地域型JPドメイン名再構築検討部会 > 第1回検討部会 > 参考資料:D
出展:JPNIC Webページ http://www.nic.ad.jp/ja/newsletter/No41/0320.html |
1993年のJPNIC発足時より3年間、JPドメイン名割り当て作業部会の主査を務めておりました。 本稿では、その当時のことを振り返りながら、地域型ドメイン名の本格運用開始の経緯についてお話したいと思います。
JPドメイン名は、当初第2レベルをAC、CO、GO、OR、ADの五つの属性で運用していました。 ところが、1992年末から1993年にかけて、「商用ISPの誕生」と「学校へのインターネット導入実験(100校プロジェクト)」を間近に控え、ドメイン名を取り巻く状況は急変しました。
まず直面したのは、「個人」に対して割り当てるドメイン名の問題でした。 ドメイン名を希望する個人に対して、COを割り当てることも検討されましたが、 「個人事業者」か否かの判断が困難であること、 希望文字列の衝突が多くなり第3レベルが極端に長くなってしまうこと、 CO属性のみ数が突出するとネームサーバに負荷がかかるという技術的観点からも、 無理があると考えられました。
ほぼ同じ頃、いわゆる「100校プロジェクト」が開始されることがわかりました。 「学校」は「AC(Academic)」にはそぐわず、また「個人」の問題と同様に数の問題、衝突の問題が考えられました。 そこで、これらを解決しうる方策として、当時米国ですでに運用されていた地域型ドメイン名の導入を、早期にめざすこととなったのです。
地域型ドメイン開始に当たっての議論をいくつかご紹介します。
1993年12月、都道府県名を第2レベル、市町村区名を第3レベルとする「地域型ドメイン名※1」が、1年間の実験という形で開始されました。 「個人」については、スムーズに割り当てが行われるようになりました。 しかし、懸念されていた通り、地方公共団体がドメイン名から一見して判断しにくく、使い難いというご意見を数多くいただきました。 そこで検討の結果、新たに地方公共団体属性(METRO、PREF、CITY、TOWN、VILL、WARD)※2を加えた形で、さらに1年間実験を継続することとなりました。
この地方公共団体属性の導入には、JPNICにとってもう一つ利点がありました。 それは、インターネットが急速に広がりJPNICの申請処理業務が膨大になっていたため、 地方公共団体にドメイン名を割り当てれば、その下部組織はサブドメインとなり事実上処理を委譲できるという点です。 その意味でも、国の機関で使用していたGOとはあえて別の文字列を属性に使用しました。
その後、本運用開始を前に、1995年11月には外部の方を交えて意見交換会が行われ、継続的にルール見直しを行っていくことを前提に、 1996年4月に、ついに地域型ドメイン名の本運用を開始することができました。
地域型ドメイン名は実験期間中に526件の登録が行われ、現在も約3,000件が運用されています。 学校については意見交換会後の議論で、EDドメインの誕生に至りました。 「長い」とかなりご批判も多い地域型ドメインですが、地方公共団体のドメイン名としては、評価していただけているのではないかと思います。
最後に、故平原正樹氏をはじめとするドメイン名作業部会メンバーの皆様、実験から運用までに携わった全ての皆様に心より感謝申し上げます。