が様々な脅威に晒されている今
だからこそ、インターネットの理念/概念である自律・分散・協調のDNAを持つ
会社/委員会として、ぜひインターネットの中立性の維持と、今日もいろいろと
お話があったように環境が変わっていく中でのネットワークの健全な発展に貢献
されることをお願い申し上げて、最後の言葉とさせていただく。
(大津康治委員)
◎第13期最初の委員会については、また後日事務局より案内する。
<閉 会>