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メールマガジン「FROM JPRS」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2011-04-07━ ◆ FROM JPRS 増刊号 vol.108 ◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ___________________________________ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ ICANNサンフランシスコ会合報告 ~新TLDの導入に関する最新動向を中心に~ ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2011年3月13日から18日にかけて、第40回ICANN Meetingが米国のサンフランシ スコで開催されました。 3月18日のICANN理事会において、アダルトコンテンツ用のgTLD「.xxx」が承認 されたことを複数のメディアが報じていたため、今回の会合開催をご存知だっ た方も多いのではないでしょうか。今回のFROM JPRSでは、この「.xxx」も含 め、新たなTLDの導入に関する最新動向を中心に、会合の模様を読者の皆さま にお届けします。 ◇ ◇ ◇ ■新gTLDの「申請者用ガイドブック」は今回も理事会承認に至らず 大手企業の申請計画などで、日本国内においても注目を集めている新gTLD導入 プロセス。2010年12月開催の前回会合から持ち越しとなった「新gTLD申請者用 ガイドブック」の理事会承認は、今回も実現しませんでした。 現時点では、次回会合の会期中に当たる2011年6月20日に、臨時の理事会を開 催して承認するとの計画が示されている状況です。また、既にガイドブックの 「最終案」と銘打たれたバージョンへのパブリックコメント募集が2011年1月 15日に終了していましたが、臨時の理事会に向けて再度パブリックコメント募 集がなされることになりました。計画によれば、4月15日にガイドブック案を 公開した後、5月15日までパブリックコメントを受け付け、5月30日にガイド ブック最終案を改めて公開する流れになるとのことです。 前回会合に先立って発表されていたスケジュールでは、5月30日には新gTLDの 申請受付開始が予定されていました。同スケジュールでは、ガイドブックの承 認から申請受付開始までの広報期間などに数カ月を見込んでいたことから、申 請受付開始は大きくずれ込むことが予想されます。 ▼GACとの調整が大きな課題に 前回会合でも「2011年2月にGACとICANN理事会で会議を行い、残存課題を解決 する」との決議がなされていたように、残る大きな課題として挙げられるのが GACとの調整です。GACはICANNの諮問委員会の一つで、各国政府などからの代 表メンバーによって構成されており、政府の立場からICANN理事会に対して助 言を行っています。 先に触れた2011年2月の会議と今回の会合期間中に行われた会議を合わせると、 公式の会議だけで丸5日間にも及ぶ集中討議が行われました。しかし、異議申 し立てプロセスなどについて、なおも残存課題が存在している状況です。 ICANN理事会は、GACとの協議を今後も継続し、パブリックコメントの募集対象 となるガイドブック案の公開予定日である4月15日までに結論を出すことにし ています。 ■アダルトコンテンツ用のgTLD「.xxx」の承認 冒頭でも触れたとおり、アダルトコンテンツ用のgTLD「.xxx」を申請していた ICM Registry社とのレジストリ契約締結が、3月18日のICANN理事会において承 認されました。前項の新gTLD導入プロセスと併せて語られることも多い「.xxx」 ですが、これらは異なる枠組みで議論されているものです。よって、運用開始 に向けて今後たどるスケジュールも別個になります。 gTLDの新設は、2000年と2003年の過去2度のタイミングで行われています。つ まり、現在議論が進められている新gTLD導入プロセスは、タイミングとしては 3度目ということになります。 「.xxx」は、過去2度の新設タイミングのいずれにおいてもICM Registry社か ら申請がなされたものの、却下されています。これを受けた同社が、ICANNの 定めた紛争解決プロセスである独立審査パネルに異議申し立てを行った結果、 裁定で同社の主張が認められる形となり、ついに今回の承認に至りました。 しかし、「.xxx」には反対意見も根強いのが実情です。「『.xxx』によってポ ルノを公に容認すべきではない」との意見の他、ポルノ業界からも「我々の表 現の自由を侵害するものである」との懸念が示されています。 また、「『.xxx』のブロッキングを行う国が想定され、DNSの普遍的な名前解 決や安定性に対する潜在的なリスクになる」などとして、GACも反対姿勢を示 していた中での承認ということもあり、ICANN理事会は後日、今回の承認の根 拠を文書で説明することを予定しています。 ■引き続き恒久的なポリシー検討が進むIDN ccTLD IDN ccTLDについては、正式導入のために必要となる「ポリシー策定プロセス (ccPDP)」の検討と並行して、早期に必要とされるIDN ccTLDを限定的に迅速 導入するための「ファストトラックプロセス」による申請受け付けが開始され ています。 ファストトラックプロセスにおいては、2011年3月10日までに26の国/地域の 申請が文字列審査を通過し、17の国/地域のIDN ccTLDがルートゾーンに登録 されている状況です。 恒久的なポリシー検討については、JPRSも参加するccNSO(*1)の二つのワー キンググループにおいて進められています。以下、各ワーキンググループにお ける現在の検討状況をご紹介します。 (*1)ICANNの活動を支える支持組織の一つです。ccTLDの連合体としてICANN の他の支持組織や委員会などと協調しながら、ccTLD全体にまたがるグ ローバルな課題についてccTLDコミュニティにおける合意を形成し、 ICANN理事会に対してポリシーの勧告を行う役割を担います。 ▼文字列や委任に関する検討が最終段階に(IDN PDP WG 1) ファストトラックプロセスにおいて、簡体字と繁体字という複数の字体体系を 持つ中国に割り当てられた「.中国/.中國」のような、同一と見なすべき複数 の文字を含むTLDをどのように扱うかが主たる残存課題となっています。なお、 これはccTLDに限った課題ではないことから、ICANN全体として検討を開始して います。 具体的には、「同一と見なすべき複数の文字を含むTLDは一つのTLDの複数表現 か、等価な複数のTLDか」などの概念的な検討の他、「ルートゾーン上で同一 と見なすべき複数の文字を含むTLDが等価であることをどう表現できるか」な どの技術的な検討が進められることになります。 ▼IDN ccTLDレジストリのccNSO参加の位置付け検討が続く(IDN PDP WG 2) IDN ccTLDレジストリのccNSO参加は、「IDN ccTLDも含め、全ccTLDの管理者は ccNSOのメンバーになれる」「IDN ccTLDの数にかかわらず、投票権はこれまで 通りISO-3166上の国/地域単位で1票と見なす」との方向で検討が進められて きました。後者の投票権について、「言語やスクリプトという概念を入れて、 ASCII文字のccTLDとIDN ccTLDがTLDとして同等の地位を得た以上、それらをす べて同等と見なすべきでは」との疑問が再度投げかけられたことから、議論が 行われている状況です。 ■次回のICANN Meeting 次回の第41回ICANN Meetingは、2011年6月19日から24日にかけてシンガポール で開催される予定です。 ◇ ◇ ◇ ◎関連URI - ICANN 40 | 13-18 March 2011 | Silicon Valley http://svsf40.icann.org/ (ICANNサンフランシスコ会合公式ページ) - ICANN | New gTLD Program - Applicant Guidebook http://www.icann.org/en/topics/new-gtlds/dag-en.htm (新gTLD申請者用ガイドブックに関するICANNのページ) - GAC 2011 Communique 40 | GAC Website http://gac.icann.org/press-release/gac-2011-communique-40 (3月18日に公開されたGACの声明) - ICANN | IDN ccTLD Fast Track Process - News and Announcements http://www.icann.org/en/topics/idn/fast-track/announcements-en.htm (IDN ccTLDファストトラックプロセスに関するICANNのニュースページ) - Working Groups | Country Code Names Supporting Organisation (ccNSO) http://ccnso.icann.org/workinggroups/ (ccNSOのワーキンググループ紹介ページ) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【FROM JPRS】━ ■会議報告:http://jpinfo.jp/event/ ■配信先メールアドレスなどの変更:http://jpinfo.jp/mail/henkou.html ■バックナンバー:http://jpinfo.jp/mail/backnumber/ ■ご意見・ご要望:from@jprs.jp 当メールマガジンの全文または一部の文章をホームページ、メーリングリスト、 ニュースグループ、他のメディアなどへ許可なく転載することを禁止します。 また、当メールマガジンには第三者のサイトへのリンクが含まれていますが、 リンク先のサイトの内容などについては、JPRSの責任の範囲外であることに ご注意ください。 その他、ご利用にあたっての注意事項は読者登録規約にてご確認ください。 http://jpinfo.jp/mail/kiyaku.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 編集・発行:株式会社日本レジストリサービス(JPRS) http://jprs.jp/ http://日本レジストリサービス.jp/ Copyright(C), 2011 Japan Registry Services Co., Ltd.