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地域型JPドメイン名の再構築における基本方針の検討結果報告書

2010年7月28日
地域型JP ドメイン名再構築検討部会

1. はじめに

地域型JPドメイン名再構築検討部会(以下、検討部会)では、 JPRS からの検討依頼を受け、地域型JPドメイン名の利用状況変化やアンケートの結果等を踏まえ、 地域型JP ドメイン名再構築の是非及び再構築する場合の基本方針を検討した。 以下にその検討結果を報告する。

2. 検討結果

地域型JPドメイン名は、1993年の新設から今日に至るまで、種々の周辺状況変化(3章にて後述)により、サービス仕様が現状の要求に合わなくなってきている。 このため、それぞれの地域の方々にとって登録・活用しやすいドメイン名とし、地域の発展に寄与できるドメイン名であり続けるための見直しを検討した。

検討部会では、以下の基本方針に基づき、地域型JPドメイン名の制度を再構築すべきであると考える。 (個々の基本方針については、4章にて説明する。)

  1. 1.所在要件の撤廃
  2. 2.1組織1ドメイン名制限の撤廃
  3. 3.都道府県名ラベル[*1]以下の第3レベルの開放
  4. 4.既存ドメイン名の利用継続

なお、新制度導入においては、混乱を防ぐため、以下の事項に十分に配慮することが適切である。

  1. 1.現行ルールの停止
  2. 2.予約ドメイン名の設定[*2]
  3. 3.開始時の申請集中による混乱回避
  4. 4.新制度にふさわしい名称への変更
[*1]
本報告書では、用語「都道府県名ラベル」は、47都道府県名をローマ字つづりしたラベルという意味で用いる。
[*2]
地方公共団体属性ラベル(metro, pref, city, town, vill)の他、インターネット利用者が混乱すると思われるwww等の文字列は予約ドメイン名とするのが適切である。 また、地域型JPドメイン名の再構築直後に、市区町村名が第3レベルに登録され混乱を招くことを防止するため、現存の市区町村名を登録禁止とするか、 一定期間は当該自治体だけが登録できるように検討することが適切である。

3. 地域型JPドメイン名再構築検討の背景と経緯

地域型JPドメイン名は、1993年12月から実験プロジェクトとして登録が開始され、1996年4月から本格的な運用が開始された。 累計登録数は、2002年6月の4338件をピークに年々減少しており、2010年7月時点では、2712件となった。 また、新規登録数も減少しており、2009年の1年間では13件である。

累計登録数及び新規登録数の減少の原因としては、いわゆる「平成の大合併」による地方公共団体数の減少と、 以下に示す新設ドメイン名により地域型JPドメイン名以外へ選択肢が広がったことが挙げられる。

新設したドメイン名新設時期主な対象
ED.JPドメイン名1999年2月初等中等教育機関等
汎用JPドメイン名2001年2月日本国内の個人や組織
LG.JPドメイン名2002年10月地方公共団体

ドメイン名の登録が広がり普及が進む中で、ドメイン名の覚えやすさや分かりやすさに対する要求が顕在化し、 地域型JPドメイン名に関して「長くて使いにくい」「登録ルールが複雑で分かりにくい」といった一般からの意見や、 指定事業者からの見直し提案がJPRS に寄せられるようになった。

上記の状況を受け止めJPRS は、本検討部会を設置し、再構築の是非と方針検討を開始した。 検討部会設置の際に、JPRS からは以下の大方針が提示された。

検討部会では、地域型JPドメイン名の再構築の是非と今後の扱いについて、以下の3通りの対応を考えた。

地域名を冠したドメイン名の登録を望む声が、指定事業者の顧客等から実際に上がっており、 地域型JPドメイン名を適切に再構築すれば、地域の発展に寄与するサービスになる可能性があると検討部会は判断した。

再構築の適切な基本方針を検討するに当たり、まず検討の軸となる事項として「所在要件の必要性」や「1 組織1 ドメイン名制限の必要性」等を洗い出し、 それらに関するアンケートによって広く意見を収集し、これも参考とした。

4. 再構築の基本方針

4章では、2章で示した再構築の四つの基本方針について説明を行う。

4.1. 所在要件の撤廃

アンケートの結果得られた以下のような要求に応え、利活用の幅を広げるため、登録時の申請者の当該地域への所在要件を撤廃するのが適切である。

4.2. 1組織1ドメイン名制限の撤廃

アンケートの結果得られた以下のような要求に応え、ドメイン名の多様な使い方に対応するため、1組織1ドメイン名の制限を撤廃するのが適切である。

4.3. 都道府県名ラベル以下の第3レベルの開放

アンケートの結果得られた以下のような指摘に応え、第2レベルが都道府県名ラベルとなっているものについては、希望の文字列を第3レベルへ登録できるように変更するのが適切である。

また、以下の理由により、第2レベルが、都道府県名ラベルではなく、政令指定都市名ラベル[*3]となっているものについては、現在地域型JPドメイン名として利用されているものも含め、再考するのが適切である。

[*3]
本報告書では、用語「政令指定都市名ラベル」は、政令指定都市名をローマ字つづりしたラベルという意味で用いる。

4.4. 既存ドメイン名の利用継続

再構築に当たって、登録済みの地域型JPドメイン名は、混乱や負担を回避するため希望すれば使い続けられるようにするのが適切である。

5. 参考

5.1. 検討部会の開催

以下の通り検討部会を開催した。

2010年5月10日検討部会準備会検討部会設置、意見交換会
2010年6月  2日第1回検討部会検討課題の確認
2010年6月21日第2回検討部会アンケート設問の検討
2010年7月  9日第3回検討部会アンケート結果共有と再構築方針検討
2010年7月28日第4回検討部会報告書の確認

5.2. 地域型 JP ドメイン名に関するアンケート実施

地域型JPドメイン名に対する意見を広く収集するためアンケートを実施した。

対象者
  • 属性型・地域型JP ドメイン名の指定事業者
  • 地域型 JP ドメイン名の登録者
  • 一般利用者
アンケート期間
   2010年6月24日~2010年7月6日

5.3. 地域型JPドメイン名再構築検討部会に関する情報の公開

チャーター、会議の資料と議事録、アンケート結果を次のURLで公開している。
 URL: http://jprs.jp/geo-wg/