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メールマガジン「FROM JPRS」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2014-07-17━ ◆ FROM JPRS 増刊号 vol.143 ◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ___________________________________ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ ICANNロンドン会合報告 ~ccTLDレジストリ関連の話題とインターネットガバナンスを中心に~ ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2014年6月23日から27日にかけて、第50回ICANN Meetingが英国のロンドンで開 催されました。参加登録者数は3,343人と過去最高を記録し、シンガポールで 開かれた前回会合の約1,800人から大幅に増加しました。参加者はレジストリ やレジストラ関係者、インターネットガバナンス関係者に加えて、GAC(*1) のハイレベル会合が開催されたこともあり、通常より多くの政府関係者が参加 しているのが目立ちました。また、会合への初参加を示す「New Comer」の バッジを着けた参加者も多く見られました。 (*1)Governmental Advisory Committeeの略称。ICANNの諮問機関の一つで、 各国政府などからの代表メンバーによって構成されます。GACは政府の 立場からICANN理事会に対して助言を行っています。 今回の会合では、ICANNコミュニティ全体としてはインターネットガバナンス とICANNのアカウンタビリティ(説明責任)が話題の中心となり、数多くの関 連セッションが設けられました。また、スポンサーブースでは、新たにサービ スが始まった新gTLDのアピールが盛んに行われていたのが印象的でした。 最終日のPublic ForumではICANN理事を含め、フランス語やスペイン語、中国 語など、英語以外での発言が多く見られ、ハブオフィスの設置に伴うスタッフ の出身地域の多様化と共に、ICANNが「アメリカの団体」というイメージから 脱却する傾向を強めていることが感じられました。 今回のFROM JPRSでは、以下の項目に沿って会合の模様を報告します。 (1)ccNSOに関する話題から - インターネットガバナンスに関する議論 - gTLD業界から見たccTLDマーケットについて (2)IDN Variant TLD Program - IDN Variant TLD Programの動向 (3)新gTLDプログラムに関する話題から - 次回の新gTLD募集に向けた動き ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ (1)ccNSOに関する話題から ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼インターネットガバナンスに関する議論 前回の会合でも主な話題の一つとなった「IANA transition」、つまり、 ・現在、米国商務省電気通信情報局(NTIA)が契約主体となっているIANA機 能やルートゾーン管理に関する契約の移行 ・IANAのオペレーションに関してNTIAが果たしている役割(IANAの機能遂行 状況の監督、TLDの委任(delegation)可否判断など)の移行 について、各Supporting Organization(SO)/Advisory Committee(AC)な どの代表により構成されるCoordination Groupのうち、ccTLDオペレーター枠 (4名)を選ぶプロセスについて、ccNSOメンバーで議論を行いました。 代表となるメンバーの条件については、コミュニケーション能力と地域多様性 への配慮が必要という方向で合意されました。また、IANA transitionの件だ けでなく、ccNSOメンバーではないccTLDオペレーターとの情報共有や協力に関 する働き掛けを今後も継続していくことが重要であるとの認識が共有されまし た。 ccNSO評議委員会では、ccNSO members meetingでの議論の採択文書の細部を詰 めるための議論が行われ、Coordination Groupのメンバーを確定するまでのプ ロセスとスケジュールが採択されました。 また、ICANNのアカウンタビリティについては、ポリシー策定や財政面での透 明性、現状で十分かどうかなど幅広く議論されました。 ICANNの活動のレビューは、Accountability and Transparency Review Team (ATRT)という枠組みによって実施されています。第2回目となるATRT2によっ て提示された改善提案についても、ICANN会合の最終日に開催されたICANN理事 会において、全て採択されています。 一方で、IANA transitionに関する議論の中、特にポリシー策定面に関しては ICANNのアカウンタビリティの改善が必要であるとの意見もあり、現IANA契約 が失効する2015年9月に結論を出すため、IANA transitionに関連する部分につ いてはアカウンタビリティ全体に先んじて議論を行うべきとの声もありました。 ▼gTLD業界から見たccTLDマーケットについて 今回、ccTLDレジストリの立場から欧州(.eu)、メキシコ(.mx)、香港(.hk) の各レジストリ、gTLDレジストラの立場からRegistrar Stakeholder Group (RrSG)議長、オランダレジストラ連盟理事らを迎え、「gTLDとccTLDで一つ の規格は作り得ないのか?(Can we Standardise "One Size does not Fit All?")」と題したパネルディスカッションが実施されました。このパネルの 進行/調整役は、コロンビア(.co)のレジストリが務めています。 gTLDレジストラ側からは「ccTLDならではの、各国の状況に合わせたサービス ポリシー、技術規格の利用といった文化がレジストラの参入を阻んでいる」と いった点が指摘されました。また、レジストリとレジストラ間のコミュニケー ションをより綿密にし、お互いのビジネスモデルに対する理解を深めてはどう かといった提案が行われました。 パネリストとなっていた各ccTLDレジストリは、いずれもgTLDレジストラ側の 意見に積極的に耳を傾けている様子でしたが、フロア全体のccTLDレジストリ を中心とした参加者間からは、パネリストとの温度差も感じられました。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ (2)IDN Variant TLD Program ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼IDN Variant TLD Programの動向 「IDN Variant TLD Program」は、DNSルートゾーン用のラベル生成ルール (LGR:Label Generation Rules)を作成するための活動で、非ASCII文字を ルートゾーンに追加するための手続きの策定を目的としたものです。2013年4 月にこれまでの活動結果をまとめた最終報告書がICANN理事会で承認され、 ルートゾーン用のLGRが完成しています。 今回の会合では、中国語、韓国語、アラビア語、インド系言語などの言語ルー ルの生成パネル(Generation Panel)が立ち上がってきている状況が紹介され ました。 また、漢字を共通に用いる「中国語、日本語、韓国語」(CJK)の連携につい て、ICANNの担当者及び中国、台湾、韓国、日本の関係者が集まり、CJKそれぞ れの言語ルールの考え方と共通ルールの作り方についての議論が行われました。 CJKの言語ルールの作成については、 ・CJKがそれぞれ個別に言語生成パネルを設立する ・各パネルが議論を行い、各言語のルール案を作成する ・CJKそれぞれの言語ルール案間の重複部分を調整・統合し、一つのルール を作成できるか確認する という進め方が合意されており、現在その体制構築の準備を各国で行っていま す。 中国語(中国、台湾、マカオ、香港など)及び韓国語では、言語ルール生成パ ネルの初期的な体制が作られ、中国語圏におけるルールの具体的な検討が進め られており、韓国では基本的な検討が始まっている段階です。 日本語に関してはJPRSの堀田博文から、関係者への呼び掛けを進めるなど生成 パネルを立ち上げる途上の段階であることを報告しました。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ (3)新gTLDプログラムに関する話題から ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ▼次回の新gTLD募集に向けた動き 今回の会合中に開催されたGNSO評議委員会において、以下の内容を含む「New gTLDs Subsequent Rounds」が採択されました。 ・申請者ガイドブックには「募集が終わってから1年後を目安に可能な限り 早く次の募集を行う」と記されている。 ・GNSO評議委員会は、新gTLDの初回ラウンドの経験を議論し、次回募集に向 けた課題を特定するためのディスカッショングループを設置する。 ・ICANN理事会のNew gTLD Program Committeeに対して、検討ポイントの GNSO評議会へのインプットを求める。 ・GNSO評議委員会はICANNスタッフに、必要とされている2012年ラウンドの 各種レビューの状況と、現時点における次回ラウンドの予定の見込み状況 の報告を求める。 これらの動きは、次回の新gTLD募集に向けたGNSO評議委員会レベルでの動きが 始まったことを示しています。JPRSでは引き続き、この動向に注目していく予 定です。 ■次回のICANN会合 次回の第51回ICANN会合は、2014年10月12日から16日にかけて米国のロサンゼ ルスで開催される予定です。 ◇ ◇ ◇ ◎関連URI - ICANN50 | London http://london50.icann.org/ (ICANNロンドン会合公式ページ) - Announcements for 2014 | ICANN http://www.icann.org/en/news/announcements (ICANNのアナウンス一覧ページ) - Working Groups | Country Code Names Supporting Organisation http://ccnso.icann.org/workinggroups/ (ccNSOのWG紹介ページ) - IDN Variant TLDs | ICANN http://www.icann.org/en/resources/idn/variant-tlds (IDN Variant TLD Programに関するICANNのページ) - Program Status | ICANN New gTLDs http://newgtlds.icann.org/en/program-status (新gTLDプログラムの進行状況を示したICANNのページ) - Applicants | ICANN New gTLDs http://newgtlds.icann.org/en/applicants (新gTLD申請者に向けたICANNのページ) - Announcements | ICANN New gTLDs http://newgtlds.icann.org/en/announcements-and-media/latest (新gTLDプログラムに関するICANNのアナウンス一覧ページ) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【FROM JPRS】━ ■会議報告:http://jprs.jp/related-info/event/ ■配信先メールアドレスなどの変更:http://jprs.jp/mail/henkou.html ■バックナンバー:http://jprs.jp/mail/backnumber/ ■ご意見・ご要望:from@jprs.jp 当メールマガジンは、Windowsをお使いの方はMSゴシック、Macintoshをお使い の方はOsaka等幅などの「等幅フォント」で最適にご覧いただけます。 当メールマガジンの全文または一部の文章をホームページ、メーリングリスト、 ニュースグループ、他のメディアなどへ許可なく転載することを禁止します。 また、当メールマガジンには第三者のサイトへのリンクが含まれていますが、 リンク先のサイトの内容などについては、JPRSの責任の範囲外であることに ご注意ください。 その他、ご利用にあたっての注意事項は読者登録規約にてご確認ください。 http://jprs.jp/mail/kiyaku.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 編集・発行:株式会社日本レジストリサービス(JPRS) http://jprs.jp/ Copyright(C), 2014 Japan Registry Services Co., Ltd.