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増刊号

vol.17

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2004-03-22━
                       ◆ FROM JPRS 増刊号 vol.17 ◆
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                           ICANNローマ会合報告
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2004年3月1日から3月6日まで、イタリアのローマ郊外でICANNおよび関連組織
の会議が開催されました。今回も様々な議題が議論されましたが、ここでは
ICANN Presidentによる最近の活動の総括報告内容、ccNSOの動向、およびWSIS
ワークショップの様子についてお伝えします。

          ◇                     ◇                     ◇

■ICANN Presidentによる活動総括

ICANN PresidentでCEOであるPaul Twomey氏は、3月4日に開催されたPublic
Forumで、ここ1年間のICANNの成果として、主に次の事項をアピールしました。
ICANNの再組織化の効果は、新ICANNが実質的なポリシー策定にいたっていない
ため見えていませんが、今後、At Large、ccNSO、およびポリシー策定プロセ
スが実装されるに従い、多方面からの客観的評価が行われることになります。

    - 米国政府との覚書延長
    - ICANNの再組織化
    - At-Large、ccNSOの立ち上げ
    - IDNの実装
    - gTLDポリシー(WHOIS、ドメイン名移転、ドメイン名廃止関係)策定
    - レジストリサービスに関するポリシー策定プロセスの策定
    - ブリュッセルオフィスの設置
    - 新Sponsored TLDプロセスの策定
    - gTLDレジストラが合計191社に増加

さらに、今後の優先課題として、主に次の項目が挙げられています。最も優先
度が高いのは、米国政府との覚書に関するプロセスの完遂です。米国商務省と
の覚書に基づき、ルートサーバの管理を始めとするインターネット資源調整責
任を米国政府から民間組織ICANNに早急に移管し、インターネット資源管理の
国際化、民営化を完遂したいという、Presidentの熱意が伝わってきました。

    1. 米国政府との覚書に関するプロセスの完遂
    2. ルートサーバシステムの安定性とセキュリティ確保
    3. IANAサービスの強化
    4. 新gTLD導入と競争促進
    5. 途上国、消費者への情報提供
    6. gTLDレジストリ、レジストラへのサービス強化

■ccNSO設立

ICANNローマ会合期間中の3月1日をもって、ccNSO(Country Code Names 
Supporting Organization)が正式に設立されました。ccNSOは、GNSO、ASOと並
ぶICANNの支持組織です。ccTLDレジストリで構成され、ccTLDに関してICANN理
事会に勧告をする役割を持っています。

3月1日現在、39のccTLDレジストリがccNSOに参加しています。参加ccTLDの内
訳は、アジア太平洋…8、ヨーロッパ…4、北米…4、アフリカ…11、ラテンア
メリカ/カリブ…12です。

さらに、ccNSOの第1回会合が、3月3日に開催されました。会合では、ccTLD
レジストリにおけるセキュリティ確保のために望ましい施策というテーマで、
互いの経験を活かすため各レジストリがとっている施策を紹介し、技術情報を
交換しました。

また、SSAC(Security and Stability Advisory Committee)から新TLD増設によ
るルートサーバへの影響や、DNSSECの動向といった現在の活動報告が行われ、
会場からはIANAとの窓口における認証機構などの話題が上りました。

ccNSOにおいては、これからも関連組織を含めた技術、実務面での情報交換や
経験の共有が活動の中心になっていくことが考えられます。今後は、7月に開
催される予定のICANNクアラルンプール会合前に、ccNSO Council(評議会)
メンバーの決定が行われ、組織として本格的に始動する予定です。

■WSISワークショップ

3月4日には、WSISワークショップが開催されました。WSISワークショップは、
ICANNのAt-Large Advisory Committee(ALAC)、GNSO Business Constituency
およびISP Constituencyが協同で開催した情報提供セッションです。昨年12月
に開催されたWSIS第1回会合では、広範な情報社会の問題に加え、ICANNに大き
く関連するインターネット資源管理責任、インターネットガバナンスについて
も議論が行われました。これを受けて、今回のWSISワークショップは、WSISの
概要と動向情報を、レジストリ、レジストラ、ビジネス、一般ユーザなど、各
方面からのICANN参加者に広く提供することを目的として開かれました。WSIS
に対する関心の高さから、300名以上の関係者がこのワークショップに出席し
ました。

ワークショップでは、Vint Cerf氏(ICANN Board Chairman)、Bill Manning氏
(RSSAC)、Paul Kane氏(CENTR Chair)などのインターネット資源関連の専門家、
ユーザ代表および政府高官など、総勢18名がパネリストとなり、WSISおよびイ
ンターネットガバナンスのありかたについて意見を述べました。

Vint Cerf氏ほか、複数のパネリストが、WSISが議論の対象としている情報社
会はインターネットよりも広い範囲に及んでいること、ICANNがインターネッ
ト資源管理の技術的調整という限られた範囲によって活動しているにもかかわ
らず、WSISにおいてはICANNが情報社会全体のガバナンスを行っているかのよ
うな誤解を持たれる危険性があること、従って議論が拡散する可能性があるこ
とを指摘していました。

そして、パネリストのほぼ全員が、インターネット資源管理の調整は、ICANN
を調整役とした民間主導のボトムアップという、現在の枠組みを維持して進め
るべきとの意見でした。今後の活動としては、パネリスト以外の出席者を含む、
インターネット資源管理に何らかの形で関わっている各位に対し、WSIS関連会
合等でこの意見を表明していくこと、およびWSISの各国政府代表などの関係者
と緊密な対話を続けていくことが要請されました。

           ◇                     ◇                     ◇

◎関連URI

  - ICANNホームページ 
    http://www.icann.org/
  
  - ICANNローマ会議 
    http://www.icann.org/meetings/rome/

  - ICANN WSISワークショップ 
    http://www.icann.org/meetings/rome/wsis-workshop-04mar04.html
  
  - 世界情報社会サミット 
    http://www.wsis.org/

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