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増刊号

vol.62

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2006-11-24━
                       ◆ FROM JPRS 増刊号 vol.62 ◆
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                       第67回 IETF Meeting 報告(後編)
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前編に続きまして、今回、後編として、IDN(国際化ドメイン名)、EAI
(Email Address Internationalization)、ENUM(Telephone Number Mapping)
に関する話題と、IETFに併設して開催されたIEPG
(Internet Engineering Planning Group)について報告します。

          ◇                     ◇                     ◇

■APPAREA(Application area open meeting)BoF

APPAREA BoFでは、アプリケーションエリアのWGの報告や、標準化が終了し対
応するWGが存在していない事項の更新についての議論が行われます。今回は、
国際化ドメイン名(IDN)の改定についての報告が行われましたので紹介しま
す。

国際化ドメイン名の改定については、John Klensin氏から、現在小人数のデザ
インチームで検討を行っていること、標準化後に見つかった課題については
RFC 4690へまとめたこと、その課題としてあげられている類似文字のセキュリ
ティ問題、合成文字への対応、右から左に書く文字への対応、UNICODE 5.0へ
の対応などの作業を行っていることが報告されました。この改訂により、IDN
が安全になり、また多くの言語に対応できることになります。詳細は以下のイ
ンターネットドラフトをご覧下さい。

◎関連URI

    http://www3.ietf.org/proceedings/06nov/slides/apparea-0.pdf
    http://www.ietf.org/internet-drafts/draft-klensin-idnabis-issues-00.txt
    http://www.ietf.org/internet-drafts/draft-alvestrand-idna-bidi-00.txt
    http://www.ietf.org/internet-drafts/draft-faltstrom-idnabis-tables-01.txt

■EAI(Email Address Internationalization)WG

EAI WGは、メールアドレスを国際化し、ASCII文字以外の文字でもメールアド
レスとして使用可能とするための方式を議論するWGです。EAI WGでは、まず実
験(Experimental)のプロトコルを作り、評価を経て標準プロトコルにつなげ
ていく予定です。

今回は、WGチェアが現在までの合意点と未解決の問題を提示し、それについて
議論するという形で会議が進められました。結果として、全体の概要を定めた
frameworkドキュメントについてはほぼ合意されたため、年内にIESGに提出し、
標準化を進めることが合意されました。SMTPの拡張については新たな未決点の
追加はありませんでしたが、ヘッダのUTF-8拡張とDowngrade(既存のシステム
と互換性を維持するための変換)については方針がまだ合意されていないとい
う状態になっています。WGチェアから、3本のコアドキュメント(SMTP拡張、
UTF-8ヘッダ、Downgrade)については、次回のIETFミーティングまでに完成さ
せることが提案されました。

◎関連URI

    apparea BoFでのEAI WG報告
    http://www3.ietf.org/proceedings/06nov/slides/apparea-2.ppt

    EAI WG BoF資料
    http://www3.ietf.org/proceedings/06nov/slides/eai-0.ppt

    EAIコアドキュメントセット
    http://www.ietf.org/internet-drafts/draft-ietf-eai-framework-03.txt
    http://www.ietf.org/internet-drafts/draft-ietf-eai-smtpext-02.txt
    http://www.ietf.org/internet-drafts/draft-ietf-eai-utf8headers-02.txt
    http://www.ietf.org/internet-drafts/draft-ietf-eai-downgrade-02.txt

■ENUM(Telephone Number Mapping)WG

ENUM WGは、ENUM技術の標準の決定、運用のための技術資料の作成、および
ENUM運用に関する情報交換を行うためのWGです。

前回のミーティングからは新規に発行されたRFCはありませんが、番号ポータ
ビリティなどをENUMで実装するために提案されたPSTN ENUMサービスとENUMド
メイン名の認証に関するドキュメントが発行直前となっています。また、IM、
vcard、カレンダーなどのENUMサービス提案と、EDNS0ドキュメント、発信者情
報に関するCNAM提案、インフラストラクチャENUMの要求仕様についてはWGから
IESGに提出され、標準化作業が進められていることが報告されました。

今回の会議では、前回から継続してENUM実装者向けのドキュメント、ENUMサー
ビス、インフラストラクチャENUM、ENUMプロトコルであるRFC3761そのものを
大規模に更新する議論が行われました。

ここ数回にわたりWGでの議論対象となってきたENUM実装者向けのドキュメント
である「ENUM Implementation Issues and Experiences」(L. Conroy氏と
JPRS藤原和典の共著)について、EDNS0についての勧告を別ドキュメント
(draft-ietf-enum-edns0-00.txt)に分離しましたが、元々のドキュメントか
らは削除されていなかったため、修正の上進めることが合意されました。

◎関連URI

    http://www.ietf.org/internet-drafts/draft-ietf-enum-experiences-05.txt
    http://www.ietf.org/internet-drafts/draft-ietf-enum-edns0-00.txt

ENUMプロトコル更新の議論では、前回のミーティングで提案された抜本的な見
直し案とは異なり、従来のENUM標準と互換性のある方式が提案されました。従
来通りDDDSを使う方式で、従来Flagとして"U"を用い、正規表現を処理してURI
を得ていた部分を変更し、Flagとして"D"を追加し、Regexpフィールドを使わ
ずにドメイン名フィールドを使用し、そのドメイン名に対してURIリソースレ
コードを記述するという方法です。前回のIETF報告で報告した問題点の多くは
解決されないこととなりましたが、正規表現の評価をする必要がなくなります。

◎関連URI
    http://jpinfo.jp/mail/backnumber/event/0058.html

今回の提案方式では、従来の、

  <enumドメイン名>  NAPTR 10 100 "u" "E2U+sip" "!^.*$!sip:info@...!" .
  <enumドメイン名>  NAPTR 10 100 "u" "E2U+h323" "!^.*$!h323:info@...!" .

という記述を、

  <enumドメイン名>  NAPTR 10 100 "D" "E2U+sip" "" <別のドメイン名>
  <enumドメイン名>  NAPTR 10 100 "D" "E2U+h323" "" <別のドメイン名>
  _sip._e2u.<別のドメイン名> URI 10 10 "sip:info@..."
  _h323._e2u.<別のドメイン名> URI 10 10 "h323:info@..."

のように記述することとなります。

◎関連URI

    http://www.ietf.org/internet-drafts/draft-ietf-enum-3761bis-00.txt
    http://www.ietf.org/internet-drafts/draft-ietf-enum-uri-00.txt

■IEPG(Internet Engineering Planning Group)Meeting

IEPGは、インターネット運用についての情報交換を行うグループで、IETF会議
に併せて開催されています。ここでは、DNSやインターネットインフラに関す
る発表をいくつかピックアップして紹介します。

これまではIPアドレスの枯渇という観点の報告が多くありましたが、今回は経
路情報の数という観点での報告がありました。IABからは、経路制御のスケー
ラビリティ問題についての検討を開始したことが報告されました。そのなかで、
IPアドレスは機器を識別するIDという機能をもち、同時に経路制御の識別子
(Locator)でもあるということが問題であるという指摘があり、IABでは緊急
にIDとLocatorを分離するアーキテクチャの検討を行うことになりました。

また、CISCOのVince Fuller氏から、これまでの経路数の推移と将来の経路数
の予測について報告され、さらにルータなどの機器が耐えられるかどうかにつ
いての推定についても報告されました。

この問題については、インターネットプロトコルの根幹にかかわるため、これ
から深く議論されることになります。

◎関連URI

    Summary of the IAB Routing and Addressing workshop
    http://www.iepg.org/november2006/1-raws-update.pdf

    IP routing scaling issues
    http://www.iepg.org/november2006/2-routing-scaling.pdf

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