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増刊号
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2007-03-07━ ◆ FROM JPRS 増刊号 vol.67 ◆ ━!JP━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━JPRS━━ ___________________________________ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ APTLDバリ会合報告 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ APTLD(Asia PacificTop Level Domain Association)のミーティングが、2007 年2月25日から27日にかけて、インドネシアのバリ島で開催されました。APTLDは、 アジア太平洋地域のccTLD連合組織で、現在JPRSを含む27のccTLDレジストリが会 員となっています。 今回の会合には18のレジストリから45名以上が出席し、25日と26日に Non-Technicalトレーニング、27日には総会と理事会が行われました。今回の FROM JPRSでは、それらの会合の模様を報告します。 ◇ ◇ ◇ ■APTLD Non-Technical トレーニング 27日の総会・理事会に先立ち、2月25日と2月26日の2日間に渡り、 APTLDNon-Technicalトレーニングが開催されました。トレーニングではTLDを巡 るこれまでの歴史、ICANNを中心とするTLDにまつわる枠組み、TLDのポリシーや 近年のトピックスの紹介、各ccTLDの事例紹介、国際化ドメイン名(IDN)の状況 の紹介など、多彩なテーマで情報交換がありました。JPRSからは、遠藤淳が.jp のレジストリの運営の枠組みの紹介を、堀田博文が国際化ドメイン名(IDN)の 状況の紹介を行いました。 これまでも技術分野に焦点を当てたトレーニングは行われてきましたが、今回の ような技術分野以外に包括的に焦点を当てたトレーニングは、新たな取り組みと なります。新規にAPTLDの会員となったレジストリを中心とする多くの参加者か ら、内容が充実しており大変参考になったと、このような機会を評価する声が多 数聞かれました。 ■トピックス別の最新状況報告 2月27日の総会では、まず、各種のトピックス別に最新状況の報告が行われまし た。以下、主なものをご紹介します。 最初に、第一線の技術者を迎え、最新の技術トピックスの報告が2つ行われまし た。DDos攻撃についてArbor Networks社のDanny McPherson氏から、DNSSECとDNS のリソースレコードに関する仕様であるDLV(DNSSEC Lookaside Validation)に ついて南カリフォルニア大学情報科学研究所(ISI)のBill Manning氏から解説が ありました。いずれもDNS運用の安定性、信頼性、安全性にとって重要なテーマ であり、大きな関心を集めました。 次に、ICANN GAC(Government Advisory Committee)ChairのSharil Tarmizi氏 から、GACの構造や設置されている分科会の活動の報告と2007年3月以降のGACの 新体制の紹介が行われました。また、APRALO(Asia PacificRegionalAt-LargeOrganisation)の設立に向けた動きについての情報提 供がSiavashShahshahani氏(.ir)から行われました。 国際化ドメイン名(IDN)については、会員間でも関心が高く、前回の2006年11 月のバンコク会合と同様、ICANNのIDN Program DirectorであるTina Dam氏が、 IDN TLD、IDN Guidelinesの状況の報告を行いました。加えて、Chris Disspain 氏(.au)からはccNSOにおいてIDN TLDに関する議論が進められており、2006年3 月下旬のICANN会合までに課題が整理される予定であることが報告されました。 また、今回は「ICANN Regions - APTLD's View」と題した報告が、 KeithDavidson氏(.nz)から行われました。これは、.ky(ケイマン諸島)の DaveArchbold氏がICANN Sao Paulo会合で行ったプレゼンテーションの紹介を中 心とするもので、33のccTLDが、実際に位置する地域、国連による地域区分、 ICANNによる地域区分の間で矛盾を抱えていること、それらのccTLDは、各地域コ ミュニティや地域組織への参加に関して「加盟資格がない」等の扱いを受けてい るといった問題を抱えていることが報告されました。この内容を受け、地域組織 であるAPTLDとして取るべき対応について、意見交換もありました。 ■各ccTLDの事例紹介を含むテーマ別のパネルディスカッション 今回のAPTLDでは前回の2006年11月のバンコク会合に引き続き、各国のccTLDがそ れぞれの国や地域ごとの事例を持ち寄り、それらの共通点および相違点について 議論することにより、各会員間の情報共有や共通認識の形成を図るという取り組 みが行われました。今回は、会員間で関心の高いテーマを3つ選定し、それぞれ のテーマについて、パネルディスカッションを実施する方式が採用されました。 1つ目のセッションのテーマは、政府とccTLDレジストリの関係でした。まず、 JPRSの大橋由美が導入のプレゼンテーションとして.jpの状況を報告し、議論を リードしました。.jpの報告を受け、.fg(フィジー)、.ir(イラン)、.nz(ニュー ジーランド)、.tw(台湾)の状況が報告され、それぞれの国や地域毎の事情に ついて有益な情報交換が行われました。結果としてそれぞれのccTLDで事情が異 なるものの、インターネットガバナンスおよびドメイン名の登録管理等に関する グローバルレベルの議論と国内レベルの議論を連動させるためには、ccTLDレジ ストリと政府関係者との間で有効なコミュニケーションを確立することが重要で あることが参加者の間で認識されました。 2つ目のセッションでは「スパム、フィッシングに対する会員の役割」というテー マで、.nz、 .sg(シンガポール)、 .hk(香港)と準会員の.asiaからのパネリ ストが、各TLDにおける取り組みを紹介しました。スパム、フィッシングへの対 応は世界的な課題であり、TLD間の連携の重要性について活発な議論が行われま した。 3つ目のセッションでは「登録ポリシーを遵守するためにそれぞれのccTLDにおい て、どのような枠組みが採用されているか」に焦点が当てられました。今回は .th(タイ)、.au(オーストラリア)、.nz、.hk、.jpからそれぞれのccTLDの枠 組みが紹介されました。.auでは、申請する文字列と登録者との間に密接な関連 性がなければならないという要件を設けており、ドメイン名登録に先立つ審査を 厳格に行っています。その一方で.nzでは、登録に先立ってはほとんど審査を行 わず、登録後に紛争が発生した場合に対応できるよう紛争処理手続を充実させて います。ポリシー実装の枠組みは、それぞれのccTLDが拠って立つ法制度、経済 的状況、歴史等による影響が大きく、逆に言えば、あるccTLDの手法をそのまま 別のccTLDに当てはめることは難しいということになります。各ccTLDからの具体 的な事例の紹介を通じ、このような土台となる部分を踏まえた枠組みの模索につ いて議論が行われました。 ■General Managerによる活動報告と理事改選 2006年6月にAPTLDのGeneral Managerに就任したDon Hollander氏から、APTLD の 活動報告が行われました。専任のGeneral Managerの着任はAPTLDにとって、 APTLDそのものの設立・組織の法人化と並ぶ大きな出来事でした。 会議ではGeneral Managerの精力的な活動がAPTLDに組織の強化と安定をもたらし、 様々な面で会員の利益につながるとの期待を多くの会員が抱いているという印象 を持ちました。 今回の会議ではAPTLDの理事の改選が行われ、その結果が報告されました。任期2 年の理事の顔触れは以下の通りです。(非改選の理事4名を加えた計8名でAPTLD 理事会は構成されます) Richard St. Clair(.nu:再任) Keith Davidson (.nz:新任) Ai-chin Lu(.tw:再任) 大橋由美(.jp:再任) また、APTLDのChairと理事を長年に渡り務めてきたPeter Dengate-Thrush氏 (.nz)が今回退任することとなり、APTLDから謝意の表明と記念品の贈呈が行わ れました。 ◇ ◇ ◇ APTLDは今後、太平洋地域、南アジア、西アジアでの会員獲得活動をこれまで以 上に積極化させ、また、技術・非技術トレーニングの場を通じて、アジア太平洋 地域のインターネットコミュニティへの一層の貢献を図ろうとしています。加え て、これまで同様、会員間の技術、運用、ポリシー情報の交換に取り組み、各 ccTLDレジストリ間の連携の強化を図ること、ICANN等のグローバルなコミュニティ にアジア太平洋地域の視点をインプットしていくことにも、これまで以上に取り 組んでいこうとしています。 次回のAPTLD会合は、2007年6月にアラブ首長国連邦で開催される予定です。 関連URI * APTLDホームページ http://www.aptld.org/ ━!JP━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━JPRS━━ 編集・発行:株式会社日本レジストリサービス(JPRS) http://jprs.jp/ http://日本レジストリサービス.jp/ 会議報告: http://jpinfo.jp/event/ メールニュース配信解除: http://jpinfo.jp/mail/ ご意見・ご要望: from@jprs.jp 当メールマガジンの全文または一部の文章をホームページ、メーリングリスト、 ニュースグループまたは他のメディア等へ許可なく転載することを禁止します。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ Copyright(C), 2007 Japan Registry Services Co., Ltd. 2007年03月07日