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第1回 地域型JPドメイン名再構築検討部会 参考資料:B

出展:JPNIC Webページ
http://www.nic.ad.jp/ja/pub/unix-m/1993-10.html
JPNICレポート2
神山一恵
ドメイン名の割当て

ドメイン名とは?

インターネットでは、組織を表す名前として"AAA.BB.JP"のようなピリオドで区切られたドメイン名を用いています。 このドメイン名は電子メールの住所の一部でもあり、 世界中にある組織のなかから特定できる唯一無二の名前でなければなりません。 そこで、ピリオドで区切られた一番後ろのドメイン名 (第1レベル、またはトップレベルと呼ぶ(*1)) にISO 3166で決定された国を表すコード(日本はJP)を用いることが決まっています(*2)。 そこで、日本においては第1レベルをJPとする第3レベルまでのドメイン名(以下、JPドメイン名という)を割り当てる業務を、 現在JPNICのJPドメイン名割当てグループがおこなっています。

*注1.ピリオドで区切られたドメイン名を後ろから第1レベル、第2レベル、第3レベル、...と呼んでいます。

*注2.米国のEDU、COMやNETなどの例外もあります。 ほとんどがこのコードが決まる前から使われていた歴史的事情によるものです。

JPドメイン名の構成と現状

JPドメイン名は、第2レベルが組織の属性を表す2文字のコード (AC=学術機関、CO=企業、GO=政府機関、OR=団体、AD=ネットワーク管理組織(*3))、 第3レベルが組織の名称を表す名前(組織ドメイン名と呼ぶ)となっています。 現在、JPドメイン名は「組織」を対象に割り当てられており、 JPNICで認められたいくつかの例外(*4)を除いて”1組織1ドメイン”しか割り当てられません。 1993年9月1日現在のJPドメイン名の数を表1に 示します。 JPNICでは、毎月約30-40ドメインの割り当てや変更、削除などの申請を処理しており、 毎月増加する傾向にあります。

表1 JPドメイン名割当て数
属性ドメイン数未接続数
AC31263
CO676177
GO7712
OR7717
AD255
JP30
合計1170274

*注3.第2レベルが組織ドメイン名になっている組織が3つありますが、これも歴史的事情によるものです。

*注4.ある組織が異なる通信サービスを管理・運用するために必要な場合や、組織ドメイン名を変更する場合の移行期が、例外として認められています。

JPドメイン名の今後

個人への割当て

最近、個人的にドメイン名が欲しいという要望が多く寄せられています。 これまでの規則では、法人または団体でないと割当ての対象になりませんでしたが、 1993年6月1日から適用されている規則では、個人に対して次の方法が用意されています。

  1. 属性ORの範囲の拡大
    個人を対象とするインターネット・サービス提供者から、 第4レベル以下のドメイン名を個人に割り当てることを可能にするためのORドメイン名の申請があった場合、これを割り当てることとしました。 これにより、個人を対象とするサービスをおこなっているネットワーク (たとえば、xxx,or,jp)から、myname・xxx,or.jp”のようなドメイン名を割り当ててもらうことができます。
  2. 属性COの範囲の拡大
    個人事業主は企業と同様に扱い、属性COのドメイン名を割り当てることとしています。 しかし、この件については次の地域ドメイン名の導入とあわせて検討が継続しており、現状は商号登記がおこなわれている事業所に限っています。

JPNICではさらに、次に説明する地域ドメイン(Geographic Domain)制度の導入により、 個人のJPドメイン名取得の選択の幅が拡がるよう検討しています。

地域ドメイン制度の導入

現行のドメイン名制度のみで運用していく場合、 たとえば、近い将来全国の公立中学校などにインターネットが導入されたとすると、 属性ACのドメイン名が膨大な数になってしまいます。 数が増えるだけでなく、それぞれの組織ドメイン名は異なる必要があるので、 重複しないように長い名前を付けたり、希望のドメイン名がすでに存在するために変更を余儀なくされる可能性がかなり高くなると思われます。 これをある程度回避するための方法が地域ドメイン制度の導入です。

地域ドメイン制度とは、その名のとおり地域名をドメイン名として表す制度で、すでに米国などでは導入されています。 現在JPNICでは、第2レベルに都道府県を表す名前、第3レベルに市長村区を表す名前を用いるようにして、第4レベルの割り当てをおこなうことが検討されています。 この制度が導入されると、地域に密着した組織(都道府県や市長村区の機関、小・中学校など)をこれまでの属性とは別に取り扱うことが可能になります。 また、この制度は、組織を対象とするだけでなく、その地域に住んでいる個人やその地域で営業している個人事業主も割当て対象になります。 現在JPNICでは、第2,第3レベルの名称をどうするか、またドメイン名を実際に取り扱うためのネームサーバーの稼動に問題がないか、 などの具体的な検討を始めており、地域ドメイン制度の早期実現を目指しています。

ドキユメントの入手

現在ドメイン名割当てに適用されている規則や、JPドメイン名に関する新規取得、変更、削除などの各種申請についてのドキュメントは、 info@domain.nic.ad.jpに空の電子メールを送ると自動的に返送されます。 電子メールが使用できない場合には、JPNIC事務局にご連絡いただければ郵送いたします。

現在返送されているのは以下のドキュメントですが、 地域ドメイン制度導入が予定されているため、近々更新される予定です。

JPドメイン名の申請

申請については、新規、変更、削除の3種類がありますが、 いずれの場合も電子メールまたは郵送で受け付けています(*5)。 提出された申請書は、不備がないかぎりJPNICに申請書が届いてから約10日以内に処理され、 通知書が申請者(あるいは仲介者)に返送されます。 新規申請の場合、これにより新ドメイン名が割り当てられ、JPNICのデータベースに登録されます。 ただしこのドメイン名は、1年以内にネームサーバーの登録がなされない場合には使用されなかったとみなされ、 無効になってしまいますので、注意が必要です(*6)。 また、各申請においては、申請書の様式が変更になる場合があります。 自動処理の都合上、上述の方法で最新のドキュメントを取得してから申請されるよう、ご協力をお願いいたします。

*注5.事務作業の手間を軽減するため、申請者自身が電子メールを使えない場合には、申請仲介者を介して電子メールで申請していただけるとたいへん助かります。

*注6.新規ドメインがネットワークに接続されたら、ドメイン名をJPNICのネームサーバーに登録しないと電子メールが届きません。 この登録方法については、info@dns.nic.ad.jpから得られる「ネームサーバーの設定手続きについて」およびinfo@db.nic.ad.jpから得られる「JPNIC登録フォームについて」を参照してください。

JPNIC連絡先

おわりに

JPドメイン名割当ての申請がたいへん多く、インターネットの普及の速さには本当に驚いています。 また、その結果として電子メールの届く人が増えていることはとても嬉しく、望ましいことであると思います。

JPNICでは、割当て作業を迅速に処理するシステムの構築、地域ドメイン制度などの新しい制度の検討、 分かりやすいドキュメントの整備などをおこないたいと考えています。 そこで、皆様からのご意見・ご要望などがございましたらぜひお寄せくださるよう、お願いいたします。

(かみやま・かずえ 東京理科大学)