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増刊号

vol.66

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2007-03-06━
                    ◆ FROM JPRS 増刊号 vol.66 ◆
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                          AP* Retreat会合報告
      ~コミュニティ全体が抱える課題について包括的な議論を実施~
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2007年2月25日に、APRICOT 2007に合わせる形でAP*(APstar) Retreat会合がイン
ドネシア・バリ島で開催されました。

AP* Retreatは、アジア太平洋地域のインターネット団体の代表や、各国・地域
で重要な役割を担っている組織から参加者が集い、年に1~2回開催されています。
活動状況や問題意識の報告を通じて相互の情報を共有することに加え、インター
ネットに関連する現在進行形の課題に対して、アジア太平洋地域のコミュニティ
全体としてどう取り組むべきかの議論が行われています。

今回の会合では、JPRSの堀田博文が共同議長として会議をコーディネートしまし
た。AP各組織からの報告に加え、フィッシング・ファーミング対策や、コミュニ
ティにおける人材育成のあり方の議論、インターネットガバナンスを巡る最新状
況や、2006年12月に台湾沖で発生した地震がネットワークに与えた影響と復旧の
模様の報告が行われました。それぞれのテーマについて、概要をご報告します。

          ◇                     ◇                     ◇

■アジア太平洋地域のインターネット関連組織からの活動報告

午前の部前半では、アジア太平洋地域のインターネット関連各組織から、この半
年の活動と今後の予定について報告が行われました。今回のAP* Retreatで活動
報告を行ったのは、次の9団体です。

・APAN        : Asia Pacific Advanced Network Consortium
・APBioNET    : Asia Pacific Bioinformatics Network 
・APCERT      : Asia Pacific Computer Emergency Response Team
・APNIC       : Asia Pacific Network Information Centre
・APNG        : Asia Pacific Networking Group
・APRICOT/APIA    : Asia Pacific Regional Internet Conference on 
                    Operational Technologies 
                    / Asia & Pacific Internet Association
・APTLD       : Asia Pacific Top-Level Domain Association
・intERLab@AIT: Internet Education and Research Laboratory @ Asian
                Institute of Technology
・DotAsia Organisation

それぞれの組織からの報告を受け、これらの組織それぞれが実施しているトレー
ニングプログラムの有機的な連携を図るために、一層の情報交換と共同開催に向
けた協力を行うことが確認されました。

APNGの報告においては、「次世代(Next Generation)」の育成を掲げて開催を
重ねているAPNG Campのあり方について、その成果のコミュニティへの還元は何
か?という点で突っ込んだ議論が行われました。特に、座学や自組織内の議論だ
けでなく、他インターネット関連組織の活動を具体的に手伝うなどにより、貢献
しながらインターネットにおける自分たちの位置を見つけていくことの必要性が
語られました。

また、DotAsia Organisationからの報告は、ICANN が.asiaの設置を承認してか
ら初めてということもあり、サービスインに向けた取り組みが詳しく報告されま
した。

■アジア太平洋地域における連携方法

午前の部後半では、APTLDのGeneral ManagerのDon Hollander氏のリードで
"Engaging in all of Asia/Pacific "と題したセッションが開かれました。文化
的、経済的に多様でかつ距離的にも広範な、アジア太平洋地域全域に渡って連携
を行う枠組みについて意見交換が行われ、その中で、地域の広がりと取扱分野の
広がりという2方面に渡る展開を、各組織が独自の努力で一挙に進めることの難
しさが再認識されました。これに対し、ある組織の会合の場を借り、他の組織が
プレゼンスの拡大を実現していくなどの具体的な協働アイデアが、いくつか提案
されました。

■フィッシング・ファーミング

午後の部では、APCERTの事務局を務めているJPCERT/CCの小宮山功一朗氏が、最
近激増しているフィッシング詐欺について報告を行いました。フィッシングの最
近の傾向、どうすれば防げるのか、どうすれば追跡できるのかについての世界に
おける検討状況、日本でのフィッシングに対する対策が紹介されました。また、
オーストラリア、ニュージーランドなど各国の取り組みも紹介され、ドメイン名
レジストリ、レジストラ、ISPの間の体系化されたポリシー作りと密な協力が今
後さらに必要であると、改めて認識されました。

■インターネットガバナンスの議論

IGF(インターネットガバナンスフォーラム)とAPRALO(アジア太平洋地域At Large
組織)の話題が、ICANN At Large委員の会津泉氏から紹介されました。その話の
延長として、アジア太平洋地域のインターネットコミュニティをどのように牽引
すべきか、どういう組織が何をしていくべきかという議論となりました。特に、
インターネットの運用レベルだけでなく、利用レベル、社会活動レベルというさ
らに上位の観点において、どのように管理が行なわれるべきか、どのように協力
していくべきかという点について、アジア太平洋地域の各インターネット関連組
織、そしてAP* Retreat会合が考えていくこととなりました。

■台湾沖地震の影響について

IndosatのBrata T. Hardjosubroto氏とシンガポール・マレーシアの状況に詳し
いJames Seng氏から、2006年12月26日に台湾沖で発生した地震のインターネット
に対する影響について報告がありました。今回の経験を活かし、特にインドネシ
アなどの地域では、これまで台湾経由のケーブルに頼る帯域の割合が大きかった
が、今回の地震を契機にオーストラリア経由やヨーロッパへの経由でのケーブル
も確保することにしたとの報告がありました。

■今後のAP* Retreat

今回のAP* Retreat会合では、インターネットの運用にかかわる課題から、イン
ターネットの利用、社会活動への活用に関わる課題へと議論の重心が移ってきま
した。これは、質・量ともにインターネットの利用方法が拡大・変化して来たこ
とを反映したもので、今後、アジア太平洋地域のインターネット関連組織が行う
べき活動も変化していくものと考えられます。そのような中、アジア太平洋地域
のインターネット関連組織の協働は、これまで以上に重要になることが再認識さ
れ、関係機関の協力を通じて、協働の母体となるAP*事務局の活動費用を捻出し、
事務局活動を継続していく点が合意されました。次回のAP* Retreat会合は、
2007年8月に中国の西安で開催されるAPAN会合に合わせて行われる予定です。

          ◇                     ◇                     ◇

◎関連URI

    ・AP*(APstar)   http://www.apstar.org/
    ・APAN          http://www.apan.net/
    ・APBioNET      http://www.apbionet.org/
    ・APCERT        http://www.apcert.org/
    ・APIA          http://www.apia.org/
    ・APRICOT       http://www.apricot.net/
    ・APNG          http://www.apng.org/
    ・APNIC         http://www.apnic.net/
    ・APTLD         http://www.aptld.org/
    ・AIT           http://www.ait.ac.th/
    ・DotAsia Organisation Limited 
                    http://www.dotasia.org/

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              編集・発行:株式会社日本レジストリサービス(JPRS)
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