株式会社日本レジストリサービス(JPRS)

地域型JPドメイン名再構築検討部会 > 第1回検討部会 > 資料:2

検討課題の確認と課題対応の方向性

1. 現在の地域型JP ドメイン名の課題

委員などから事前に頂いた意見を基に、現在の地域型JP ドメイン名に対する課題を整理した。

  1. ドメイン名が長くて使いづらい
  2. 1組織1ドメイン名の制約ため、属性型JPドメイン名を登録すると地域型JPドメイン名が登録できない(逆も同様に登録できない)
  3. 県名直下の登録ができない(市区町村以下への登録となる)
  4. 現在のニーズに合わなくなっており、新規登録数や累計登録数が減少している
  5. 組織や個人に対して割り当てられる地域型JPドメイン名の第3レベルドメイン名は、 登録時の住所表記に基づいて定められるため、市町村合併などで住所表記が変更になり、 存在しなくなった市町村区名も利用者からの変更申請がされなければ、そのまま使い続けられる
  6. 汎用 JP ドメイン名の導入に伴い、新たに指定された政令指定都市名を第2レベルドメイン名に使用できない事例が発生している。 このため、「city.<政令都市名>.jp」や「example.<区名>.<政令都市名>.jp」等が汎用JPドメイン名で利用されているか 地域型JPドメイン名で利用されているかを判別することができない
  7. 地方公共団体の Web ページが、地域型JP ドメイン名とLG.JPドメイン名で混在しており判りづらい
  8. 地域型 JP ドメイン名は、登録者の住所に基づいたドメイン名しか割り当てられることはなく、 想定利用者に向けた住所に基づいたドメイン名の割り当てを受けることはできない

2. 課題対応の方向性

前章の課題に対して、取りうる対応の方向性の選択肢を記す。

すなわち、対応の方向性は以下の3種類に分類される。

  1. [変更] 制度を変更して使いやすくする
  2. [廃止] 新規申請の受付停止
  3. [継続] サービスを変更しない

3. 「(A) [変更] 制度を変更して使いやすくする」の検討課題

検討課題を「サービス仕様」「現登録者への影響」「導入・移行作業」の3つに分類し以下に記す。

サービス仕様

A-1 任意の文字列を登録するレベル
案1 第3レベル(都道府県ラベルの下) ・都道府県の中で広く活動している組織が使いやすくなる
・登録できるドメイン名が短くなる
案2 第4レベル(市区町村ラベルの下) ・現状と変わらない
A-2 第2レベルの範囲
案1 都道府県 ・全ての都道府県で利用することができる
案2 都道府県+政令指定都市 ・案1と比べて選択肢が多い
・汎用JP ドメイン名にて登録済みの政令指定都市名は利用できない
A-3 住所要件囲
案1 要件とする ・地域に根ざした利用に繋がる
・文字列の競合が起こりにくい
案2 要件としない ・案1と比べて、登録しやすい
A-4 1組織1ドメイン名の制限
案1 適用しない ・組織の単位の識別等が不要になるため、登録しやすい
・登録済みの組織も属性型JPドメイン名を登録できるようになる
案2 適用する(地域型に限定、属性型は登録可) ・地域型を登録していても、属性型を登録できる
案3 適用する(現状通り、属性型も登録不可) ・現状維持
A-5 現行ルールでの新規登録

例: 「どこか町」が「どこか市」に変わったとき、town.dokoka.saitama.jpからcity.dokoka.saitama.jpに変更したいとの要望が出る

案1 継続しない ・案2と比べて、登録ルールが単純である
・文字列の競合が起こりにくい
案2 継続する ・現行ルールでの登録を望む人に対応できる
・第3レベルの登録で代用できる場合もあり、利用されない可能性がある

現登録者への影響

A-6 登録済みドメイン名の扱い
案1 期限を決めず、継続利用可能とする ・別のドメイン名に移行することなく、登録済みのドメイン名を使い続けることができる
・移行する場合も、現登録者の都合でスケジュールを決められる
案2 期限を決めて、期限後は利用不能とする ・利用停止の期限は、登録者側のシステム更新時期を超える必要がある
A-7 現行ルールで登録したドメイン名廃止後、第3レベル登録を受付けるか

例: city.chiyoda.tokyo.jpが廃止され、chiyoda.tokyo.jp以下のドメイン名が無くなったとき、chiyoda.tokyo.jpの登録を受付けるか

案1 受付ける ・案2と比べ、使用可能なドメイン名空間が多い
案2 受付けない ・公共団体等のWeb ページとの誤認混同を防止できる
A-8 公共イメージの希釈への対応

対応案は特に無いが、以下のような意見が出ている。

導入・移行作業

A-9 サンライズ期間(優先登録期間)
案1 実施する ・地域型の現登録者や商標・商号権者に対して、登録を優先することができる
案2 実施しない ・サイバースクワッティングが増える可能性がある
A-10 サンライズ期間を実施する場合の検討課題

サンライズ期間に関する検討課題は、以下のものを想定している。

参考:汎用JP ドメイン名の優先登録申請受付の実施内容

4. 「(B) [廃止] 新規申請の受付停止」の検討課題

(B)[廃止]新規申請の受付停止に関する検討課題を記す。

B-1 登録済みドメイン名の取扱い
案1 期限を決めず、継続利用可能とする ・別のドメイン名に移行することなく、登録済みのドメイン名を使い続けることができる
・移行する場合も、現登録者の都合でスケジュールを決められる
案2 期限を決めて、期限後は利用不能とする ・利用停止の期限は、登録者側のシステム更新時期を超える必要がある
B-2 他属性に移行することを優遇するか
案1 1組織1ドメイン名の制約の対象外にする ・現登録者の都合で移行のスケジュールを決められる
案2 地域型の登録料を無料にするか ・登録者の金銭的負担を軽減できる
・無料にすることで地域型を利用し続けることになるかもしれない
・JPRS が無料にしても、指定事業者は他のサービスも提供しているため無料にできない可能性がある

5. 「(C) [継続] サービスを変更しない」の検討課題

(C)[継続]サービスを変更しないに関しては、影響を与えるものでないため、検討課題は特に無い。

以上