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■(緊急)BIND 9.xの脆弱性(DNSサービスの停止)について(CVE-2023-2911)
  - バージョンアップを強く推奨 -

                                株式会社日本レジストリサービス(JPRS)
                                            初版作成 2023/06/22(Thu)
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▼概要

  BIND 9.xにおける実装上の不具合により、namedに対する外部からのサービ
  ス不能(DoS)攻撃が可能となる脆弱性が、開発元のISCから発表されました。
  本脆弱性により、提供者が意図しないDNSサービスの停止が発生する可能性
  があります。

  該当するBIND 9のパッケージを利用しているユーザーは、各ディストリビュー
  ションベンダーからリリースされる情報の収集やバージョンアップなど、適
  切な対応を速やかに取ることを強く推奨します。

  本脆弱性はserve-stale(後述)が有効になっているnamedにおいて(デフォ
  ルトでは無効)、設定ファイル(通常はnamed.conf)の
  stale-answer-client-timeoutオプションに0を指定している場合のみ対象と
  なります。

▼詳細

▽本脆弱性の概要

  serve-staleはRFC 8767で定義される、DDoS攻撃や事故などで権威DNSサーバー
  から応答が得られなかった場合に期限切れのキャッシュデータを活用して、
  名前解決を継続するための機能です。namedのserve-staleはデフォルトで無
  効になっており、設定ファイルのほか、rndcコマンドで有効に変更できます。

  BIND 9.xにはserve-staleの実装に不具合があり、以下の条件をすべて満た
  した場合、namedにおいてループが発生し、スタックオーバーフローにより
  異常終了する可能性があります。

    1)serve-staleが有効になっている

    2)設定ファイルにおいて、stale-answer-client-timeoutオプションに
       0を設定している(デフォルトではoff)

    3)serve-stale機能を使用する名前解決を実行する

  そのため、外部の攻撃者がこの状況を発生させることができた場合、当該サー
  バーのDNSサービスを停止させることが可能になります。

▽対象となるバージョン

  本脆弱性は、以下のバージョンのBIND 9が該当します。

  ・9.18系列:9.18.7-9.18.15
  ・9.16系列:9.16.33-9.16.41

▽影響範囲

  ISCは、本脆弱性の深刻度(Severity)を「高(High)」と評価しています。

  本脆弱性はnamedの設定ファイルにおいて、stale-answer-client-timeoutオ
  プションに0を設定している場合のみ対象となります。

  本脆弱性については、以下の脆弱性情報[*1]も併せてご参照ください。

  [*1] CVE Record | CVE
       <https://www.cve.org/CVERecord?id=CVE-2023-2911>

▼一時的な回避策

  namedの設定ファイルにおいて、stale-answer-client-timeoutオプションに
  off/disabled(デフォルト)または0以外の値を設定することで、本脆弱性
  を回避できます。

  なお、stale-answer-client-timeoutオプションに0以外の値を設定する場合、
  2023年1月に公開された、CVE-2022-3924[*2]の修正が適用されている必要が
  あります。

  [*2] (緊急)BIND 9.xの脆弱性(DNSサービスの停止)について(CVE-2022-3924)
       <https://jprs.jp/tech/security/2023-01-26-bind9-vuln-serve-stale-softquota.html>

  また、同時に受け付ける再帰問い合わせの数を制限するrecursive-clients
  オプションの値を大きくすることで、本脆弱性によるnamedの異常終了の可
  能性を低減できます。しかし、recursive-clientsオプションによる制限は
  サーバーのリソース枯渇を防ぐための重要な仕組みであり、本対策の実施は
  推奨されません。

▼解決策

  本脆弱性を修正したパッチバージョン(BIND 9.18.16/9.16.42)への更新、
  あるいは、各ディストリビューションベンダーからリリースされる更新の適
  用を、速やかに実施してください。

▼参考リンク

  以下に、ISCから発表されている情報へのリンクを記載します。また、各ディ
  ストリビューションベンダーからの情報や前述のCVEの情報なども確認の上、
  適切な対応を取ることを強く推奨します。

  - ISC

   セキュリティアドバイザリ

    CVE-2023-2911: Exceeding the recursive-clients quota may cause
                   named to terminate unexpectedly when
                   stale-answer-client-timeout is set to 0
    <https://kb.isc.org/docs/cve-2023-2911>

   パッチバージョンの入手先

    BIND 9.18.16
    <https://ftp.isc.org/isc/bind9/9.18.16/bind-9.18.16.tar.xz>

    BIND 9.16.42
    <https://ftp.isc.org/isc/bind9/9.16.42/bind-9.16.42.tar.xz>

▼連絡先

  本文書に関するお問い合わせは <dnstech-info@jprs.co.jp> までご連絡くだ
  さい。

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▼更新履歴
  2023/06/22 10:00 初版作成

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