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増刊号

vol.11

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2003-11-28━
                       ◆ FROM JPRS 増刊号 vol.11 ◆
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                   さらなる技術協力と認知度向上を目指す
                             ~APTLD活動報告~
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2003年11月23日、ニュージーランドの首都ウェリントンにて、APTLD(Asia 
Pacific Top Level Domain Association)会議が開催されました。APTLDは、ア
ジア太平洋地域のccTLDレジストリの連合組織です。ヨーロッパの地域連合組
織CENTRなどと連携しながら、レジストリ運用技術やインターネットガバナン
スに関する情報交換、ICANNのポリシーに対する意見書提出などを行っていま
す。

  ●用語:インターネットガバナンス
  → http://jpinfo.jp/glossary/index.php?ID=0067

今回は、この会議に先立って11月21~22日に開催された技術ワークショップの
内容もあわせてお伝えします。
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▼APTLD技術ワークショップ

APTLDの技術ワークショップは、8月のAPTLD釜山会議で開催が決定されたもの
で、今回が第1回目となります。今回の技術ワークショップでは、TLDレジスト
リやルートサーバオペレータなど約30名の技術者が集まり、DNSやレジストリ
技術に関するエキスパートからのチュートリアルや、APTLD参加組織間の技術
情報交換が行われました。日本からは講師3名を含む4名が参加しました。

第1日目は、DNSおよびIDN(国際化ドメイン名)に関するセッションが行われ
ました。DNSに関するセッションでは、DNSのパケットサイズ制限から導き出さ
れるルートサーバの最大数についての考察、TLDサーバのドメイン名を統一す
ることによるメリット、IPv6サポートなどについて解説がありました。また、
アジア太平洋地域におけるルートサーバの性能・安定性の向上を目的とした、
IPエニーキャストを使ったFルートサーバの展開状況についても解説され、1サ
ーバあたりの秒間問合せ数はそれほど大きくないが、たとえば中国ではRTT 
(Round Trip Time:パケットの往復に要する時間)が劇的に改善されている
という報告がありました。

  ●用語:ルートサーバ → http://jpinfo.jp/glossary/index.php?ID=0100

IDNのセッションでは、IDNについての技術解説と、ccTLDにおける登録サービ
スに関する注意点の説明、中国語における異体字の取り扱いに関する説明、そ
して日本(JP)、韓国(KR)、台湾(TW)におけるIDNサービスの現状報告が行われ
ました。

第2日目は、EPP、ENUM、およびSRS(Shared Registry System)に関するセッシ
ョンが行われました。EPPのセッションでは、オーストラリアのAusregistryに
おけるEPPの実装について解説がありました。オーストラリアでは、レジスト
ラに対して、一度に大量の情報を扱えるEPPインターフェースの利用を推奨し
ているが、小さなレジストラ向けにWebインターフェースも用意しているとの
ことでした。

ENUMのセッションでは、ENUMの技術解説と、ccTLDがENUMサービスを検討する
際の注意点についての説明が行われました。このセッションでは、ワークショ
ップ全体を通じてもっとも活発な質疑応答が行われ、ENUMに対する期待や課題、
電話番号の使い方などについて、議論が広がりました。

SRSのセッションでは、ニュージーランドにおけるドメイン名の管理体制やSRS 
の実装について解説が行われました。ニュージーランドではInternetNZという
組織を中核に、ドメイン名の方針策定を行うDNC(Domain Name Commissioner)、
レジストリを運営するNZRS(NZ Registry Services)が存在し、45のレジスト
ラがSRSを使ってドメイン名の登録情報を共有しているとのことでした。

  ●用語:EPP  → http://jpinfo.jp/glossary/index.php?ID=0106
  ●用語:ENUM → http://jpinfo.jp/glossary/index.php?ID=0105
  ●用語:SRS  → http://jpinfo.jp/glossary/index.php?ID=0107
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▼APTLD会議

今回のAPTLD会議では、.jp(JPRS)を含むアジア太平洋地域の9つのccTLD から
17名、.info(Afilias)からオブザーバ1名を迎え、ラウンドテーブル形式で行
われました。

今回の会議では、まず、先立って開催された技術ワークショップの成功が確認
されました。これまでICANNの組織、ポリシーの在り方などについて議論をす
ることが多かったAPTLDですが、DNSの安定性向上・サービス向上等にとっての
技術情報交換の重要性を今回あらためて認識し、今後はこういった活動にも力
点を置き、ワークショップを積極的に開催していくことになりました。また、
イベントを開催して各国から参加者を募るだけではなく、APTLDから1~2名の
専門家を途上国に派遣し、海外出張が難しいレジストリのためにDNS運用技術
などを紹介する活動も企画していく予定です。

また、2004年事業計画の大枠も決定されました。2004年はAPRICOT(2月)と
ICANN会合(7月)がマレーシアで開催されることから、これらのイベントをより
多くの関係者が集合できる絶好の機会ととらえ、技術ワークショップ、ICANN
ワークショップなどを企画することになりました。これから、実施にむけて
APRICOT実行委員会、APNIC、ICANNなどとの具体的な調整に入ることになって
います。

  ●用語:APRICOT → http://jpinfo.jp/glossary/index.php?ID=0007

8月の釜山会議以降、APTLDは広報活動の強化を通じ、組織基盤である会員を増
やしつつあります。1998年の立ち上げ以来、APTLD会員数は17ccTLD前後で大き
な変動なく推移してきましたが、この3ヶ月で、増加傾向が顕著になってきま
した。今回の会議で.tk(トカラ)の入会が承認されたのに加え、さらに4つの
ccTLDからの入会についても手続を進めています。アジア太平洋地域には、距
離や予算などの問題により、北米やヨーロッパで開催される会議へ参加できな
いccTLDレジストリが多くあります。このため、オンライン会議、Webでの情報
提供や、近隣国でのワークショップなどの活動を行っているAPTLDに対する関
心、ニーズが高まっているようです。新規会員の参画により、APTLDはこれか
らさらに活性化するでしょう。

より多くのアジア太平洋ccTLD関係者にインターネット資源管理の情報を提供
し、この地域のインターネット基盤強化に寄与するため、APTLDは、今後も他
の地域組織との協力などを通じ、認知度向上と活動内容の充実に努めていくこ
とにしています。


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◎関連URI

  - APTLD
    http://www.aptld.org/

  - CENTR
    http://www.centr.org/

  - APNIC
    http://www.apnic.net/

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              編集・発行:株式会社日本レジストリサービス(JPRS) 
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