[第81回ICANN会合報告] ルートサーバー関連の話題

本記事では、第81回ICANN会合（ICANN81）におけるルートサーバー関連の話題についてご紹介します。

RSSAC^[*1]、RSSAC Caucus^[*2]、RSS GWG（Root Server System Governance Working Group）は、普段から定期的に会合を開催し、その定常的な会合の一部をICANN会合のプログラムに組み込む形が取られています。

ルートサーバーのIPアドレスが変更される際の旧IPアドレスの扱い方に関するガイドラインの作成が望まれており、ICANN79にてその検討が始まりました^[*3]。

今回のRSSAC CaucusのGuidelines for Changing Root Server Addresses Work Partyでは、ASO^[*4]／RIR^[*5]からゲストを招き、ルートサーバーのIPアドレスが変更される際の旧IPアドレスの取り扱いに関して意見交換が行われました。

Work Partyからは、旧IPアドレスは必ずしもルートサーバー運用者（RSO）が保持するものではなく、使用終了後にRIRに返却されるケースがあり、これまでにも複数の実例が存在している旨が共有されました。また、RIRに返却されたIPアドレスは別組織に再割り当てされる可能性があり、RSOとしてこの状況を阻止したい旨が説明されました。

これに対しRIRからは、現在のルールでは再割り当てを回避するための仕組みは存在せず、RIRの機能としても想定したことがない旨が回答され、実際にそれを可能にするためのRIRに共通のルールを作成することは難しいと考えられる旨が共有されました。

本件については、今後もRSSACの場で議論が継続される見込みです。

ルートゾーンKSKロールオーバーは、ルートゾーンのDNSSEC鍵署名鍵（KSK）を更新するために行う一連の作業手続きです。前回のKSKの切り替えは2018年10月11日に実施されており、今回のKSKの切り替えは2026年後半に実施見込みである旨が、2024年2月28日にICANNから発表されていました^[*6]。

2024年11月5日のroot-dnssec-announceメーリングリストへの投稿で、2024年4月26日に生成された新しいKSK（KSK-2024）の情報と、ルートゾーンKSKロールオーバーの具体的な作業日が発表されました^[*7]。発表された作業日は以下の通りです。

• 新KSKの事前公開：2025年1月11日
• 新KSKへの切り替え：2026年10月11日
• 旧KSKの失効：2027年1月11日