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ドメイン名関連会議報告

2010年

より良いネットワーク運用を目指す技術者が一堂に集結

~JANOG25 Meetingにおける話題から~

2010/02/02

今回のFROM JPRSでは、2010年1月21日、22日の両日にわたり新潟で開催されたJANOG25 Meeting(以下、JANOG25)で報告・議論された内容から、ドメイン名とDNSに関連する話題を中心にお伝えします。

JANOGとは?

JANOG(JApan Network Operators' Group)は、ネットワーク運用者間の議論・情報交換を通じたネットワークの円滑な運用を目指し、インターネット利用者・技術者に貢献することを目的として設立された団体(コミュニティ)です。

JANOGにおける議論はメーリングリスト上で進められています。加えて、参加者が一堂に会するJANOG Meetingが年に2回開催されており、事前に募集及び選考された注目すべきテーマについて、集中的な議論が行われています。

JANOG25の様子
JANOG25の様子


日本のインターネットを支える「濃い面々」が一堂に

JANOG Meetingの特徴として、議論される内容の濃さとともに「参加者の濃さ」が挙げられます。JANOG Meetingの参加者のほとんどはプロのネットワーク技術者や専門家であることから、なじみのない方には少々とっつきにくいと思われがちな面があるようです。しかし、実際には参加者は一様に前向きで明るく、皆でより良いネットワークを運用していこうというモチベーションの高さがうかがえます。


新gTLD「.新潟」を考える

JANOG Meetingは基本的に、東京と東京以外の地域でほぼ交互に開催されており、東京以外での開催回ではそれぞれの地域に関連したセッションが開催されることが特徴となっています。

新潟での開催となった今回は、地域に関連するテーマとして「新gTLD 『.新潟』を考える」と題したセッションが開催され、株式会社新潟通信サービスの本間誠治氏、社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)の前村昌紀氏、GMOドメインレジストリ株式会社の大東洋克氏の3名から発表がありました。

国際化TLDの動向と「.新潟」

このセッションではまず、進行役も務めた本間氏よりICANNにおける国際化TLDの新設に関するこれまでの検討と現状が報告されました。

現在のICANNの枠組みにおいて「.新潟」は新gTLDとして扱われることになること、関係者間における合意形成がまだ十分ではないため、ICANNにおける新gTLDの導入スケジュールは当初予定よりも遅延する見込みであり、現時点で募集はまだ開始されていないことが伝えられています。

「.日本」の検討状況

続いて前村氏から関連する話題として、国際化ccTLD「.日本」に関する検討状況についての報告がありました。

「.日本」の導入については、総務省情報通信審議会による検討・意見募集を経て、レジストリの選定を行うための民間団体として設立された「日本インターネットドメイン名協議会」において検討が進められています。

同協議会では現在、「.日本」のレジストリ選定に必要となる選定基準の作成作業を進めています。実際のレジストリの選定は別途選任される「選定委員会」により、応募事業者の中から行われる予定となっています。

「.新潟」の導入可能性

続いて大東氏からgTLD新設の意義、gTLDレジストリとなるために満たすべき要件と今後の課題について、すなわちある組織が「.新潟」のようなgTLDレジストリとなるためには、どのような条件やアクションなどが必要になるかについての発表が行われました。その後、本間氏の司会進行により「.新潟」の導入可能性について、会場の参加者も交えた議論が行われました。

「.新潟」のような、特定のコミュニティにより使用されることを想定したドメイン名は「Community-based TLD」と呼ばれています。現在ICANNで進められている議論ではこうしたCommunity-based TLDの導入を容易にするため、より広い範囲での使用を想定した「Open TLD」に比べ要件を緩和してはどうか、という意見も出されています。しかし、議論は現在も進行中であり、実際に「.新潟」のようなCommunity-based TLDの導入検討が具体化するまでには、もう少し時間を要することになるでしょう。


そこが知りたいDNSSEC

2010年7月1日にルートゾーンにDNSSECが導入されます。また、2010年から2011年にかけて「.jp」、「.com」、「.net」を始めとする主要なTLDにおいて、DNSSECの導入が予定されています。

DNSSECの本格的な普及を間近に控えた今回のJANOG Meetingでは、「そこが知りたいDNSSEC」と題し、DNSSECに関する最新状況と運用時の注意点について、JPRSの民田雅人が発表を行いました。

DNSSECは「生もの」

民田はDNSSECを「生もの」に例え、DNSSECの運用の際には常に最新のプロトコル仕様に基づいたサーバソフトウェアを使う必要があること、特にルートゾーンにおいてセキュリティ向上のためにハッシュアルゴリズムとしてSHA-1より安全性に優れるSHA-256が使われる予定であり、BIND 9.6.1以前の古いバージョンではDNSSECによる名前検証ができないことに注意する必要があることを発表しました。

発表を行うJPRS民田
発表を行うJPRS民田


その後、JANOGメーリングリスト上で事前に受け付けた質問について民田より回答を行いました。質問内容はJANOGの場らしく、DNSサーバの移転時におけるDNSSECの取り扱いやDNSSEC導入後のDNSサーバのDoS攻撃耐性の変化など、運用やサーバの負荷に関するものが多く寄せられました。


今時のAS運用~飲み友達はやっぱり大事?

JANOG Meetingでは毎回、運用者間の相互連携に関するテーマが多く議論されています。今回は株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)の松崎吉伸氏から「今時のAS運用」と題し、ネットワーク同士の相互接続において円滑な運用を行う場合の基本的な心構えについて発表がありました。

松崎氏からは、広域ネットワークの運用の際に必要な項目として「WHOISやIRR(*1)などの登録情報の整備」「連絡先情報の明示」「連絡手段の公開」「ネットワーク運用環境の整備」などが挙げられました。しかし最終的には「良き運用者として責任ある運用を心掛けるべし」という基本思想と相互の信頼関係の構築が重要であり、そのためには相手のことをよく知り「飲みにケーション」なども適宜活用しながら、良い「友達関係」を構築するように日々心掛けることが重要であるという内容が発表されました。

(*1)
Internet Routing Registryの略称。
インターネット上におけるデータの道筋を示す経路情報と、その優先性に関する情報を蓄積するデータベースです。データベースには経路の管理者情報も含まれます。

発表を行うIIJ松崎氏
発表を行うIIJ松崎氏


ネットワークの集合体であるインターネットでは、その黎明期から複数の運用者の連携による分散運用が一般的でした。インターネットの中心が技術研究から商用ネットワークとなり市場原理が導入された現在でも、基本的なコンセプトに変わりはありません。そして今後も、松崎氏から発表された理念は重要であり続けることでしょう。


次回のJANOG Meetingは東京で開催

JANOG26 Meetingは2010年7月8日、9日の両日に渡り、東京の恵比寿ザ・ガーデンホールで開催されます。

JANOG26 MeetingではJPRSがホストを担当させていただくこととなりました。詳細について、また皆さまにお伝えできる状況になりましたら、本メールマガジンなどを通じてお伝えしてまいります。



本会議報告は、JPRSのメールマガジン「FROM JPRS」の増刊号として発行した情報に写真などを交えてWebページ化したものです。
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