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ドメイン名関連会議報告

2007年

AP* Retreat会合報告

~コミュニティ全体が抱える課題について包括的な議論を実施~

2007/03/13

2007年2月25日に、APRICOT 2007に合わせる形でAP*(APstar) Retreat会合がインドネシア・バリ島で開催されました。

AP* Retreatは、アジア太平洋地域のインターネット団体の代表や、各国・地域で重要な役割を担っている組織から参加者が集い、年に1~2回開催されています。活動状況や問題意識の報告を通じて相互の情報を共有することに加え、インターネットに関連する現在進行形の課題に対して、アジア太平洋地域のコミュニティ全体としてどう取り組むべきかの議論が行われています。

今回の会合では、JPRSの堀田博文が共同議長として会議をコーディネートしました。AP各組織からの報告に加え、フィッシング・ファーミング対策や、コミュニティにおける人材育成のあり方の議論、インターネットガバナンスを巡る最新状況や、2006年12月に台湾沖で発生した地震がネットワークに与えた影響と復旧の模様の報告が行われました。それぞれのテーマについて、概要をご報告します。
JPRSの堀田博文
共同議長として会議をコーディネートしたJPRSの堀田博文[画面右]

アジア太平洋地域のインターネット関連組織からの活動報告


午前の部前半では、アジア太平洋地域のインターネット関連各組織から、この半年の活動と今後の予定について報告が行われました。今回のAP* Retreatで活動報告を行ったのは、次の9団体です。

  • APAN
    Asia Pacific Advanced Network Consortium
  • APBioNET
    Asia Pacific Bioinformatics Network
  • APCERT
    Asia Pacific Computer Emergency Response Team
  • APNIC
    Asia Pacific Network Information Centre
  • APNG
    Asia Pacific Networking Group
  • APRICOT/APIA
    Asia Pacific Regional Internet Conference on Operational Technologies / Asia & Pacific Internet Association
  • APTLD
    Asia Pacific Top-Level Domain Association
  • intERLab@AIT
    Internet Education and Research Laboratory @ Asian Institute of Technology
  • DotAsia Organisation

それぞれの組織からの報告を受け、これらの組織それぞれが実施しているトレーニングプログラムの有機的な連携を図るために、一層の情報交換と共同開催に向けた協力を行うことが確認されました。

APNGの報告においては、「次世代(Next Generation)」の育成を掲げて開催を 重ねているAPNG Campのあり方について、その成果のコミュニティへの還元は何か?という点で突っ込んだ議論が行われました。特に、座学や自組織内の議論だけでなく、他インターネット関連組織の活動を具体的に手伝うなどにより、貢献しながらインターネットにおける自分たちの位置を見つけていくことの必要性が語られました。

また、DotAsia Organisationからの報告は、ICANN が.asiaの設置を承認してか ら初めてということもあり、サービスインに向けた取り組みが詳しく報告されま した。
AP* Retreat会合の様子
AP* Retreat会合の様子

アジア太平洋地域における連携方法


午前の部後半では、APTLDのGeneral ManagerのDon Hollander氏のリードで"Engaging in all of Asia/Pacific "と題したセッションが開かれました。文化的、経済的に多様でかつ距離的にも広範な、アジア太平洋地域全域に渡って連携を行う枠組みについて意見交換が行われ、その中で、地域の広がりと取扱分野の広がりという2方面に渡る展開を、各組織が独自の努力で一挙に進めることの難しさが再認識されました。これに対し、ある組織の会合の場を借り、他の組織がプレゼンスの拡大を実現していくなどの具体的な協働アイデアが、いくつか提案されました。

フィッシング・ファーミング


午後の部では、APCERTの事務局を務めているJPCERT/CCの小宮山功一朗氏が、最近激増しているフィッシング詐欺について報告を行いました。フィッシングの最近の傾向、どうすれば防げるのか、どうすれば追跡できるのかについての世界における検討状況、日本でのフィッシングに対する対策が紹介されました。また、オーストラリア、ニュージーランドなど各国の取り組みも紹介され、ドメイン名レジストリ、レジストラ、ISPの間の体系化されたポリシー作りと密な協力が今後さらに必要であると、改めて認識されました。

インターネットガバナンスの議論


IGF(インターネットガバナンスフォーラム)とAPRALO(アジア太平洋地域At Large組織)の話題が、ICANN At Large委員の会津泉氏から紹介されました。その話の延長として、アジア太平洋地域のインターネットコミュニティをどのように牽引すべきか、どういう組織が何をしていくべきかという議論となりました。特に、インターネットの運用レベルだけでなく、利用レベル、社会活動レベルというさらに上位の観点において、どのように管理が行なわれるべきか、どのように協力していくべきかという点について、アジア太平洋地域の各インターネット関連組織、そしてAP* Retreat会合が考えていくこととなりました。

台湾沖地震の影響について


IndosatのBrata T. Hardjosubroto氏とシンガポール・マレーシアの状況に詳しいJames Seng氏から、2006年12月26日に台湾沖で発生した地震のインターネットに対する影響について報告がありました。今回の経験を活かし、特にインドネシアなどの地域では、これまで台湾経由のケーブルに頼る帯域の割合が大きかったが、今回の地震を契機にオーストラリア経由やヨーロッパへの経由でのケーブルも確保することにしたとの報告がありました。

今後のAP* Retreat


今回のAP* Retreat会合では、インターネットの運用にかかわる課題から、インターネットの利用、社会活動への活用に関わる課題へと議論の重心が移ってきました。これは、質・量ともにインターネットの利用方法が拡大・変化して来たことを反映したもので、今後、アジア太平洋地域のインターネット関連組織が行うべき活動も変化していくものと考えられます。そのような中、アジア太平洋地域のインターネット関連組織の協働は、これまで以上に重要になることが再認識され、関係機関の協力を通じて、協働の母体となるAP*事務局の活動費用を捻出し、事務局活動を継続していく点が合意されました。次回のAP* Retreat会合は、2007年8月に中国の西安で開催されるAPAN会合に合わせて行われる予定です。

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本会議報告は、JPRSのメールマガジン「FROM JPRS」の増刊号として発行した情報に写真などを交えてWebページ化したものです。
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