JPドメイン名のサービス案内、ドメイン名・DNSに関連する情報提供サイト


増刊号

vol.50

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2006-04-05━
                    ◆ FROM JPRS 増刊号 vol.50 ◆
━!JP━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━JPRS━━
___________________________________

 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
                      ICANNウェリントン会合報告
                    ~理事会決議事項に関する報告~
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

2006年3月25日から31日まで、ニュージーランドのウェリントンでICANN第25回
会合が開催されました。ICANNの発表によれば、各支持組織及び諮問委員会の
会議及びワークショップ等、30以上の会議が開催され、82の国と地域から約
700名が参加しました。

今号では、会合の総括として、3月31日に行われた理事会の決議内容とその背
景情報を報告します。

          ◇                     ◇                     ◇

1. ccNSOによるICANN定款変更の勧告を否決

現在、世界にccTLD(Country Code Top Level Domain)は248存在します
(http://www.iana.org/cctld/cctld-whois.htmより)が、このうちICANNの
ccNSO(Country Code Names Supporting Organization:国コードドメイン名
支持組織)に加入しているのは48のみです。加入が増えない大きな理由のひと
つに、ヨーロッパを中心としたccTLDレジストリが、ICANN付属定款中のccNSO
に関する規定内容に反対していることが挙げられます。

この状況を打開するため、ICANNウェリントン会合に先立つ2005年12月、正式
なポリシー策定プロセスにしたがって、ccNSO会員及び非会員のccTLDが共同し、
ICANN付属定款のうちccNSO関連条項に対する修正提案を8つ示した勧告を作成、
ICANN理事会に提案しました。

これを受け、今回のICANN理事会では、この勧告を受け入れて付属定款を修正
するかどうかが審議されました。

この審議で論点となったのは、勧告で指摘された8点のうちのひとつ、「勧告3」
です。「勧告3」では、ICANN付属定款に、「(ccNSO関連条項の)いかなる変
更も、ccNSOによって勧告され、理事会に承認されるものとする」という条件
を加えるよう要求しています。

この条件を加えれば、理事会は、ccNSOの勧告なしでccNSO関連条項を変更でき
なくなります。このため、理事会が利害関係者から独立してICANNの定款と執
行を監督する最終権限を持つという原則を維持すべきとの判断から、理事会は
「勧告3」を否決しました。また、「勧告3」が否決されたことに伴い、他の勧
告内容についても決議が保留されました。

今後は、ccNSOとICANNスタッフとの間で、妥協点を見出すための協議が行われ
る予定です。なお、この協議がまとまるまでの間は、付属定款のいずれの
ccNSO関連条項も変更されないことになっています。

◎関連URI

  - Board Report: Country Code Policy Development Process (1)
    on matters pertaining to Article IX, Annex B and Annex C of the
    ICANN Bylaws.
    http://ccnso.icann.org/announcements/ccnso-board-report-04dec05.pdf


2. ICM Registryによる.xxxの創設提案を保留

昨年の6月1日、アダルトサイト用の新たなsTLD(Sponsored Top Level Domain:
スポンサー付きトップレベルドメイン)として提案された.xxxの創設に関して、
ICANNと、提案者であるICM Registryとの間で契約交渉を行なうことが承認さ
れました。

そして、8月9日に.xxxのレジストリ契約が一般公開されたところ、政府及び民
間から複数の反対意見が寄せられました。このため、正式な創設はいまだ決定
されず現在に至っています。今回のウェリントン会合では、3月30日にICANNの
GAC(Governmental Advisory Committee:政府諮問委員会)からICANN理事会
に対し、違法コンテンツへのアクセス制限の仕組みが提供されていない等、
.xxxのポリシーに公共政策の観点から問題がある旨のコミュニケが提出された
ため、.xxxの創設決定はさらに難しくなりました。

結局、今回の理事会でも、.xxxの創設は決議されませんでした。今後は、
ICANN事務総長と法律顧問が、ICM Registryとの交渉は継続しつつ、さらに関
係者からの意見を聴取した上で、契約の修正を作成する予定となっています。

◎関連URI

  - GAC Communique: Wellington, New Zealand, 28 March 2006
    http://gac.icann.org/web/communiques/gac24com.pdf 


3. IANA管理外のTLDネームシステムとルートに関するSSAC報告を採択

2006年3月30日、ICANNのSSAC(Security and Stability Advisory Committee:
セキュリティと安定性に関する諮問委員会)は、IANA(Internet Assigned 
Numbers Authority)が管理しているものとは異なるTLDネームシステムとルー
トに関する報告書案を理事会に提出しました。これは、オルタネート・ルート
と呼ばれてきた方式に代表されるシステムもしくはサービスが、これまでに、
商業的背景や政治的背景により導入され、もしくは、導入が予定されているこ
とを見て、SSACが啓発的報告書としてまとめたものです。この報告では、複数
存在するこれらシステムを分類し、それぞれの運用モデルと技術的な仕組みを
解説した上で、ISP、ドメイン名登録者、レジストリへのインパクトを考察し
ています。

3月31日の理事会では、この報告書が採択され、一般公開が指示されました。

◎関連URI

  - SSAC Report SAC009: Alternative TLD Name Systems and Roots:
    Conflict, Control and Consequences
    http://www.icann.org/committees/security/alt-tlds-roots-report-31mar06.pdf


4. TLD DNS及びルートDNSへのDDoS攻撃に関するSSAC報告を採択

2006年3月30日、SSACは、DNSを狙ったDDoS攻撃に関するセキュリティ勧告案を
理事会に提出しました。この勧告では、2月にあるTLDのネームサーバを対象に
なされた攻撃の内容を紹介し、そのインパクトを解説しています。また、TLD
ネームサーバオペレータが取り入れるべき短期的、長期的な対策を提案してい
ます。

3月31日、理事会はこの勧告を採択し、一般公開を指示するとともに、この勧
告に基づき、ネームサーバ運用者各位がBCP 38、RFC 2827、SSAC 004 に則っ
て戦略を立てるよう強く呼び掛けました。

◎関連URI

  - SSAC Advisory SAC008: DNS Distributed Denial of Service (DDoS)
    Attacks
    http://www.icann.org/committees/security/dns-ddos-advisory-31mar06.pdf


5. 2006-2009年ICANNの戦略計画を承認

ICANNの戦略計画は、最初に案が作成された2004年以来、支持組織、諮問委員
会、その他の参加のもとオンライン、オフラインで議論されてきました。こう
した議論を踏まえ、3月18日に「2006-2009年戦略計画案」が公開され、理事会
に提出されました。

2006-2009年戦略計画は、ICANNが対象期間中に直面するであろう課題や機会を
洗い出し、ICANNのコミュニティに資することを目指した5つの戦略目標を掲げ
ています。また、今後はこの戦略目標に基づき、より具体的な運用計画案を作
成することが念頭に置かれています。

3月31日の理事会では、この2006-2009年戦略計画案が承認されました。今後、
事務総長とスタッフは、支持組織、諮問委員会その他のコミュニティと相談し
つつ、2006-2007年を対象期間とする運用計画の策定プロセスを始めることに
なります。

◎関連URI

 - Strategic Plan: July 2006 - June 2009
   http://www.icann.org/strategic-plan/strategic-plan-29mar06.pdf


6. ICANNとVeriSignとの和解契約承認決議に対する異議申立への対応

2006年2月28日、ICANN理事会は、ICANNとVeriSignとの間の法的紛争の和解を
目的とした契約を承認しました。

3月中旬、この決議に対する異議申立が2件提出されました。1件は、23社のレ
ジストラを代表してNetwork Solutionsから提出されたもので、米国司法省そ
の他の専門家から競争とセキュリティに関する問題点についてインプットを受
けるまでは、理事会は決議をすべきでないと要求しています。もう1件は、
.comの登録者Danny Younger氏から提出されたもので、理事会に対し、GAC か
ら公共政策に関する正式な意見を受け取るまで、決議を保留するよう求めてい
ます。しかし、異議申立を検討する理事会内の再審査委員会
(Reconsideration Committee)は、この2件の申立を検討した結果、いずれも
根拠に乏しいと結論づけ、さきの決議は変更すべきでないと理事会に勧告しま
した。

このため、3月31日の理事会では、最終的にVeriSignとの和解契約承認の決議
は変更されないことになりました。なお、理事会の席上、この和解における米
国商務省と司法省の役割について十分な説明が理事会になされなかったとの批
判が、理事のRaimundo Beca氏から出されました。また、理事会ChairのVint 
Cerf氏も、意思決定の透明性について改善の余地があると重ねて発言し、理事
会に先立つパブリックフォーラムで複数出された反対意見への配慮を示しまし
た。とはいえ、透明性の向上や意思決定方法の改善に向けた具体的な対策は提
示されずに終わりました。

◎関連URI

  - Recommendation of the Reconsideration Committee: Reconsideration
    Request 06-1
    http://www.icann.org/committees/reconsideration/reconsideration-recommendation-06-1.htm

  - Recommendation of the Reconsideration Committee: Reconsideration
    Request 06-2
    http://www.icann.org/committees/reconsideration/reconsideration-recommendation-06-2.htm


7. gTLDレジストリサービス技術評価パネル議長としてLyman Chapin氏を任命

2005年11月5日、ICANN理事会は、gTLDレジストリがそのサービスを変更するに
あたりICANNの事前承認を得るべきものとし、そのためのプロセスを採択しま
した。

今回の理事会では、このプロセスの一環である技術評価パネルの議長が任命さ
れました。任命されたLyman Chapin氏は、ASO(Address Supporting 
Organization:アドレス支持組織)選出のICANN理事を2001年から2004年まで
務めた人物です。

◎関連URI

  - Procedure for use by ICANN in considering requests for consent and 
    related contractual amendments to allow changes in the 
    architecture or operation of a gTLD registry
    http://gnso.icann.org/issues/registry-services/tor-revised.shtml

  - Former Directors: Lyman Chapin 
    http://www.icann.org/biog/chapin.htm


8. 新gTLDプロセス実施推進の意向発表を指示

GNSO(Generic Names Supporting Organization:分野別ドメイン名支持組織)
は、さらなるgTLDの導入の是非を判断する仕組みを作るためのPDP(Policy 
Development Process:ポリシー策定プロセス)を2005年12月6日に開始しまし
た。これは、選定基準が明確になることを前提に、gTLDのさらなる追加も可能
であるとの見解がgTLD関係者の間で示されていることに基づく動きです。今後、
GNSOは、2006年6月の次回ICANNマラケシュ会合までに第一次報告書を完成させ
ることになっています。

この動きに連動させる形で、3月31日のICANN理事会では、ICANNが2007年1月1
日までに新gTLDプロセスを実施したいとの意思を持っていることが表明され、
その旨を明記した「新gTLDプロセス実施推進の意向通知」を早急に公開するよ
うICANNスタッフに指示されました。

        ◇                     ◇                     ◇

◎関連URI

  - ICANNホームページ
    http://www.icann.org/

  - ICANNウェリントン会合
    http://www.icann.org/meetings/wellington/

  - 2006年3月31日ICANN理事会決議
    http://www.icann.org/minutes/resolutions-31mar06.html

  - ccNSOホームページ
    http://ccnso.icann.org/

  - IANAホームページ
    http://www.iana.org/

  - 用語辞典(IANA)
    http://jpinfo.jp/glossary/index.php?ID=0027

  - GNSOホームページ
    http://gnso.icann.org/

━!JP━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━JPRS━━
              編集・発行:株式会社日本レジストリサービス(JPRS)
                            http://jprs.jp/
                            http://日本レジストリサービス.jp/
                会議報告:  http://jpinfo.jp/event/
  メールニュース配信解除:  http://jpinfo.jp/mail/
          ご意見・ご要望:  from@jprs.jp

当メールマガジンの全文または一部の文章をホームページ、メーリングリスト、
ニュースグループまたは他のメディア等へ許可なく転載することを禁止します。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
Copyright(C), 2006 Japan Registry Services Co., Ltd. 2006年04月05日