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ドメイン名関連会議報告

2004年

Joint ICANN/ITU ccTLDワークショップ報告

2004/08/10
1週間にわたるICANN会合が終わった週末の2004年7月24日、ICANNとITUの共催で、ccTLDに関するワークショップが約100名の参加を得てクアラルンプールにて開催されました。ここでは、その概要を紹介します。

講演者席に並ぶJPRS取締役 堀田博文
講演者席に並ぶJPRS取締役 堀田博文

ITUのZhao氏とICANNのTwomey氏による開会の辞

ITUのTSB(Telecommunication Standardization Bureau)局長であるHoulin Zhao氏から、ICANNおよびccTLDに関連するこれまでの取り組みとして、ASONomCom、ICANN改革、ENUMトライアル等でITUが果たしてきた役割の紹介がありました。その上で、「技術面やビジネス面では民間部門が重要な役割を果たさねばならない。ICANNとITUが二者択一だという意見もあるが、そうではなく協調が必要である」という考えが述べられました。

続いて、ICANN CEOであるPaul Twomey氏は、ccTLDがインターネット全体において大きな役割を果たしていることに触れ、ccNSOが結成されるなどICANNの枠組み内でのccTLDコミュニティの積極的な取り組みを評価している旨を述べました。その上で、ccTLD間での経験の共有が重要であり、本ワークショップをその目的で活用してほしい、という話がされました。

ccTLD全体の概要

オタワ大学のMichael Geist氏、および地域ccTLD連合で活動しているPaul Kane氏(CENTR)、Oscar Robles氏(LACTLD)、Chris Disspan氏(APTLD)から、ccTLDには種々の位置づけのものが存在し、一様の扱いをすることの無意味さ、危険さが述べられました。

特に、Geist氏は70カ国に及ぶ調査に基づきccTLDのモデル分類を行ってきており、それぞれのモデルのccTLDが公益性と顕在需要のバランスを取りつつ運用されていること、事業としてccTLDを運用している民間企業は市場要求を満たし競争に勝てるサービスを目指していること等が述べられました。また、うまく機能しているccTLDでは、政府が適切な距離を保ってその役割を果たしているということにも言及がありました。

各地域ccTLD連合からは、ccTLDはインターネット発展のスピードで技術革新や需要増に対応せねばならず、また、商業上の責任を負ってサービスを提供するものでなければならないものであるため、民間活力なしではうまく運営できないことが強調されました。また、第一義には、ccTLDはそれが属する国や地域のために存在すべきものであるため、ccTLD運営組織は政府とも協調すべきであるということも述べられました。

各ccTLDからの報告

日本を含む9カ国のccTLDから、ccTLDポリシーの策定方法やレジストリの運営方法に関する報告がありました。全体として、

  • ccTLDポリシーの大部分は、世界レベルで決めるべきものでなく、各国で決めるべきものであること
  • 各国ごとに特徴はあるが、コミュニティの意見に基づきccTLDを運営する仕組みが整いつつあること
  • 規制によって運営がうまくいくわけではなく、市場と技術がccTLDの在り方を決めるべきであること

ということが強調されました。

日本からは、民間会社JPRSがコミュニティと協力しながらJPドメイン名を運営する仕組み、JPNICがコミュニティの代表として政府とともにccTLD運営組織の適切さを確認するというモデルを紹介しました。また、このモデルの下でこれまでに達成してきた成果(「JPドメイン名レジストリレポート」掲載のもの)を紹介しました。

まとめ

今回は、昨年3月にITUが主催したワークショップに続く、第2回という位置づけでした。今年は、ICANN会合と併催されたこともあり、政府関係者としてGACのメンバが多く参加していました。このためか、昨年のジュネーブでの会合とは異なり、インターネット関連ポリシー策定や運営のあり方に対する理解も共通の部分が多く、ICANNに代わり政府間組織がインターネット資源管理を仕切るべきという議論は起こりませんでした。今後も経験共有、情報共有の場として同様のワークショップが開催される予定となっています。

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本会議報告は、JPRSのメールマガジン「FROM JPRS」の増刊号として発行した情報に写真などを交えてWebページ化したものです。
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