2001年12月9日?12月14日の6日間、米国ユタ州ソルトレイクシティーでインターネットの技術標準化団体IETF(Internet Engineering Task Force)の会合が行われました。その中から、日本語ドメイン名を含む国際化ドメイン名の今後の展開を左右する、IDN WG( Internationalized Domain Name Working Group) での標準化検討内容に関して報告します。
国際化ドメイン名の標準化を担当するワーキンググループ、IDN WGは12月10日の午後に2 時間にわたる会合を持ちました。参加者は、8月のLondon会合でほぼ標準化の方向性が定まっていたためか、あるいはテロの影響を受けたためか、これまでの会合をやや下回る60?70名程度でした。すでに方向性が定まっていたということを受けて、大きな議論は少なく順調に結論が出されていきました。なお、多言語ドメイン名と国際化ドメイン名という用語はそれぞれ同じ意味で使われることが多いですが、本報告では、IETFに従って、国際化ドメイン名と呼ぶこととします。
今回のIDN WG会合では、以下の3つの仕様を標準仕様とするために、今後数週間以内にIDN WG内においてLast Call(ラスト コール)を行うことが決定しました。
- NAMEPREP
表示上は同一のドメイン名がコンピュータ内部では複数の表現を持つ場合、それらを単一の表現に統一する方式のことをいいます。例えば、ドメイン名の中では半角カナと全角カナを全角カナに統一するといった正規化のためのルールを定めたものです。
- AMC-ACE-Z
ASCII以外の文字(たとえば日本語)を含む文字列を、通常のドメイン名である英字と数字とハイフンの並びに変換する際の方式について定めたものです。VeriSign やJPNIC/JPRSが現在試験用に用いているRACEという方式に替わるものです。
- IDNA
NAMEPREPやAMC-ACE-Zといった国際化ドメイン名の処理をWebブラウザ等のアプリケーションプログラム内で行うときのアーキテクチャのことを指します。
「Last Call」とは、ワーキンググループで作られた標準仕様案に対する最終的なコメントを求めることを指しており、標準化の最終段階に入ったことを意味します。この後、該当する標準仕様案がIESG(Internet Engineering Steering Group) に送付・審査され、標準仕様(RFC: Request For Comments)として発行されます。
今回のIDN WG会合では、ほぼ満場一致でこれらが採択されたため、今後は大きな障害なしに、仕様書として整理されたのち、上記手順に従い淡々と標準化がなされる予定です。これまでに上記審査にかかっている時間が平均的に2ヶ月程度であることを考えると、RFCになるのは2002年の3月ごろというところでしょうか。これによって、2000年初頭に発足したIDN WGも2年の活発な検討を経て大詰めとなりました。
本標準化によって、JPRSが指定事業者と協力して行ってきたドメイン名登録の標準方式が確定するとともに、各種アプリケーションも標準仕様に基づいて開発に入ることができる、本格的な日本語ドメイン名の活用フェーズに入ります。JPRSと指定事業者が協力して日本語ドメイン名登録を標準仕様に合わせるとともに、日本語ドメイン名協会(JDNA
http://jdna.jp/) 等の協力によって日本語ドメイン名対応のアプリケーションが数多く登場してくるのが待たれます。