ドメイン名関連会議報告
2010年
アジア太平洋地域の視点でインターネット関連課題を議論
~AP* Retreat会合報告~
2010/09/06
AP*(APstar) Retreat会合が、2010年8月23日にオーストラリアのゴールドコーストで開催されました。
AP* Retreat会合は原則として年に2回開催され、APNIC、APTLDなどのアジア太平洋地域のインターネット団体の代表や、各国・地域でインターネット上の重要な役割を担っている組織から参加者が集まります。会合では、各組織の活動状況の報告や問題意識の共有に加え、インターネットに関連する課題に対して、アジア太平洋地域のコミュニティ全体としてどう取り組むべきかの議論が行われています。
今回の会合は、第30回APNIC Meetingの前日に同一会場で開催され、約15名の参加がありました。そのうち、日本からの参加者が5名と、アジア太平洋地域の主要なインターネット組織に対する日本の関与の大きさが窺える会議となりました。
AP* Retreat会合の様子
AP* Retreat会合は原則として年に2回開催され、APNIC、APTLDなどのアジア太平洋地域のインターネット団体の代表や、各国・地域でインターネット上の重要な役割を担っている組織から参加者が集まります。会合では、各組織の活動状況の報告や問題意識の共有に加え、インターネットに関連する課題に対して、アジア太平洋地域のコミュニティ全体としてどう取り組むべきかの議論が行われています。
今回の会合は、第30回APNIC Meetingの前日に同一会場で開催され、約15名の参加がありました。そのうち、日本からの参加者が5名と、アジア太平洋地域の主要なインターネット組織に対する日本の関与の大きさが窺える会議となりました。
AP* Retreat会合の様子
アジア太平洋地域のインターネット関連組織からの活動報告
前半の部では、以下に示すアジア太平洋地域のインターネット関連11組織から、この半年の活動と今後の予定についての報告がなされました。- APCERT - Asia Pacific Computer Emergency Response Team
- APNIC - Asia Pacific Network Information Centre
- APIA - Asia & Pacific Internet Association
- APOPS - The Asia Pacific OperatorS Forum
- APRALO - Asia-Pacific Regional At-Large Organization
- ISOC - Internet Society
- APTLD - Asia Pacific Top Level Domain Association
- ISIF - Information Society Innovation Fund
- APIX Forum - Asia-Pacific Internet Exchange Forum
- intERLab - Internet Education and Research Laboratory
- APAN - Asia-Pacific Advanced Network
今回の会議では、2010年2月より活動を開始したAPIX Forumからの報告がありました。APIX Forumは、インターネットエクスチェンジ(以下、IX)の重要性が増す中、その技術や運用、ビジネスに関する情報交換のためのフォーラムの必要性がアジア太平洋地域の国々のIXプロバイダーの間で合意された結果、創設されたものです。
APIX Forumの立ち上げは、2008年のAP* Retreat会合での「アジア太平洋地域におけるIXの在り方を考えよう」という呼び掛けをきっかけに、2009年のAP* Retreat会合でもその必要性や目的が議論され、創設に向けた活動が各関係者の間で進められてきました。APIX Forumの活動には、JPNAPを始め、JPIX、BBIX、dix-ieといった日本のIX関係者による大きな貢献がなされています。
このようにAP* Retreat会合は、アジア太平洋地域のインターネットについて、さまざまな活動や組織を考え、立ち上げる場所としての役割を果たしています。
IDN ccTLDによりccTLDの定義は変わるのか
後半の部では、Special Topicとして「ccTLDの定義」をテーマに、JPRSの堀田博文がICANNでの動きや今後解消すべき課題を共有しました。その概要を以下にご紹介します。「そもそも、ccTLDとは何か」については、1994年に発行されたRFC 1591で「ISO-3166に由来する2文字の国別コード」と定義されています。
その後、2009年11月にICANNが受け付けを開始したIDN ccTLDファストトラックプロセスにより、IDN ccTLDの新設や承認が可能となりました。この手続きでは、ISO-3166の国別コードに対応する国や地域ごとに、その国名や地域名を公用語(もしくはそれに相当する言語)で表現したものを、IDN ccTLDとして申請できることになっています。この手続きに沿って、2010年8月13日時点で19のIDN ccTLDが承認されており、そのうちのいくつかは既にルートゾーンに登録され、インターネット上で利用可能となっています。
IDN ccTLDという名前が示すように、ICANNではこれらをccTLDとして扱うことにしています。しかし、これは現行のRFC 1591の定義と矛盾するため、今後どこかに何らかの見直しが必要になります。
それに加え、新たにIDN ccTLDをccTLDとみなすことにより、次のような課題が生じます。
- ccNSOやAPTLDの会員の定義は現在、「ISO-3166で定義された2文字の国別コードのTLDを管理するレジストリ」となっているが、IDN ccTLDのレジストリも会員とみなすか。
- ccNSOやAPTLDの会員の投票権は現在、「会員ごとに1票」となっている。IDN ccTLDのレジストリも会員とみなす場合、多くのIDN ccTLDを持つ国や地域が多くの投票権を持つことになるが、投票権をどう割り振るか。
- ccNSOやAPTLDにおける選挙での被選挙権の中には、例えば「会員1組織による推薦があれば候補者となれる」となっているところがある。IDN ccTLDのレジストリも会員とみなす場合、多くのIDN ccTLDを持つ国や地域が多くの候補者を立てられることになるが、会員1組織からの推薦さえあればこれまでと同等の候補者資格があるものと定義するか。
- 上記1~3の課題において、Synchronized IDN ccTLDs(*1)をどう扱うか。
これらの課題は、多くのIDN ccTLDが使われると想定されるアジア太平洋地域では重要なものです。今後、ccNSOの作業部会やAPTLDで検討が進められる予定です。
- (*1)
- 二つ以上のIDN ccTLDで、それらが等価とみなされるべきであり、同一の組織に委任しない場合には混乱が起こると考えられるものです。IDN ccTLDファストトラックプロセスでは、国や地域において原則として一つの言語に一つのIDN ccTLDを認めることとしていますが、例えば簡体字と繁体字という複数の字体体系を持つ中国と台湾には、この概念に基づいて、それぞれ「.中国/.中國」、「.台灣/.台湾」という二つのIDN ccTLDを同時に委任するという決定がなされています。
次回のAP* Retreat会合
次回AP* Retreat会合は、2011年2月に香港で開かれるAPRICOT/APAN会合に併設する形で開催される予定です。本会議報告は、JPRSのメールマガジン「FROM JPRS」の増刊号として発行した情報に写真などを交えてWebページ化したものです。
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