株式会社日本レジストリサービス(JPRS)

地域型JPドメイン名再構築検討部会 > 第1回検討部会 > 参考資料:C

第1回 地域型JPドメイン名再構築検討部会 参考資料:C

出展:JPNIC Webページ
http://www.nic.ad.jp/ja/pub/unix-m/1994-01.html
JPNICレポート5
神山一恵
地域型ドメイン名の導入実験

地域型ドメイン名

10月号でも簡単に紹介しましたが、”地域型ドメイン名”とはドメイン名として地理的な名称を用いるもので、すでに米国などで導入されています。 このようなドメイン名の導入には、下記の利点があると考えられます。

日本でも、従来の属性型ドメイン名の申請時に既存のドメイン名との重複が散見され、 個人事業主や高等学校、地方公共団体の管理組織など、地域に密着した組織からの申請も目立って多くなってきていました。 そのような状況を勘案し、JPNICでは地域型ドメイン名制度の導入について検討を重ねた結果、 1993年12月1日より1年間、地域型ドメイン名割当て実験プロジェクトを開始することにしました。

地域型ドメイン名の構成

地域型ドメイン名の構成は、第2レベルに都道府県名または政令指定都市名のローマ字表記を、 第3レベルに市区町村名のローマ字表記(ヘボン式フルスペル)を使用し、第4レベルを申請者ベースで割り当てます。

<組織ドメイン名> ::=<組織名>"・"<市区町村名>"・"<都道府県/政令指定都市名>"・""JP"

たとえば、千葉県習志野市にある県立FOO高等学校のドメイン名はFOO-HS.NARASHINO.CHIBA.JPになります。 また、都道府県名と政令指定都市名、同一都道府県内の市区町村名が同じ場合は、同じ名称を用います。 つまり、千葉県と千葉市はいずれもCHIBA.JPです。

割当て対象

地域型ドメイン名の割当てを受けられるのは、次のいずれかに該当する組織/個人です。

  1. その地域でドメイン名を使用する個人、あるいはその地域在住の個人
  2. 高等学校以下の学校、その地域所在の学校法人
  3. その地域を中心に活動する法人、法人に準ずる組織
  4. 属性型ドメイン名の属性AC、GO、ORに該当する組織のうち、その地域内に所在するもの

すでに属性型ドメイン名を割り当てられている組織は、新たに地域型ドメイン名の割当を申請することはできませんが、もちろん移行は可能です。

従来の制度の変更

地域型ドメイン名の割り当て開始にともない、従来の属性型ドメイン名のAC、COの割当て対象が変更されます。 ACは学術機関であり、これまでは学校教育法などで定められた組織すべてに割当て可能でしたが、 地域に密着していると考えられる小・中学校、高等学校、養護学校、盲学校、聾学校、幼稚園は対象外となりました。 COについても、商号を登記した個人事業主は地域型ドメイン名が取得できるようになったため除外します。 したがって、今後のACとCOの割当て対象は次のようになります。

実験プロジェクトについて

地域型ドメイン制度の本格的な導入までには、解決すべき問題や検討課題が数多く残っています。 今回の実験プロジェクトは、需要の実態を把握するとともに問題点を剔出し、さらに改善するために期間を限定しておこなわれます。 実験終了後、これらについて検討したうえで改善を進めます。 場合によっては、ドメインが変わることも考えられます。 以下に、現時点で明らかになっている問題点、プロジェクト期間中に検討を予定している事項を挙げます。

フルスペル表記

実験プロジェクトでは、都道府県名や市区町村名のフルスペルを使用しますが、 皆さんのなかには”市や県の名前をフルスペルで書くなんて、長たらしくて嫌だなぁ”と思われる方もいるかもしれません。 JPNICの検討グループでも、”長くなる””タイプミスが多発する可能性が高い”など、さまざまな意見が出ました。 しかしながら、これらの分類に対してJISでは数字のコードが振られているだけで、アルファベットを使っったコードは規定されていません。 また、この数字コードを用いる業界も多いようです。 ”いっそのこと、電話番号や郵便番号を使ったら”という提案もありましたが、 数字の場合はタイプミスによる誤配送の危険性がさらに高くなるため、フルスペル表記を採用することにしました。 ただし、プロジェクト期間中に、たとえば都道府県名や政令指定都市名の2文字コードが標準として制定された場合は、実験終了後にそのコードが採用される可能性もあります。

プライバシーの保護

個人への地域型ドメイン名の割当てにともない、運用責任者や技術連絡担当者の情報としてJPNICデータベースに住所、電話番号、FAX番号が登録されます。 JPNICデータベースでは、ネットワーク管理という観点から、トラブル発生時などの連絡先情報としてデータの提供サービスを実施しています。 しかし、ここに個人の電話番号を表示することの可否はきわめて難しい問題です。 現在稼働中のデータベースの根本にかかわることでもあり、ある程度の時間をかけて慎重に検討する必要があります。 この問題については実験期間中に検討を重ね、当面は”すべて表示する”ことを前提に割当てを開始することにします。

管理の委託

地域型ドメイン名では管理する名前空間が広大なため、割当て業務や名前サーバーの管理など、JPNICの負担は激増するものと思われます。 その場合、XXXX.JPの管理をZZZという組織にいたくできれば、JPNICの負担が軽減され、割当て業務もより円滑に進めることができます。 しかし、割当て業務にはこれまでのJPNICによるものと同等の公平性、迅速性が要求されるため、委託先は十分に信頼できる組織でなければなりません。 実験期間中に、委託方法や委託に適した組織があるかどうか、またそうした場合の問題点などについても検討したいと考えています。

ドキュメント

地域型ドメイン名割当て実験プロジェクトの内容や申請方法、JPドメイン名(属性型)の新規取得、変更、削除など、 各種申請についてのドキュメントは以下のとおりです。

おわりに

地域型ドメイン名の採用については、JPNIC内で半年以上にわたって活発な論議が交わされ、ようやく実験プロジェクト開始にこぎつけました。 しかし、まだまだ問題が多いと感じています。 ご意見、ご要望などがありましたら、ぜひお寄せくださいますようお願いいたします。

(かみやま・かずえ 東京理科大学)