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ドメイン名関連会議報告

2024年

[第79回ICANN会合報告] TLD次回募集に関する動向

本記事では、第79回ICANN会合(ICANN79)におけるTLD次回募集に向けた動向についてご紹介します。

次回申請受け付けに向けたスケジュール

現時点でTLD申請の受付開始を2026年4月とするスケジュールに変更はなく、申請者向けのガイドブック(Applicant Guidebook:AGB)については、2025年第4四半期の公開というスケジュールに沿った準備が進められています。ガイドブック(案)に対する初回のコメント募集が2024年3月に終了しており、今後の進捗の大勢に影響を与えるコメントは出ていない状況です。

RSP事前評価制度

ICANNは、gTLDレジストリに必要なサービスを提供するレジストリサービスプロバイダー(Registry Service Provider:RSP)を事前評価することで、gTLD申請者への便宜を図るための仕組みをまとめたハンドブック「Draft Registry Service Provider Evaluation Handbook」を2024年3月13日に公開し、2024年4月22日を期限としてパブリックコメントを受け付けています。

ハンドブックには、以下の形で具体的な日程と評価プロセスの具体案が示されています。なお、申請料については未定となっており、検討が続けられています。

[日程]
2024年11月19日 RSP事前評価受付開始
2025年 5月20日 RSP事前評価受付終了
2025年12月 9日 事前評価済RSPリストの公開

[評価プロセス]
(1) Initial Technical Screening
(2) Secondary Technical Screening(※)
(3) Registry System Testing
(4) Registry Services Evaluation
(5) IDN Evaluation
※gTLDを事故なく運用できている組織については省略可能

Registry System Testing 2.0

技術系セッションの一つである「Tech Day」では、ICANN事務局から、新gTLDのレジストリシステムに対して行うテスト「Registry System Testing 2.0(RST 2.0)[*1]」の紹介が行われました。

次回のgTLD募集では、RSPの事前評価やgTLD申請において、このテストに合格することが必要となります。

前回のテストは2012年の新gTLD追加募集の際に行われたもので、手動での実施であること、修正から再実施までに時間が掛かること、RDAP[*2]などに対応していないことなど、今回の追加募集に向けた改善が必要な状況となっていました。

[*2] Registration Data Access Protocolの略称。ドメイン名などの登録情報にアクセスするためのプロトコルです。URIによりデータが渡され、JSON(JavaScript Object Notation:JavaScriptのオブジェクト表記方法に由来する簡便なデータ記述法)の形式で応答が返されます。

RST 2.0では、以下の四つの分類でテストを定めています。

  • Main RSP(EPP、RDAP、エスクロー)
  • DNSSEC RSP
  • DNS RSP
  • Proxy RSP

DNSSECに対するテストには、ZSK(ゾーン署名鍵)の更新、KSK(鍵署名鍵)の更新に加えて、DNSSECアルゴリズムの更新が含まれ、2025年1月から必須ではなくなるWHOIS、Web Whois、Searchable Whoisについては対象外となっています。なお、テストは自動化されており、RST-API[*3]というICANNが準備したAPIを用いて利用者が自分で実施することになります。