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増刊号

vol.91

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2009-06-26━
          ◆ FROM JPRS 増刊号 vol.91 ◆
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   安心・安全で信頼性の高いインターネットサービスの提供に向けて
         ~第39回CENTR総会における話題から~
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今回のFROM JPRSでは、2009年6月にマルタで開催された第39回CENTR総会で議
論された話題の中から、インターネットガバナンスに関する話題とドメイン名
レジストリの事業継続計画(Business Continuity Planning: BCP)に関する
話題についてお伝えします。

     ◇           ◇           ◇

■CENTRの概要と今回の会議について

CENTR(Council of European National Top Level Domain Registries)は、
ヨーロッパ地域のccTLDレジストリを中心に組織されている連合体です。ヨー
ロッパ地域以外のTLDレジストリも総会の承認を経て会員になることができ、
JPRSはCENTRの会員として、他の会員レジストリとの情報交換や議論に参加し
ています。

CENTRでは年に3回の総会と、サービス運営・技術などのテーマごとに開かれる
ワークショップを開催しています。今回のCENTR総会には30以上の会員レジス
トリの代表に加え、ICANN、ITU、GAC(*1)、欧州委員会(European 
Commission: EC)などの団体関係者がゲストとして参加し、活発な情報交換と
議論が行われました。

(*1)「Governmental Advisory Committee」。ICANNの諮問機関の一つであり、
   各国政府からのメンバーによって構成されます。 

■インターネットガバナンスに関するパネルディスカッション

今回のCENTR総会ではゲストとして招待された各関係者を交え、インターネッ
トガバナンスに関するパネルディスカッションが行われました。コンピュー
ター通信法の専門家であるロンドン大学のイアン・ウォルデン教授が司会を務
め、ICANN、ITU、GAC、Nominet UK(英国のccTLDレジストリ)、ECの各代表が
パネリストとして参加しました。

パネルディスカッションでは、インターネットのプライバシーとセキュリティ
における課題が話題の一つとして取り上げられました。また、児童ポルノを例
にコンテンツ規制の状況とそのあり方が議論されました。

議論では、プライバシーとセキュリティについては個人情報の商業的価値の高
まりとともに法的対応の整備が必要になってきており、また安心してインター
ネットを利用するためには、コンテンツ規制を一定の範囲内で現在よりも強化
する必要があるだろう、という意見が出ました。

そして、そのような状況がドメイン名レジストリやレジストラの役割にも徐々
に影響を与えつつあり、例えば、関連するドメイン名に対する使用規制や無効
化といったことにも合理的な範囲で対応していく必要があるだろう、という意
見が出ました。

しかし同時に、このような規制や制限は、あくまで安心・安全で信頼性の高い
インターネットサービスを提供するために適応されるべきであり、またそれら
は政府や関係機関などから強制・提供されるべきものではなく、関係者自身が
自主的に作成すべきであるという意見が大勢を占めました。

また、今回のパネルディスカッションでは、ICANNと米国商務省との間で締結
されている共同プロジェクト契約が2009年9月30日に満了となった後、どのよ
うな形でICANNを監督していくべきかについての議論が行われました。

米国が監督を継続する、政府が各国を代表して加盟する政府間組織が監督する、
非政府組織が監督するなどの意見が出されましたが、会場の意見が集約される
ことはなく、この問題については今後のICANN会合などの場で継続的に話し合
われていくこととなりました。

■事業継続計画に関する話題

今回のCENTR総会では、事業継続計画(Business Continuity Planning: 以下、
BCP)に関する取り組みの報告がありました。

ここでいうBCPとは、事故や災害が発生した場合にも事業を継続できるように
するための計画立案、また立案した計画そのものをいいます。BCPは、事業の
継続を確実にするためのリスクマネージメントの手法の一つとして、近年、重
要視されつつあります。

◆JPRSの取り組み―新型インフルエンザ発生時のBCPについて

今回のCENTR総会では、JPRSの堀田博文が新型インフルエンザが発生した際の
対応と行動計画に関するBCPについて発表を行いました。

今回JPRSが策定したBCPでは、社内に感染者が発生した場合の初動計画として、
連絡方法や判断基準、対外アナウンス方法などを定義し、そのうえでJPRSの
サービスを、

(1)自動的に継続するもの
(2)遠隔操作で継続するもの
(3)現場での作業が必要になるもの

の三種類に分類し、それぞれにおいて新型インフルエンザの発生状況に応じた
具体的な行動計画を策定することにより、事業継続性の確保を図っています。

◆EURidの取り組み―BCP、DRの作成と訓練/評価

.euドメイン名を管理運用するEURidからは、自らのビジネスプロセスの定義と
リスク分析による評価によりリスクの度合いを定義し、それぞれについて事故・
災害発生時の復旧時間の目標値を設定するという形のBCPについて発表があり
ました。

EURidではそれぞれのリスクについてのシナリオを作成し、それに対応する形
でBCPと障害復旧(Disaster Recovery: DR)の計画を作成して、実際にそれら
がうまく動作するかどうか訓練を実施して確認したという報告がありました。

訓練では実際に.euのレジストリシステムを停止し、バックアップシステムに
1時間で切り替えられること、またBCPの有効性など訓練結果の評価は外部機関
に依頼し確認したという発表がありました。

◆ドメイン名レジストリが果たすべき役割

ドメイン名は、インターネットを利用する際に欠かすことができません。その
ためドメイン名の登録管理とDNSの運用を行うドメイン名レジストリは、事故
や災害が発生した場合にも事業を継続できることが重要です。.jpのレジスト
リとして、JPRSにおいてもBCPとDRは重要度の高い検討課題ととらえ、今後も
取り組みを継続していきます。

次回の第40回CENTR総会は2009年の10月に、リトアニアのビリニュスで開催さ
れる予定です。

     ◇           ◇           ◇

◎関連URI

 - Welcome to CENTR
  https://www.centr.org/
  (CENTRの公式ページ)

 - 39th CENTR General Assembly
  https://www.centr.org/main/meetings/4670-CTR.html
  (第39回CENTR総会)

 - Business continuity planning against H1N1 flu (JPRS, Hiro Hotta)
  https://www.centr.org/main/5102-CTR/version/default/part/AttachmentData/data/GA39%20-%20Hotta%20-%20for%20Web%20posting%20H1N1inCENTR%20[Compatibility%20Mode].pdf
  (JPRSの発表資料)

 - EURid Contingency Plan Test (EURid, Giovanni Seppia)
  https://www.centr.org/main/5105-CTR/version/default/part/AttachmentData/data/GA39%20-%20Seppia%20-%20CENTRGAMalta-03062009%20[Compatibility%20Mode].pdf
  (EURidの発表資料)

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