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増刊号

vol.27

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2004-12-22━
                       ◆ FROM JPRS 増刊号 vol.27 ◆
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                       ICANNケープタウン会合報告
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2004年12月1日から5日まで、南アフリカのケープタウンにて、ICANNの2004年度
年次会合が行われました。ICANNの発表によれば、今回の会合には、91以上の
国・地域から、のべ735名以上が参加しました。また、アフリカ地域で開催され
たということもあり、25のアフリカ諸国からの出席がありました。

ケープタウン会合で最も関心を集めた話題の一つは、IDN(国際化ドメイン名)
でした。12月1日には、DNワークショップが開催され、多くの報告や議論が行わ
れました。

IDNは、日本では「日本語JPドメイン名」としてすでに運用されているものです。
日本語JPドメイン名については、これまでのWebブラウザ等の対応に加え、最近
ではフルブラウザを搭載した携帯電話の登場や、検索サービス、認証サービス、
ブログサービスなど多くのサービスが対応し始めたことで注目を集めています。
なかでもInternet Explorerをはじめとして、ユーザ環境で大きなシェアを持つ
マイクロソフト社のアプリケーション群がいつ正式に対応するかについては読者
の皆様も気になっているところと思います。今回の会合ではこの点について重要
な進展が見られました。

ここでは、そのIDNワークショップの模様についてお伝えします。

          ◇                     ◇                     ◇

■IDNワークショップ

7月のクアラルンプール会合に続き、今回もIDNワークショップが行われました。
前回は初歩的なチュートリアルが多くありましたが、今回はIDN普及における課
題などの議論も行われ、前回よりも一歩踏み込んだ内容となりました。

ワークショップには150名程度が参加し、昼の1時から夜の8時まで、熱心な議論
が展開されました。ワークショップは以下の3部構成で進められました。

セッションI:アフリカ地域でのIDN導入状況報告
セッションII:IDNアプリケーションに関する報告とパネルディスカッション
セッションIII:IDNとポリシーに関する報告とパネルディスカッション

■セッションI:アフリカ地域でのIDN導入状況報告

まず、セッションIでは、多くの市民がアフリカ経済の発展、ビジネスの発展に
中心的な役割を果たすようになるために、自らの母国語を使ったコミュニケー
ションが不可欠であり、IDNはそのようなコミュニケーションを促進するために
非常に有用であるとの主張が行われました。さらに、事例紹介の部分では、イラ
ンのccTLD(.IR)レジストリから、年末に開始するペルシャ文字ドメイン名の登
録テストベッドについて、その仕様などが紹介されました。.IRでは、このテス
トベッドの期限を6ヵ月間に区切り、ペルシャ文字に限定した(アラビア語など、
イランで使用される他の言語文字は含まない)ドメイン名の登録を行う予定です。
中東諸国では、複数の国で同一の言語を用いたり、一つの国で複数の言語を用い
ていることが多く、ポリシーや仕様を定めるにあたって困難な問題がまだ数多く
残っています。このため、日本と異なり、IDNの導入はまだ実験の域を出ていな
いようでした。

■セッションII:IDNアプリケーションに関する報告とパネルディスカッション

次に、セッションIIでは、レジストリの実装(登録と名前解決)、レジストラの
実装、ブラウザその他のアプリケーションの対応、EPP(現在標準化が進められ
ているレジストリ・レジストラ間のプロトコル)上のIDNの標準化が議論されま
した。
.JPについては、JPRSから、日本語JPドメイン名の普及状況について説明が行わ
れました。著名人の公式サイトや商品の販売キャンペーンに日本語JPドメイン名
が使用されている事例が紹介され、関心を集めました。
また、中国のccTLDレジストリであるCNNICからは、電子メールアドレスの「@」
の左側のユーザ名と右側のドメイン名の両方共に中国語文字を使用することがで
きるプラグインを提供していることなどが発表されました。そしてCNNICは
「電子メールアドレスの国際化に関する標準化と実用化を求める」という提言を
行いました。

パネルディスカッション部分では、JPRSから堀田博文がパネリストとして参加し、
Internet ExplorerのIDN対応ロードマップについての質問をマイクロソフト社に
投げかけました。マイクロソフト社シニア・プログラム・マネージャの
Michel Suignard氏は慎重に言葉を選びながらも以下のように明言しました。

  「2006年に予定されている次期Windows『Longhorn』ではIDNに対応する。」

  「Longhornとは別に、IDNの基本的な機能について2006年よりも前に対応する
    可能性もある」

  「マーケットニーズ次第でマイクロソフトの行動は変わる」

これらのやりとりのなかで今後1~2年以内にマイクロソフト社製品におけるIDN
利用環境が整うことが明らかになり、またそれは短縮される可能性があることが
示されました。

JPRSでは、日本での利用者の声を今後も継続してマイクロソフト社をはじめとし
たベンダーに伝えていくことによって、さらなる日本語JPドメイン名の普及を後
押ししていきたいと考えています。

■セッションIII:IDNとポリシーに関する報告とパネルディスカッション

最後のセッションIIIでは、主に知的財産権保護の立場から、IDNを導入した場合
の、ポリシー方面での注意点や懸念について議論されました。例えば、IDN の
WHOISでの表示、IDN.IDN(国際化トップレベルドメイン名)が創設された場合の
UDRP(Uniform Dispute Resolution Policy: 統一ドメイン名紛争処理ポリ
シー)への影響などが指摘されました。今後も、政策担当者や知的財産専門家は、
技術の進展とユーザのニーズを注視しながら、各種ポリシーへの反映作業を行っ
ていくとのことでした。

このように、IDNは、途上国と先進国、オペレータ、ユーザ、政策担当者など多
くの人々が高い関心をもっています。また、全ての関係者がIDNに対するニーズ
を認識し、普及に賛同していることが、ワークショップ全体の雰囲気として感じ
られました。このため、今後もICANN会合の場では、IDN関連の活動が積極的に行
われていく見込みです。

          ◇                     ◇                     ◇

◎関連URI

  - ICANNホームページ
    http://www.icann.org/

  - ICANNケープタウン会合
    http://www.icann.org/meetings/capetown/

  - ICANN IDNワークショップ
    http://www.icann.org/meetings/capetown/idn-workshop-01dec04.htm

  - 「ICANNのケープタウン会議が成功裡に終了」
    ("ICANN successfully concludes Cape Town Meetings"
      :ICANNによるアナウンス)
    http://www.icann.org/announcements/announcement-06dec04.htm

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              編集・発行:株式会社日本レジストリサービス(JPRS)
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