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ドメイン名関連会議報告

2003年

新しい情報通信技術に関するアジア・太平洋各国の勉強会

~APT-ITU Joint Workshops on ENUM and IDN 報告~
2003/09/04
2003年8月25日と26日の2日間、タイのバンコクにて、APTとITUによる合同ワークショップが開催されました。

ITUは、電気通信に関する国際的な調整を行う国連の機関で、電気通信サービスの国際的な制度検討や、技術の標準化、開発途上国への技術協力の推進などを行っています。また、APTは、ITUのアジア・太平洋地域版ともいえる組織で、各国政府が情報共有・議論を行っています。ITUでは様々なテーマについての情報交換や課題検討を各地域に働きかけており、今回の合同ワークショップもその一環として開催されたものです。

今回の合同ワークショップのテーマは、ENUMとIDN(国際化ドメイン名)であり、日本を含む多くの国々から政府関係者と両分野の専門家が集まりました。

日本からは、総務省国際部から1名とJPRSから2名が参加し、世界でもトップクラスの普及を見せているIP電話の状況と現在進めている日本国内におけるENUMへの取り組みを紹介するとともに、今後IDNサービスを開始する各国の参考となるよう日本語JPドメイン名のサービスの経験について発表しました。

発表の様子
発表を行うJPRS取締役 堀田博文

ENUM

ENUMは、電話番号を用いてインターネット上の様々な通信サービスへの統一的なアクセスを可能にする仕組みです。IETFにおいて技術的な検討が進んでいますが、既存の通信サービスとインターネットでの通信サービスとの融合は、技術的な検討だけでなく、制度の検討や国際調整が必要となります。

25日のENUMに関するワークショップでは、ITUからその概要と現状の説明があり、先進的な取り組みを行っている日本、韓国、オーストラリアがプレゼンテーションが行いました。特に日本は、ブロードバンド環境の普及率の高さとともに、インターネット電話サービスも既に実サービスが提供されている環境にあり、050というインターネット電話用の番号割り当ても進んでいることから各国の注目を集めました。またENUM研究グループにおける検討成果についても、体系的に整理された内容は高く評価されました。

各国ともENUMの実験運用を始めている、もしくはこれから始めようとしているところであり、現在認識されている問題点は何か、どのような検討が必要であるのか、という点について情報を交換しました。ENUMが今後の情報通信の構造を考えていく上での重要な要素である、という認識が参加各国の間で共有されました。

IDN

IDNについては、既にその技術標準はRFCとして確定し、日本を含むいくつかの国々では登録サービスが開始されていますが、言語や文化などの技術論だけでは解決できない問題の検討が必要です。これからIDNを導入しようと考えている国は、既にこれらの問題を解決しサービスを開始してる国が、どのような検討を行い、どのような施策をとり、どのような成果を上げたのか、という情報を必要としています。

26日のIDNに関するワークショップでは、ITUとIETFから、IDNに対する世界的な要求の高まりからその実現に至るまでの歴史が説明されました。そして、既にIDNの登録サービスを開始している国が、その経緯と成果を発表し、知的財産権に絡む混乱をどのように抑えるのか、異体字をどのように扱うのか、という点について各国ごとの施策をもとに議論が行われました。

また、WIPOからはUDRP(統一ドメイン名紛争処理方針)のIDNへの対応が報告されました。既に各言語のドメイン名紛争に対応できる体制や手続が準備されており、いくつかのIDNの紛争解決事例の紹介がありました。

まとめ

今回の合同ワークショップは、参加各国の間での問題点の認識や、国際的な調整の必要性などが認識されました。ENUMもIDNも、今後さらなる議論が必要であり、APTとしては継続して情報共有および議論を進めていくための枠組みを設置することとなりました。

会議場の様子
会議場(APT Conference Hall, Bankok)の様子

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本会議報告は、JPRSのメールマガジン「FROM JPRS」の増刊号として発行した情報に写真などを交えてWebページ化したものです。
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