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ドメイン名関連情報

2007年 ドメイン名重要ニュース

2007年の多くのニュースの中から、ドメイン名ュース担当者が選んだ、大きな話題を5つご紹介します。

1RegisterFly事件とその後

2007年3月、ICANN認定レジストラである「RegisterFly」が、その認定を解除されました。これは、1999年にICANNによるレジストラ認定制度が開始されて以来初めてのことであり、日本のメディアでも大きく取り上げられました。

RegisterFlyは約200万のドメイン名を管理するレジストラでしたが、経営者間のトラブルや、サービス上のトラブルが続き、ICANNにより安定したサービスの提供ができていないと判断され、レジストラ認定が取り消されるに至りました。

登録者の情報をレジストリが一元管理しているJPドメイン名と異なり、.comや.netなどでは登録者の情報をレジストラが管理しています。このため、今回のような事態が発生した場合では、元のレジストラが管理していた登録者の情報を新しいレジストラに引き継ぐことで、ドメイン名登録者を保護することになっています。しかし、RegisterFlyは登録者の情報管理が不十分であったため、この引継ぎでもトラブルが頻発しました。

レジストリとしてこの事態の収拾にあたったAfiliasやVeriSignなどは、登録者保護を最優先事項として互いに協力し、最終的にはGoDaddyを新たなレジストラとすることで調整がなされましたが、この事件はレジストラがその役割をきちんと果たすためには何が必要か、登録者を保護するためにはどのような枠組みが必要か、という問題提起の大きなきっかけとなりました。

2DNSへの攻撃、トラフィックの増加、そして対処

2007年2月に、DNSのルートサーバへの大規模なDDoS攻撃が観測されました。同様の事件は2002年10月にも発生しており、この時には13あるルートサーバのうち7つのサーバのサービスに大きな影響をおよぼしました。この経験を踏まえ、DNSの信頼性・耐障害性を向上させるために、ルートDNSにおけるIP Anycast技術の導入が進められてきました。今回の攻撃の際にはこれが功を奏し、DDoS攻撃の影響を最小限にとどめられたと分析されています。

DNSのIP Anycast運用は、DDoS攻撃の影響を抑えるだけでなく、障害時のリスク分散や性能の向上という効果があります。これらの特徴から、.jpをはじめ、複数のTLDレジストリにおいてもIP Anycast技術の導入が進められており、2007年12月にはJP DNSの一つ、e.dns.jpへも導入しました。これは、a.dns.jp、d.dns.jpに続く3つ目の導入となります。

また、DNSに関してはトラフィックの増加も報告されており、JPRSの調べではドメイン名の増加率よりもDNSトラフィックの増加率が高いことがわかっています。各レジストリにおいてもDNS運用の強化計画が進められており、世界中で使われるドメイン名「.com」「.net」のレジストリである VeriSign は、現在20カ所にある拠点を、2010年までに100カ所に増やす計画を発表しました。

3アジア太平洋地域向けのTLD「.asia」の登録受付開始

2006年10月にICANN理事会により設置が承認された.asiaの登録受付が、2007年10月9日に始まりました。

.asiaは地域を表すドメイン名として設置されましたが、このような地域に関する新TLD導入は、欧州連合の.eu(2005年)、スペイン・カタロニア地方の.cat(2006年)に続き、3例目となります。

2008年1月まではサンライズ期間として、商標などの優先根拠を持つ申請者からの登録を受け付けています。その後、2008年2月26日以降、一般からの申請受付期間が開始されます。

.asiaの特徴は、.euが欧州連合という国家間組織による導入の動きであったのに対し、アジア太平洋地域のインターネットコミュニティの連携によって導入されたものであるということ、そして、JPRS(.jp)をはじめとするアジア太平洋地域のccTLDレジストリが会員となっている非営利法人(DotAsia Organisation)が.asiaのレジストリとなっていることにあります。

4IE7の普及と日本語JPドメイン名の広告利用

2006年11月に国際化ドメイン名(IDN)に標準対応したInternet Explorer 7(IE7)がリリースされました。2007年1月に発売されたWindows VistaではこのIE7が標準搭載されていることもあり、その利用者は増え続けています。

2007年は、日本語JPドメイン名の利用、特に企業による広告などでの活用が推進された年となりました。雑誌や新聞などでの広告も増えましたが、中でも目立ったのは電車や地下鉄の駅広告で株式会社サイバーエージェントが展開した、タレントブログの広告でした。大きなポスターに大きな文字で「若槻千夏.jp」や「竹原慎二.jp」など、有名タレントの名前の日本語JPドメイン名が表示されている広告は多くの人の興味を引いていました。

また、ちょうどこの年末の時期、民営化されて最初の年賀状シーズンを迎えた郵便事業株式会社が、テレビCMで日本語JPドメイン名「郵便年賀.jp」を展開しています。

12月になり、2008年2月13日からWindows XPでIE6を利用しているユーザーに対して、Windows Updateなどで自動的にIE7への更新が行われることがマイクロソフトから公表されました。これにより多くのユーザーがIE7へと移行し、日本語JPドメイン名を標準状態で利用できる環境を手に入れることになります。

さらに、幅広いユーザー層が、よりインターネットにアクセスしやすくなることを目的として、「.日本」などTLDまで国際化する検討もICANNの場などで進められています。

5Internetを支えるキーパーソンの交代、日本からの貢献

ICANNの設立当時から中心人物の一人として影響力を発揮し、2000年からは理事会議長としてICANNを導いてきたVint Cerf氏が、11月のICANNロサンゼルス会議をもって理事を退任しました。後任の理事会議長にはニュージーランド出身の弁護士であるPeter Dengate Thrush氏が選出されました。

Vint Cerf氏はTCP/IPの開発やISOCの創立をはじめとするインターネットへの数多くの貢献から「インターネットの父」と称されていますが、この議長交代はICANNに求められているものの変化を象徴しています。

また、同時に、日本からICANN理事として貢献されてきた伊藤穣一氏も退任されました。伊藤氏以前の日本人理事である慶應義塾大学の村井教授、富士通の加藤氏に続く、3人目の日本人理事として日本のインターネットコミュニティとICANNをつなぐ大きな功績を残していただきました。

日本からグローバルインターネットへの新たな貢献としては、JPNIC副理事長で東京大学の江崎浩教授が5月にISOC(Internet Society) の理事(Board of Trustees)に選出されたことがあげられます。また、JPRSからは11月に佐藤新太がICANN SSACのメンバに就任しています。

番外編:汎用JPドメイン名を2,500円に値下げ

2007年は原油価格の高騰によるガソリンや灯油などの相次ぐ値上げと、流通コストなど幅広い分野への影響、そしてバイオエタノール原料高騰の食品原料への波及など、さまざまな分野での値上げが話題となった年でもありました。

そんな中、ではありますが、JPドメイン名をより便利に使いやすく、そしてより安心して使えるものにするためのサービス改善の一環として、JPRSは2007年3月に、汎用JPドメイン名の指定事業者向けの新規登録料・登録更新料を3,000円から2,500円へ、500円引き下げました。