ドメイン名関連会議報告
2004年
ENUMとIDNに関するアジア太平洋地域の情報交流会合開催
~第2回APT-ITU Joint Workshops on ENUM and IDN 報告~
2004/06/01
2004年5月21日と22日の2日間、ブルネイのバンダル・スリ・ブガワンにて、APTとITUによる共催で、ENUMとIDN(国際化ドメイン名)に関するワークショップが昨年8月に続き開催されました。ENUMとIDNは、新しい可能性を持つ情報通信技術として注目されており、技術とポリシーの両方が適切に組み合わされて初めて実現されるサービスであるという認識の下、各国から両分野の専門家や政府関係者が集まりました。アジア太平洋地域の約30カ国から約70名が参加しましたが、日本からはJPRSの2名が参加し、日本における民間を中心としたENUMおよび日本語JPドメイン名への取り組みについて発表しました。
[参考] 第1回APT-ITU Joint Workshops on ENUM and IDN 報告 (2003年9月4日公開)
会場となった建物の外観 (International Convention Centre, Bandar Seri Begawan)
[参考] 第1回APT-ITU Joint Workshops on ENUM and IDN 報告 (2003年9月4日公開)
会場となった建物の外観 (International Convention Centre, Bandar Seri Begawan)
ENUM
ENUMは、電話番号だけを用いてインターネット上の様々な通信サービスの利用を可能にする仕組みです。IETFにおいて技術的な標準化が行われ、ITUにおいて運用面での基準策定が行われています。
21日に開かれたENUMに関するワークショップでは、IETFのENUM WGチェアの一人であるRichard Shockey氏からENUM技術の概要説明がなされ、その上でENUMを利用した新しい通信サービスの可能性が述べられました。次に、ITUより、「ENUMでの国内番号管理方法等は国ごとに決められるべきものであるが、ENUM管理用のTLDの決定やその運用など全世界にまたがる最低限の共通管理方法については、現在ITU-Tにてまとめられつつある」ことが述べられました。
その後、具体的な取り組みを行っている、オーストラリア、日本、中国、韓国、シンガポールが各国の状況を発表しました。また、アジア太平洋地域外の代表的な取り組みとして、オーストリアからも活動の紹介がなされました。
アジア太平洋地域では、現在中国とシンガポールだけが正式にITUに認められた国番号(日本の場合は81)を用いた国際接続実験を行っています。今回の発表では、オーストラリアと韓国が、まもなく国番号を用いた実験の実施をITUに申請することを表明しました。これらの国々では、ENUMを用いた通信サービスを公衆通信サービスと接続する実験も進めています。また、ENUMによる通信サービスに対応できるように電気通信番号に関する法律を変更したり、ENUMサービスのあり方を国レベルで検討するための政府と民間組織からなる評議会を設置したりという活動が各国で進められています。
日本からは、JPRSがENUMトライアルジャパン(ETJP)の活動を発表し、同組織がさまざまな分野の43会員を持つボランティア組織であること、アプリケーションを中心に実験が行われていることなどを紹介しました。中でも、2004年5月12日の第1次報告会で行われた「RFIDとの組み合わせによるワンナンバー着信サービス」の紹介は、ENUMの新しいアプリケーションの端緒であることから聴衆の興味を集めました。
全体としては、技術面に関しては、各国で基本的な部分の検証がかなり進んでいます。国際接続という観点では、ETSIがENUMトライアルにおける最低限のインターオペラビリティに関する要求条件を提示し、そのテストを先導しています。残る大きな課題は、ナンバーポータビリティやワンナンバーサービスといった適用サービスの明確化、プライバシとセキュリティに関するポリシー設定とそのための技術確立、課金方法も含むビジネスモデルとそのシステム実現方法の確立などであり、これらはENUMの商用化のために越えなければならない課題と言えます。
21日に開かれたENUMに関するワークショップでは、IETFのENUM WGチェアの一人であるRichard Shockey氏からENUM技術の概要説明がなされ、その上でENUMを利用した新しい通信サービスの可能性が述べられました。次に、ITUより、「ENUMでの国内番号管理方法等は国ごとに決められるべきものであるが、ENUM管理用のTLDの決定やその運用など全世界にまたがる最低限の共通管理方法については、現在ITU-Tにてまとめられつつある」ことが述べられました。
その後、具体的な取り組みを行っている、オーストラリア、日本、中国、韓国、シンガポールが各国の状況を発表しました。また、アジア太平洋地域外の代表的な取り組みとして、オーストリアからも活動の紹介がなされました。
アジア太平洋地域では、現在中国とシンガポールだけが正式にITUに認められた国番号(日本の場合は81)を用いた国際接続実験を行っています。今回の発表では、オーストラリアと韓国が、まもなく国番号を用いた実験の実施をITUに申請することを表明しました。これらの国々では、ENUMを用いた通信サービスを公衆通信サービスと接続する実験も進めています。また、ENUMによる通信サービスに対応できるように電気通信番号に関する法律を変更したり、ENUMサービスのあり方を国レベルで検討するための政府と民間組織からなる評議会を設置したりという活動が各国で進められています。
日本からは、JPRSがENUMトライアルジャパン(ETJP)の活動を発表し、同組織がさまざまな分野の43会員を持つボランティア組織であること、アプリケーションを中心に実験が行われていることなどを紹介しました。中でも、2004年5月12日の第1次報告会で行われた「RFIDとの組み合わせによるワンナンバー着信サービス」の紹介は、ENUMの新しいアプリケーションの端緒であることから聴衆の興味を集めました。
全体としては、技術面に関しては、各国で基本的な部分の検証がかなり進んでいます。国際接続という観点では、ETSIがENUMトライアルにおける最低限のインターオペラビリティに関する要求条件を提示し、そのテストを先導しています。残る大きな課題は、ナンバーポータビリティやワンナンバーサービスといった適用サービスの明確化、プライバシとセキュリティに関するポリシー設定とそのための技術確立、課金方法も含むビジネスモデルとそのシステム実現方法の確立などであり、これらはENUMの商用化のために越えなければならない課題と言えます。
IDN
IDNは、2003年3月にその技術標準がRFCとして確定し、さらに6月にはICANNからIDN導入のためのガイドラインが示されました。これらに基づき、日本(.JP)を含むいくつかのccTLDやgTLDでIDN登録サービスが開始されています。これからIDNを導入しようと考えているTLDでは、IDNに関してどういう課題があり、既にサービスを開始している国がどのような施策でそれを解決しているのか、という情報を必要としています。また、すでに導入しているTLD間でも協力して解くべき課題が残っています。
このような背景の下、22日に開かれたIDNに関するワークショップでは、まず、IETFのIDN WGチェアの一人であるJames Seng氏よりIDNの技術概要と各レジストリでの言語取り扱い方法のガイドラインが説明されました。言語取り扱い方法とは、ドメイン名のための言語テーブル(言語を意識した場合のIDN用文字コード集合とその中で等価とみなす文字集合)の定義のことです。
日本からは、IDNサービスを世界に先駆けて実施し、その中で予約語の制定、サンライズ期間等の仕組みを注意深く実施して来た経験を紹介しました。IDNの利用に関しては、需要は大きく、レジストリによる登録サービスが世界レベルで広がっているにもかかわらず、利用環境が不十分であるという認識を共有し、その拡充に関して互いに協力することを提案しました。また、その環境の整備の例として、携帯電話からのIDNの利用、IDNを利用できないPCブラウザからのIDNアクセスを可能とする仕組みの提供を紹介しました。
その後、韓国、タイからも、日本の導入方法を参考にしてIDNサービスの導入を進めていることの紹介がなされました。
ICANNからは、IANAによる言語テーブル登録表の管理の重要性と具体的管理方法の紹介がなされました。IANAは2004年2月から言語テーブルの登録を開始していますが、現在、日本(.jp)、韓国(.kr)、ポーランド(.pl)、.info、.museumが登録済みとなっています。中国語に関しては、中国、台湾、香港、マカオが協力して言語テーブルを準備中とのことです。TLDが違っても、同一言語に対しては同じ言語テーブルを使うようにしていくことが、インターネットユーザにとって利益をもたらす重要な施策となり、そのことに関する共通理解も得られました。
本会議報告は、JPRSのメールマガジン「FROM JPRS」の増刊号として発行した情報に写真などを交えてWebページ化したものです。
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このような背景の下、22日に開かれたIDNに関するワークショップでは、まず、IETFのIDN WGチェアの一人であるJames Seng氏よりIDNの技術概要と各レジストリでの言語取り扱い方法のガイドラインが説明されました。言語取り扱い方法とは、ドメイン名のための言語テーブル(言語を意識した場合のIDN用文字コード集合とその中で等価とみなす文字集合)の定義のことです。
日本からは、IDNサービスを世界に先駆けて実施し、その中で予約語の制定、サンライズ期間等の仕組みを注意深く実施して来た経験を紹介しました。IDNの利用に関しては、需要は大きく、レジストリによる登録サービスが世界レベルで広がっているにもかかわらず、利用環境が不十分であるという認識を共有し、その拡充に関して互いに協力することを提案しました。また、その環境の整備の例として、携帯電話からのIDNの利用、IDNを利用できないPCブラウザからのIDNアクセスを可能とする仕組みの提供を紹介しました。
その後、韓国、タイからも、日本の導入方法を参考にしてIDNサービスの導入を進めていることの紹介がなされました。
ICANNからは、IANAによる言語テーブル登録表の管理の重要性と具体的管理方法の紹介がなされました。IANAは2004年2月から言語テーブルの登録を開始していますが、現在、日本(.jp)、韓国(.kr)、ポーランド(.pl)、.info、.museumが登録済みとなっています。中国語に関しては、中国、台湾、香港、マカオが協力して言語テーブルを準備中とのことです。TLDが違っても、同一言語に対しては同じ言語テーブルを使うようにしていくことが、インターネットユーザにとって利益をもたらす重要な施策となり、そのことに関する共通理解も得られました。
関連URI
- APT-ITU Joint Workshops on ENUM and IDN
http://www.aptsec.org/meetings/2004/ENUMIDN/default.htm - APT: Asia Pacific Telecommunity(アジア太平洋電気通信共同体)
「ITUのアジア・太平洋地域版ともいえる組織。各国政府が情報共有・議論を行う。」
http://www.aptsec.org/ - ITU: International Telecommunication Union(国際電気通信連合)
「電気通信に関する国際的な調整を行う国連の機関。電気通信サービスの国際的な制度検討や、技術の標準化、開発途上国への技術協力の推進などを行う。」
http://www.itu.int/ - ETSI: The European Telecommunications Standards Institute
「電気通信に関する標準を作成する機関。ヨーロッパを中心に活動。」
http://www.etsi.org/ - ETJP: ENUM Trial Japan
「日本でのENUM技術トライアルを行う組織。2003年9月設立。」
http://etjp.jp/
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