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ドメイン名関連会議報告

2003年

Whoisの最新動向

~ICANNチュニジア会合 Whois Workshopレポート~
2003/11/21

はじめに

ICANNチュニジア会合では、10月29日に、メインのセッションの一つとしてWhois Workshopが行われました。

Whoisは、ユーザが技術トラブル解決等のためにドメイン名の情報を確認するだけではなく、登録者自身やドメイン名の運用を行うユーザ・事業者がその登録内容を確認したり、知的財産権の観点から、商標等と関連するドメイン名のチェックを行うなど、幅広く利用されています。このように、広く情報を得たいと考える利用者がいる一方、登録情報に含まれる個人情報は保護すべき対象であるという声もあります。また、Whoisに掲載する情報の収集やその提供の形態はレジストリ・レジストラ毎に異なっています。

今回議題としてあがったのは以下のものでした。

- 国際化に関する検討
- WHOISデータ要素、登録者および利用者の分類と実状
- 今後の動向

また、ICANN会合のメインのセッション以外にもccTLD会議やGNSO(Generic Names Supporting Organization: gTLDの連合組織)の会議においてもWhoisは議題の一つとして取り上げられています。

会場内受付の様子
会場内受付の様子(Carthage Palace Hotel in Gammarth, Tunisia)

国際化に関する検討

本パートでは、国際化ドメイン名(IDN)による新たな展開をもとに、実際にIDNを使い始めているTLD等がパネリストとなって、Whoisへの影響に関する発表が行われました。

IDNの情報をWhoisで検索する場合、ドメイン名としてIDNの文字列をそのまま指定するのか、Punycodeに変換された後のASCII文字列を指定するのか、その際の文字コードは何を利用すればいいのか、といった検索方法に関する課題の提示がありました。表示に関しても同様に、Punycodeに変換された文字列以外の表示においては、どの文字コードで表示することにすべきかが課題としてあげられました。

また、言語によってはIDNの登録において互換文字を持つ場合があり、そのリストをWhoisでどのように表示すべきかという検討や、互換文字の登録をレジストリがどのように扱い、それをWhoisでどのように情報提供するかという検討課題もあげられました。

ドメイン名およびWhoisが世界中で利用されることを考慮した上で、IDNおよび登録情報のローカルな表示とASCII表示の最適な組合せ、IDNにおける互換文字の表示方法といった課題のさらなる検討など、情報交換の必要性が改めて確認されました。

Whoisデータ要素、登録者および利用者の分類と実状

その後のパートでは、レジストリによって集められる情報とWhoisによって公開される情報のデータ要素に関して、実際にWhoisを利用している立場、およびWhoisを提供している立場のパネリストから発表がありました。

多くのWhoisが、ドメイン名登録者、登録担当者、技術担当者、経理担当者、ネームサーバ情報を主な情報としています。特に担当者に関する項目が多数ありますが、それぞれの意味が明確ではなく、同じ情報が入れられている場合も多いとの指摘がありました。

また、利用者はどの情報を必要としているか、という点については、様々なケースがある中での実例として、知的財産権の保護を扱う団体による大量検索の例があげられていました。この団体はさらに、ある登録者が登録しているドメイン名をリストアップするという、通常のWhois検索とは逆向きの検索機能を望んでいるとのことでした。

登録者の個人情報を保護するためにプロキシサービス(第三者による登録代行)によって解決をはかるという案も出ていますが、これに対してプライバシーはサービスとして提供されるものではなく、登録者の権利であるという声もあがっています。

また、Whoisではなく、Who-wasとでも呼ぶべき、ドメイン名登録の履歴に関する情報が求められることも多い、ということをレジストリの立場から紹介しているものもありました。

このパートからは、立場によるWhoisの捉え方や要求が現在でも多岐に渡り、それぞれが独自に対策を打とうとしていることがうかがえ、さらにバランスのとれた解決策を策定していくことの必要性が再確認されました。

今後の動向

前回のICANNモントリオール会合に加え、今回のWorkshopでは新たな視点も加わった課題が示され、Whoisへの幅広い関係者の間で、課題の共通認識が形作られてきました。ICANN CEOであるPaul Twomeyは、WhoisにはICANN内の多くの組織にまたがる重要な課題が存在すると考えており、新たにWhois検討委員会を設けてポリシー策定を進めることを提案しています。2回続いたWorkshopによりその下地はできつつあり、共通課題に対する具体的検討がはじまることになります。

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