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増刊号
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2007-02-05━ ◆ FROM JPRS 増刊号 vol.64 ◆ ━!JP━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━JPRS━━ ___________________________________ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ JANOG19 Meeting報告 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ JANOG19 Meeting(以下、「JANOG19」)が、2007年1月25日と26日の2日間にわ たり、沖縄県の那覇市で開催されました。 JANOG(JApan Network Operators' Group)は「インターネットにおける技術 的事項とそれにまつわるオペレーションに関する事項を議論、検討、紹介する ことにより、日本のインターネット技術者および利用者に貢献することを目的 としたグループ」(JANOGホームページから引用)です。通常はメーリングリ スト上で議論が行われていますが、年2回開催されるJANOGMeetingでは、事前 に募集されたテーマについて毎回集中的な議論が行われています。 今回のJANOG19にはネットワークオペレータを中心に、沖縄県内からの40名の 参加者を含む288名の参加があったことが実行委員会から報告されました。 今回のFROM JPRSでは、多くの興味深い議論が行われたJANOG19の模様を、JPRS の民田雅人が担当したDNSのセキュリティリスクに関するセッション「これで いいのか TTL」を中心にお届けします。 ◇ ◇ ◇ ▼沖縄のインターネット事情 オープニングに続く最初のセッションでは、沖縄のISPで働いている二人の方 から、沖縄のインターネット事情について、発達の歴史、地理的な条件の現実 などの解説と、それに関する質疑応答がありました。 沖縄は、鹿児島よりも台北の方が近く、福岡よりも上海の方が近い、という地 理環境にあります。また、過去の米軍統治や基地の影響もあり、東南アジアと 米国を中心に、人的にも物流的にも海外との関係が深いところです。逆に、本 土との関係は物流も情報も遅く、雑誌なども船便で届くために、本土で発行さ れてから数日後にならないと手に入らないという中で、インターネットが重要 視されているとのことでした。 しかし、東京からみると沖縄は韓国よりも遠く、ネットワークの伝送コストが 高くなることや、本土で急速に普及している家庭への光ファイバ常時接続は沖 縄本島の一部でのみのサービスで、離島などではまだダイアルアップの環境し か用意できないことなどが伝えられました。トラフィックの傾向については、 概ね一般的なものと変わらないものの、台湾方面との通信が上位に現れていた のが、会場の興味をひいていました。 ▼これでいいのか TTL - 短いDNS TTLのリスクを考える JPRSの民田雅人が、短いDNS TTLが招くキャッシュポイズニングのリスクにつ いて発表を行いました。 キャッシュポイズニングには2つの方法が考えられます。1つは、キャッシュサー バから権威DNSサーバに対して問い合わせが行われた時に、権威DNSサーバから の正規の回答が返る前にキャッシュサーバに宛てて偽の応答を返してしまう方 法です。もう1つは、攻撃者の支配下にある権威DNSサーバ側で仕組みを準備し 正規の応答と共に偽の情報を付加情報としてキャッシュサーバに送る方法です。 今回はこのうち前者の方法についてDNSのTTLとの関係を説明し、キャッシュポ イズニングが成功する確率について調査した結果を発表しました。 DNSでは、各資源レコードのTTLを短く設定することで、DNS情報の変更を行っ た際にもインターネット上のキャッシュサーバにより短時間で反映させること ができます。しかし、TTLを短くした場合、キャッシュサーバから権威DNSサー バへの問い合わせの頻度が増加するため、攻撃者からキャッシュポイズニング を受ける危険性も、それに応じて増加することになります。 これらの現象をさらに詳しく伝えるため、いくつかの著名サイトにおけるTTL を例にしながら、キャッシュポイズニングが成功する確率を理論的に計算した 結果を発表、さらに攻撃を僅か数時間かけただけでも、攻撃成功確率が50%を 超えるTTLの設定例を紹介しました。 会場からの発言も交え、攻撃が行われていることを検知する方法や、TTLが短 く設定される理由等についての議論が行われました。 さらに、民田は、この問題の根本的な解決のために有効な手段として、イング レスフィルタの適用やDNSSECの導入を紹介しました。これらは、不正なDNSパ ケットの送受信そのものを困難にするものです。そして、DNSが安易な設定で 使われている状況に警鐘を鳴らし、リスクの認識と対策の実施について啓発が 必要であると改めて呼びかけました。 ▼ネットワーク運用における経験やセキュリティリスクなどの共有 JANOGにはネットワークオペレータが数多く参加していることもあり、BGPなど の経路制御に関する話題や、運用上注意すべき点などについて、高い関心がも たれています。 今回のJANOG19でも、経路制御上の障害検知や、経路ハイジャックなどの悪意 ある行為への対処方法、またネットワークを流れるトラフィックの状況をいか に正確に把握するかという解析手法など、実例を元に活発な議論が行われまし た。 今回の議論で新たに認識された課題やよりよい手法の提案など、次回ミーティ ングまでの議論の舞台はメーリングリストへと移ります。 次回のJANOG20は、2007年7月12日と13日の2日間、北海道帯広市で開催される 予定です。 ◇ ◇ ◇ ◎関連URI - JANOG http://www.janog.gr.jp/ - JANOG19 Meeting http://www.janog.gr.jp/meeting/janog19/index.html - これでいいのか TTL - 短いDNS TTLのリスクを考える http://www.janog.gr.jp/meeting/janog19/2006/12/dnsttl.html ━!JP━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━JPRS━━ 編集・発行:株式会社日本レジストリサービス(JPRS) http://jprs.jp/ http://日本レジストリサービス.jp/ 会議報告: http://jpinfo.jp/event/ メールニュース配信解除: http://jpinfo.jp/mail/ ご意見・ご要望: from@jprs.jp 当メールマガジンの全文または一部の文章をホームページ、メーリングリスト、 ニュースグループまたは他のメディア等へ許可なく転載することを禁止します。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ Copyright(C), 2007 Japan Registry Services Co., Ltd. 2007年02月05日