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増刊号

vol.19

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2004-05-28━
                       ◆ FROM JPRS 増刊号 vol.19 ◆
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      ENUMとIDNに関するアジア太平洋地域の情報交流会合開催
    ~第2回APT-ITU Joint Workshops on ENUM and IDN 報告~
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2004年5月21日と22日の2日間、ブルネイのバンダル・スリ・ブガワンにて、APT
とITUによる共催で、ENUMとIDN(国際化ドメイン名)に関するワークショップ
が昨年8月に続き開催されました。ENUMとIDNは、新しい可能性を持つ情報通信
技術として注目されており、技術とポリシーの両方が適切に組み合わされて初
めて実現されるサービスであるという認識の下、各国から両分野の専門家や政
府関係者が集まりました。アジア太平洋地域の約30カ国から約70名が参加しま
したが、日本からはJPRSの2名が参加し、日本における民間を中心としたENUM
および日本語JPドメイン名への取り組みについて発表しました。

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▼ENUM

ENUMは、電話番号だけを用いてインターネット上の様々な通信サービスの利用
を可能にする仕組みです。IETFにおいて技術的な標準化が行われ、ITUにおい
て運用面での基準策定が行われています。

21日に開かれたENUMに関するワークショップでは、IETFのENUM WGチェアの一
人であるRichard Shockey氏からENUM技術の概要説明がなされ、その上でENUM
を利用した新しい通信サービスの可能性が述べられました。次に、ITUより、
「ENUMでの国内番号管理方法等は国ごとに決められるべきものであるが、ENUM
管理用のTLDの決定やその運用など全世界にまたがる最低限の共通管理方法に
ついては、現在ITU-Tにてまとめられつつある」ことが述べられました。

その後、具体的な取り組みを行っている、オーストラリア、日本、中国、韓国、
シンガポールが各国の状況を発表しました。また、アジア太平洋地域外の代表
的な取り組みとして、オーストリアからも活動の紹介がなされました。

アジア太平洋地域では、現在中国とシンガポールだけが正式にITUに認められ
た国番号(日本の場合は81)を用いた国際接続実験を行っています。今回の発
表では、オーストラリアと韓国が、まもなく国番号を用いた実験の実施をITU
に申請することを表明しました。これらの国々では、ENUMを用いた通信サービ
スを公衆通信サービスと接続する実験も進めています。また、ENUMによる通信
サービスに対応できるように電気通信番号に関する法律を変更したり、ENUMサ
ービスのあり方を国レベルで検討するための政府と民間組織からなる評議会を
設置したりという活動が各国で進められています。

日本からは、JPRSがENUMトライアルジャパン(ETJP)の活動を発表し、同組織が
さまざまな分野の43会員を持つボランティア組織であること、アプリケーショ
ンを中心に実験が行われていることなどを紹介しました。中でも、2004年5月12
日の第1次報告会で行われた「RFIDとの組み合わせによるワンナンバー着信サー
ビス」の紹介は、ENUMの新しいアプリケーションの端緒であることから聴衆の
興味を集めました。

全体としては、技術面に関しては、各国で基本的な部分の検証がかなり進んで
います。国際接続という観点では、ETSIがENUMトライアルにおける最低限のイ
ンターオペラビリティに関する要求条件を提示し、そのテストを先導していま
す。残る大きな課題は、ナンバーポータビリティやワンナンバーサービスとい
った適用サービスの明確化、プライバシとセキュリティに関するポリシー設定
とそのための技術確立、課金方法も含むビジネスモデルとそのシステム実現方
法の確立などであり、これらはENUMの商用化のために越えなければならない課
題と言えます。

▼IDN 

IDNは、2003年3月にその技術標準がRFCとして確定し、さらに6月にはICANNか
らIDN導入のためのガイドラインが示されました。これらに基づき、日本(.JP)
を含むいくつかのccTLDやgTLDでIDN登録サービスが開始されています。これか
らIDNを導入しようと考えているTLDでは、IDNに関してどういう課題があり、既
にサービスを開始している国がどのような施策でそれを解決しているのか、と
いう情報を必要としています。また、すでに導入しているTLD間でも協力して解
くべき課題が残っています。

このような背景の下、22日に開かれたIDNに関するワークショップでは、まず、
IETFのIDN WGチェアの一人であるJames Seng氏よりIDNの技術概要と各レジス
トリでの言語取り扱い方法のガイドラインが説明されました。言語取り扱い方
法とは、ドメイン名のための言語テーブル(言語を意識した場合のIDN用文字
コード集合とその中で等価とみなす文字集合)の定義のことです。

日本からは、IDNサービスを世界に先駆けて実施し、その中で予約語の制定、
サンライズ期間等の仕組みを注意深く実施して来た経験を紹介しました。IDN
の利用に関しては、需要は大きく、レジストリによる登録サービスが世界レベ
ルで広がっているにもかかわらず、利用環境が不十分であるという認識を共有
し、その拡充に関して互いに協力することを提案しました。また、その環境の
整備の例として、携帯電話からのIDNの利用、IDNを利用できないPCブラウザか
らのIDNアクセスを可能とする仕組みの提供を紹介しました。

その後、韓国、タイからも、日本の導入方法を参考にしてIDNサービスの導入
を進めていることの紹介がなされました。

ICANNからは、IANAによる言語テーブル登録表の管理の重要性と具体的管理方
法の紹介がなされました。IANAは2004年2月から言語テーブルの登録を開始し
ていますが、現在、日本(.jp)、韓国(.kr)、ポーランド(.pl)、.info、
 .museumが登録済みとなっています。中国語に関しては、中国、台湾、香港、
マカオが協力して言語テーブルを準備中とのことです。TLDが違っても、同一
言語に対しては同じ言語テーブルを使うようにしていくことが、インターネッ
トユーザにとって利益をもたらす重要な施策となり、そのことに関する共通理
解も得られました。

          ◇                     ◇                     ◇

◎関連URI

  ・APT-ITU Joint Workshops on ENUM and IDN
   http://www.aptsec.org/meetings/2004/ENUMIDN/default.htm

  ・APT: Asia Pacific Telecommunity(アジア太平洋電気通信共同体)
  「ITUのアジア・太平洋地域版ともいえる組織。各国政府が情報共有・議論
     を行う。」
   http://www.aptsec.org/ 

  ・ITU: International Telecommunication Union(国際電気通信連合)
  「電気通信に関する国際的な調整を行う国連の機関。電気通信サービスの
     国際的な制度検討や、技術の標準化、開発途上国への技術協力の推進な
     どを行う。」
  http://www.itu.int/ 

 ・ETSI: The European Telecommunications Standards Institute
  「電気通信に関する標準を作成する機関。ヨーロッパを中心に活動。」
  http://www.etsi.org/

 ・ETJP: ENUM Trial Japan
  「日本でのENUM技術トライアルを行う組織。2003年9月設立。」
  http://etjp.jp/   

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