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JPRS トピックス&コラム No.002


日本語ドメイン名が変えるWebアクセス
~日本語だからできること、日本語でしかできないこと~


ドメイン名に英数字と一部の記号しか使えなかったのは過去の話。
日本語ドメイン名は幅広いシーンでWebアクセスの常識を大きく変える力を持っています。

日本語ドメイン名の利用が活発化

 近年、企業を中心に日本語ドメイン名の利用が活発化しています。新聞や雑誌、街頭広告はもちろんのこと、テレビCMでも「日本語.jp」のようなURLを目にする機会が随分と増えました。
「まずは検索」という風潮の中で、企業が日本語ドメイン名に着目する狙いはどこにあるのでしょうか。

検索はWebサイト誘導の最適解か?

 その狙いは、「消費者を確実に自社のWebサイトへ誘導する」ことにあると言えます。
 もちろん、検索が便利なことは言うまでもありません。あいまいな記憶でも、キーワードを手掛かりに情報を探し出すことができます。そればかりか、関連する情報を持つWebサイトも含めた幅広い情報収集が可能です。
 しかし、このことを企業の視点で捉えるとどうでしょう。検索結果には同業他社の情報や、自社に対する必ずしも好意的でない情報さえ含まれます。広告努力によって自社や商品を印象付け、せっかく消費者のアクションにつなげられたにもかかわらず、自社のWebサイト以外にアクセスが流れかねないわけです。

日本語ドメイン名が実現するダイレクト誘導

 そこで着目されたのが、日本語ドメイン名を利用した短くて分かりやすいURLでした。「商品名.jp」のように、商品名やサービス名そのものを日本語ドメイン名として登録することで、検索と同等の利便性を確保しつつ、Webサイトへのダイレクト誘導を実現したわけです。この手法ならば、Webサイトへのアクセス方法の案内さえも商品認知の一材料とできるため、広告物には理想的なツールと言えます。
 とっさの場面でも一瞬で理解でき、記憶に残る。企業にとって、日本語ドメイン名のURL はまさに「Webマーケティングの大きな武器」です。

日本語ドメイン名は個人にも最適

 日本語ドメイン名が活きるのは、決して企業活動に限りません。ブログやホームページの普及によって、個人の情報発信もますます盛んになっています。個人のブログやホームページが検索結果の上位に表示されることはまれであることから、これらのWebサイトを友人や知人に案内する場合、メールアドレスを交換した上でURLを送信するなどの手間が必要になります。
 しかし、日本語ドメイン名を利用すれば、対面・電話口を問わず口頭で簡単に伝達が完了します。日本語ドメイン名の登録は、各社が運営するブログサービスなどにおいてオプションサービスとして受け付けている場合も多いので、是非利用を検討しておきたいところです。

アドレスは日本語で「私の日常.jp」よ。

知っておきたい、「.jp」ならではのメリット

 末尾が「.jp」や「.com」のように半角アルファベットだから文字入力の切り替えが面倒ではないか、とお考えの方もおられるかもしれませんね。
 実は、「.jp」なら半角で入力する必要はありません。全角のまま「。jp」と入力しても、Webブラウザが全角句点を半角ピリオド(ドット)に、全角のアルファベットを半角に自動変換してくれるので、正しく「.jp」と認識してアクセスしてくれるのです。
 一方、「.com」や「.net」の場合は全角のまま入力すると「。こm」や「。ねt」という日本語を含んだ文字列になってしまうため、文字入力を切り替える必要があります。TLD(Top Level Domain)と呼ばれる末尾のこの部分を選ぶという視点が重要です。
 大事な顧客や友人に入力してもらうことになるURL、そしてドメイン名。希望する文字列が登録できるかだけでなく、入力時の手間のなさを考えて「.jp」を選んでおきたいところです。

日本語ドメイン名の利用環境

 日本語ドメイン名の良さが分かったところで、気になるのが利用環境です。日本語ドメイン名の利用環境は、アクセス端末の形態を問わず広く整っています。
 最大のシェアを持つInternet Explorerをはじめ、Firefox、Opera、Safariといった主要なWebブラウザの最新版は、標準で日本語ドメイン名に対応しています。携帯電話のWebブラウザも対応が進められていることに加え、WiiやニンテンドーDSなどの家庭用ゲーム機や携帯ゲーム機に搭載されるWebブラウザでも日本語ドメイン名が利用できるものが増えてきています。

日本語ドメイン名を実現する仕組み

 続いて、一歩踏み込んで技術的な側面から日本語ドメイン名を見てみましょう。
 従来は英数字と一部の記号しか使えなかったドメイン名。日本語のひらがなやカタカナ、漢字を使えるようにしたのが、2003年に標準化された「国際化ドメイン名(IDN:Internationalized Domain Name)」という仕組みでした。アルファベット以外の様々な文字をドメイン名に使用できるようにするもので、日本語ドメイン名もこの一つに含まれます。「Nameprep(ネームプレップ)」、「Punycode(ピュニコード)」、「IDNA」という三つの技術の組み合わせによって実現されています。
 「Nameprep」は、全角のアルファベットを半角にするなど、同一と見なすべき文字の記述を統一する事前処理を定めています。
 続く「Punycode」は、ひらがなや漢字などの文字列をアルファベット・数字・ハイフンの組み合わせで表現する方式です。アルファベット以外の文字列をそのまま扱うのではなく、従来のドメイン名形式に合った文字列に変換して扱うことで、既存の仕組みに影響を及ぼすことなく国際化ドメイン名を実現することに寄与しています。
 最後の「IDNA」は、IDN in Applications の略で、前述のPunycode変換(符号化・復号化)を利用者がインターネットアクセスに用いるWebブラウザなどのアプリケーション側でサポートするように定めたものです。これも、既存の仕組みに影響を及ぼすことなく国際化ドメイン名を実現することに寄与しています。

WebブラウザへのURL入力

 これらの技術は、「JPRS トピックス&コラム No.7」で詳しく解説しています。是非、併せてご覧ください。

日本語ドメイン名の更なる可能性

 ドメイン名は、URLだけでなくメールアドレスでも利用されます。2009年4月、メールアドレス全体の国際化に向けた実証実験規格が定められ、日本語ドメイン名を用いたメールアドレスの利用環境の整備に大きく前進しました。実利用に至るまでには複数年を要すると予想されるものの、高齢層などに電子メール利用者の裾野を広げる役割が見込まれ、その実用化に大きな期待が寄せられています。
 Webアクセスを大きく変えた国際化ドメイン名、そして日本語ドメイン名。その更なる可能性にも注目しておきたいところです。


掲載内容は2009年6月のものです。