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ドメイン名関連情報

2012年 ドメイン名重要ニュース

2012年の多くのニュースの中から、ドメイン名ニュース担当者が選んだ大きな話題を5つご紹介します。

1都道府県型JPドメイン名の新設

JPRSは、2012年11月19日から都道府県型JPドメイン名の通常登録申請の受け付けを開始しました。

都道府県型JPドメイン名は、「○○○.hokkaido.jp」「○○○.tokyo.jp」「○○○.nagasaki.jp」のように、その構造に全国47都道府県の名称を含むドメイン名で、その活用により地域とのつながりをホームページやメールのアドレスとして示すことができます。

地域に密着したJPドメイン名としては、これまで、都道府県名と市区町村名による「地域型JPドメイン名」を提供してきました。しかし、地域型JPドメイン名は1993年12月に提供開始したものであり、その後のインターネット利用状況の変化から「長くて使いにくい」「複数登録できるようにしてほしい」といった指摘や改善要望がありました。

このような状況を受け、JPRSでは2010年5月に外部の専門家から構成される「地域型JPドメイン名再構築検討部会」を設置。さまざまな地域の方々が登録活用しやすく、地域の発展に寄与するドメイン名とすることを目的とした、地域型JPドメイン名の再構築について検討されました。

その結果として新設された都道府県型JPドメイン名は、日本国内に住所を持つ個人・組織であればいくつでも登録が可能で、第3レベルドメインではASCII・日本語のどちらでも登録が可能です。

なお、JPRSでは都道府県型JPドメイン名の新設に際し、サイバースクワッティングなどの問題を避けるため、通常登録申請受付の開始前に優先登録申請期間と同時登録申請期間の2段階の事前登録期間を設けました。

JPRSは、今後もより利用しやすく価値の高いJPドメイン名サービスの提供を通じて社会に貢献できるよう努めていきます。

2ICANNが新gTLD申請の受け付けを実施

ICANNは、2012年1月12日から5月30日までの間、新gTLD申請の受け付けを実施しました。

これまでにICANNによるgTLDの導入プロセスは過去2回ありましたが、いずれも導入するgTLDの数や種類に制限が設けられていました。3回目に当たる今回はこれらの制限がなく、幅広い対象に対して導入する機会が設けられており、企業の社名やブランド名などもgTLDとして申請できるようになりました。

今回の申請受付期間では、日本からの71件を含め計1,930件の申請があり、企業名やブランド名、一般名詞、地理的名称などさまざまな文字列が申請されました。

新gTLDの申請受付期間後には、申請された文字列の審査の順番を決めるための「Digital Archery」が予定されていたものの、急遽中止されるなどスケジュールの遅れが心配されました。

その後、ICANNは2012年10月に新gTLDの審査の結果発表と委任手続きの順番を決める方法として、「Prioritization Drawing」と呼ばれる抽選を用いる提案を発表しました。そして、2012年12月にICANNの主催による抽選会が米国のロサンゼルスにて開催されました。

なお、JPRSではインターネットに関する研究や開発を主目的にしたgTLD「.jprs」の申請を行いました。「.jprs」は、インターネットに関する自律的な研究ができる環境を提供し、その運用を通じて得られた知見を広く役立てることを目的としています。JPRSでは、「.jprs」の運用を通じて得られた知見を「.jp」の開発にフィードバックし、より良いサービスの提供に役立てていく予定です。

2013年も引き続き、新gTLDプログラムの動向に注目が集まりそうです。

3大手通信事業者も児童ポルノのDNSブロッキングを開始

2011年4月に開始された児童ポルノのブロッキングは、当初、大手ISPを中心としたものでしたが、2012年に入ると大手通信事業者もブロッキングを開始しました。2012年6月時点では、ブロッキングに協力する事業社は73社に拡大しました。

このブロッキングは、一般社団法人インターネットコンテンツセーフティ協会(ICSA)が提供する「児童ポルノ掲載アドレスリスト」において指定されたWebサイトへのアクセスを遮断するもので、現在、「DNSブロッキング」という方式で実施されています。これは、ドメイン名の名前解決の段階でアクセスを防止する仕組みです。

ドメイン名単位での遮断となるため、児童ポルノに該当する画像やページだけをブロッキングすることはできないといった問題や、直接IPアドレスを打ち込めば該当するWebサイトにアクセスできてしまうという問題もありますが、インターネット上で児童ポルノの流通抑止や拡散防止を目指し、引き続き、ブロッキングへの協力が呼び掛けられています。

4FBIがDNS Changer対策用代替サーバーの運用を終了

DNS Changerは2007年から活動が観測されているマルウェアで、感染したPCのDNSサーバー設定を不正に構築されたDNSサーバーを参照するよう書き換えることにより、フィッシングなどの不正行為に悪用しようとするものです。

米連邦捜査局(FBI)は2011年11月、DNS Changerを利用していた犯罪グループを摘発しましたが、運用されていた不正なDNSサーバーをそのまま停止してしまうと、感染した膨大な数のPCがインターネットに接続できなくなる可能性があることから、そのIPアドレスで動作するDNSサーバーをFBIが設置した安全なものに置き換えて運用するという措置を取ってきました。

ただし、この対策も2012年7月9日に終了。DNS Changerに感染しているPCは同日以降、ウェブサイトの閲覧などができなくなる可能性があるとして、大きな話題となりました。

一方で、マルウェア被害の拡大防止とともに、FBIが設置したDNSサーバーが運用停止される状況などを踏まえ、PCでアクセスするだけでDNS Changerの感染の有無を確認できるウェブサイトが、JPCERT/CCなどのセキュリティ関連団体により提供されました。

また、専門家らによって組織された民間組織であるDCWG(DNS Changer WorkingGroup)が感染確認のための多くのリソースを紹介していたほか、ワクチンソフトのベンダーによるマルウェア駆除ツールが無償で配布されるといった動きがありました。

5「go.jp」ドメイン名の97%がSPFに対応

内閣官房情報セキュリティセンター(以下、NISC)は、2012年3月末時点で、日本の主な政府機関が利用する「go.jp」ドメイン名の97%が、送信ドメイン認証技術の一つである「SPF(Sender Policy Framework)」に対応したと発表しました。

送信ドメイン認証とは、メールのやり取りにおいて、受信したメッセージが正当な送信元から送られたものであることを受信側で検証できるようにする仕組みです。フィッシングを目的としたメールや迷惑メールは、送信元を偽装して送りつけられる場合がありますが、受信側のメールサーバーで送信ドメイン認証を使うことにより、このような送信元を偽装したメールを見つけたり、受け取りを拒否したりすることが可能になります。

「go.jp」ドメイン名においてSPFの導入を行うことで、末尾が「go.jp」である政府機関職員のメールアドレスを装った「なりすましメール」を検知することができます。ただ、送信ドメイン認証ではメールの受信側でもSPFに対応する必要があるため、NISCではメールサーバーの運用者などに対してSPFに対応させるよう呼びかけています。

番外編:DNSの仕組みを解説するウェブサイト「黒猫の不思議な旅.jp」を公開

JPRSは2012年12月、DNSの仕組みを解説するウェブサイト「黒猫の不思議な旅.jp」を公開しました。

このウェブサイトは、インターネットを使う上で誰もが利用しているDNSやドメイン名について理解をしてもらおうと制作したものです。メールを届けるために必要なIPアドレスを探すというインターネットの世界での一瞬の出来事を、飼い主のために不思議な世界を奔走する黒猫の冒険に仕立てて映像化しています。

インターネットにまつわる豆知識を紹介するページや、より技術的な解説ページも用意していますので、ぜひお楽しみください。