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増刊号

vol.25

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2004-10-21━
                     ◆ FROM JPRS 増刊号 vol.25 ◆
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                   CENTR Administrative Workshop報告
                     ~Whoisに関する最新動向 他~
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2004年10月11日と12日の2日間に渡り、ベルギーの首都ブリュッセルにてCENTR 
(Council of European National Top-Level Domain Registries)第5回
Administrative Workshopが開催されました。

CENTRは、ヨーロッパのccTLDの管理組織(レジストリ)からなる組織で、JPRS 
は.jpのレジストリとして準メンバとなっています。CENTRでは、組織運営、技
術、法務等のテーマによってそれぞれ専門グループが構成され、その中で
Administrative Workshopは主にドメイン名の登録管理業務に関する課題と解
決策の共有に取り組んでいます。

今回のAdministrative Workshopには、19カ国のレジストリからのメンバーと、
欧州委員会、イタリアのレジストラからのゲストを加えた33名が参加し、
Whois、レジストラ向け行動指針(Code of Conduct:以下COCと略す)、レジ
ストリインタフェースなどといった多岐に渡るテーマに対して、活発に情報交
換と議論を行いました。

以下、Whoisとレジストラ向けCOCを中心に、第5回Administrative Workshopに
おける各テーマに関する発表の概要をご報告します。

          ◇                     ◇                     ◇

■Whois

Whoisは、インターネットユーザ同士の自律的なトラブル解決を目的として、
ドメイン名の登録情報を公開するものです。しかし、個人がドメイン名を登録
することで、登録情報の中に個人情報も含まれるようになってきており、その
情報の保護を求める要請も出てきているのが現状です。そのため、公開の原則
と個人情報の保護をどう両立させていくか、ということが、現在世界中で大き
な課題となっています。また、インターネットユーザの裾野が広がってきたこ
とに伴い、自律的なトラブル解決を目的としたWhoisの提供が果たして有効か
どうかという点も課題のひとつです。今回のAdministrative Workshopでは、
こうしたWhoisに関する課題と解決策の共有を促進するために、JPRSから議題
の提案を行っており、日本、オランダ、ハンガリーの3ヶ国から発表が行われ
ました。

まず日本からJPRSが、Whoisへの連続アクセス機能の停止や、最終更新者の電
子メールアドレスの非公開化、公開連絡窓口の住所記載の任意化など、Whois 
の目的外利用の防止や個人情報の保護に関する取り組みについて発表しました。
また、課題として虚偽の情報が登録されることや、登録情報が適切に更新され
ないこと、商用のデータ収集にWhoisが悪用されてしまうことを挙げました。
最後に、連絡窓口の電話番号の公開や、登録者との公開に関する合意を検討中
の事項として発表した上で、個人情報の保護とトラブル時の解決に関わる利便
性とのバランスを、レジストリとして取っていく必要がある旨を述べました。

オランダからは、Whoisそのものの定義を改めて行った際の経験を中心とした
発表がありました。この中では具体的に、ネットワークトラブルの解決、ドメ
イン名申請のための登録情報の確認や知的財産権保護のための監視、法的に問
題のあるWebコンテンツへの対処といった利用者側からの観点と、情報保護と
いった登録者側からの視点、さらに、プロトコルとしてのWhoisと機能として
のWhoisを明確に分けて議論すべきであると述べられました。最後に、Whoisに
関しては“one size fits all”的な解決策はなく、バランスを考慮しながら
仕様を決めるべきだとまとめられました。

ハンガリーからは、Whoisに関するプライバシー問題を中心とした発表があり
ました。この中で、対処法として、登録規則で登録情報が公開されることを定
め、情報の検索時には著作権と利用条件の説明ページを表示することが述べら
れました。その他ハンガリーは、Whoisでメールアドレスを公開するのは技術
連絡担当者のみ、登録担当者は法人でも可、など、RIPE(Reseaux IP
Europeens)で過去に議論された方針には沿わない独自の仕様も設けています。
また、法人と個人でWhoisのポリシーが異なっており、個人の場合、名前以外
の個人情報はWhoisでは公開しないという点も特徴的でした。

Whoisについてはいずれの国でも議論が盛んなため、多くの質問が飛び交いま
した。最後には、参加者すべてが自国のWhoisについて簡単に発表し、各国の
独自の工夫を共有することができました。また、今後CENTR事務局から、Whois 
に関する情報共有のための調査が行われることになりました。この調査結果は、
今後各国で、課題の解決に役立つものとなりそうです。

■レジストラ向けCOC

今回の会議でWhoisの次に注目を集めたテーマは、レジストラ向けのCOCです。
ほとんどのレジストリが、レジストリとレジストラ、レジストリと登録者に関
する取り決めを持っていますが、レジストラと登録者に関する明確な取り決め
は行っていません。そのような状況の中、登録者保護の観点からレジストラの
登録者向けサービスにCOCを設けるべきか国際的な場でもよく議論されるよう
になってきました。

まずはじめに、すでにCOCを持つベルギーから、概要や制定のプロセスの詳細、
導入後の効果が発表されました。計画から実現まで2年近くかかり、3年たった
今も引き続き改善の途にある大きなテーマであり、膨大なコストと時間、登録
者保護を重視するレジストラの多大な協力が必要であることが説明されました。
それらのレジストラは、レジストリのWebサイトで「domain ethix」というロ
ゴを用いて紹介されています。現在では40%~45%のレジストラと取り決めを交
し、約55%のドメイン名がカバーされているとのことです。

次にオランダから、敷居の低いレジストラ認定基準の導入の影響について発表
がありました。現在、オランダのccTLDである.nlでは約125万件のドメイン名
が登録されていますが、この基準の導入によって登録数は伸びたものの、短期
間に約1800のレジストラが生まれ、レジストリとレジストラのコミュニケーショ
ンが困難になっているとのことでした。またその結果、レジストラ、登録者向
けのサービスの品質を保証することがたいへん難しくなっているそうです。そ
のため今後はレジストラ向けの最低管理ドメイン名数の設定、COCの制定、レ
ジストラ資格維持のための年会費の値上げ、レジストラ契約の厳格化等の対策
を講じていくとのことです。

現在はまだCOCを設けているレジストリは多くありませんが、今後はこうした
先例の共有を通じ、登録者保護の観点からの取り組みが増えていくものと考え
られます。

■その他

その他のテーマとして、レジストリインタフェースに関するデモンストレーショ
ンやアクセスビリティーの改善、メンバーレジストリのサービスに関する調査
結果などについての発表や議論が行われました。

レジストリインタフェースについては、日本の他、イギリス、オーストリア、
スロベニア、イタリア、CENTR事務局から発表がありました。いずれの場合に
も、登録者向けのサービス向上に役立つインタフェースの改善を優先する点が
共通しており、また登録数の多いレジストリほど機能が充実していました。

CENTR事務局からは、メンバーレジストリのサービスに関する調査結果が発表
されました。調査に参加したレジストリのうちの78%がレジストラ部門を持ち、
70%が即時登録の仕組みを提供、さらに55%が定期的にレジストラの資格審査を
行っているなど多彩なデータが集まり好評でした。これらは今後、各国でのサー
ビス改善に役立てられていきます。

          ◇                     ◇                     ◇

◎関連URI

  - CENTR (COUNCIL OF EUROPEAN NATIONAL TOP-LEVEL DOMAIN REGISTRIES)
    http://www.centr.org/ 

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              編集・発行:株式会社日本レジストリサービス(JPRS)
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